【インタビュー】愛に溢れた女になりたい眉村ちあき、LINE CUBE SHIBUYAワンマンは「大海にします!」

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10月30日にLINE CUBE SHIBUYAで開催されるワンマンライブ<眉村ちあきの音楽隊 - Episode 2 ->。彼女のライブはPCで流すトラック、ギターの弾き語りによる「1人」のスタイルが多いが、今回の公演は「バンド形態」となる。メンバーは兼松 衆(Key)、越智俊介(Ba / Shunské G & The Peas、CRCK/LCKS)、小西 遼(Sax / CRCK/LCKS)、吉田雄介(Dr / tricot)、qurosawa(Gt / POLLYANNA)。若手実力派ミュージシャンが集うこのライブへの意気込みを、眉村ちあきにじっくりと語ってもらった。

  ◆  ◆  ◆

■大人になったのかもしれない

──音楽隊のライブは、昨年の中野サンプラザ以来、2回目ですよね?

眉村:はい。「この人たちの前だったら何やってもいい。ついてきてくれるな」と。「ついてきてくれる」って言うとおこがましいですけど、振り回しても全然平気そうな顔をしているから(笑)。「またやるならこのメンバーかな。絶対に想像を超えてくれる」という確信が前回生まれたから、また一緒にやりたかったんです。あと、「バンド編成でできるんだぞアピール」もしていかないと。だってフェスに呼んで欲しいじゃないですか? 「またバンドでやってる」って思ってもらって、早くいろんなフェスに呼んでいただきたいんです。

──眉村さんがフェスにあまり呼ばれないのはなぜなのか、僕も前から不思議で仕方ないんです。絶対にお客さんが大喜びするのに。

眉村:そうなんです。「伸びしろのある新しい人を今の内に出しておいたほうが良くない?」って思うんですよね。例えば私とか(笑)。

──(笑)。眉村さんのライブは即興の要素も多いですから、バンドメンバーはそれに臨機応変に対応できて、しかも一緒に楽しめる人が良いですよね?

眉村:そうですね。「それ聞いてないんだけど」みたいな顔をされると、「え? 言ってないんだけど」っていう話なので。「今思いついたからやろうよ」っていうのを楽しんで欲しいんです。だって音楽って楽しいから、「楽しいよねえ?」っていう気持ちでいっぱいになりたいんです。トラックを流すんじゃなくて、生で演奏するバンドだったら何でもできるわけじゃないですか? 例えば「今から5曲、新曲をやります!」って言ってもその場でできるわけだし。そういうところに無限の可能性を感じるし、1人ではできないことができるから、絶対的な信頼をバンドメンバーのみんなに託してやりたいです。


──そもそもマユムラー(眉村ちあきファンの呼称)のみなさんも、眉村さんの即興に対して即興で返して楽しんでいますからね。あれって、すごく音楽的だと思うんです。

眉村:ね? マユムラーのみんなを私が鍛え上げて、「ついてこれるよね?」って圧をかけて「絶対についていかなければならない」っていう空気にさせて、手拍子とかでついてこられるように教育しました。

──武道館で眉村さんが「ヒューマン!」って言って両手で作る謎のハンドサインを掲げたのだって完全にあの場の思い付きですけど、マユムラーが一斉に同じハンドサインを掲げて返したのは、なんだか妙に感動的でしたからね。

眉村:そう。私もあれをやりながら「ん? なんだこれは?」って思っていました(笑)。

──意味なんかなくて、あの瞬間にあれをやりたかったんですよね?

眉村:はい。「楽しいからやる!」、それだけです。

──客席にいた僕らも「なんでこのハンドサインをやってるんだろう?」ってわからなかったんですけど、「楽しいからやる!」っていう気持ちそのものでした。

眉村:それでいいんですよね。

──音楽ってリズムとか、しっかりとした土台がないといけない部分もありますけど、はみ出していいところもたくさんあるはずのものですからね。

眉村:はい。「はみ出して!」って言ったら自由にはみ出せるし、「はみ出さないで!」って言ったらはみ出さないで音楽隊のみんなもやってくれると思います。今までもバンドでやったことはいろいろな形であるんですけど、今が一番しっくりきています。



──キーボードの兼松さんとの出会いは、やはり大きかったんですかね?

眉村:そうですね。兼松くんは私の好みの延長線上で想像を超えてくれるから、「その手があったか!」っていう感じで刺激を貰えるし、兼松くんのせいで病んだこともあります。「こんなにすごい人がいるんなら、私なんか要らないんじゃないか?」って(笑)。それくらいすごいです。「絶対に負けたくない」っていう気持ちと、「めっちゃリスペクト」っていう気持ちとがある感じです。

──眉村さんはライブ以外でも曲作り、アレンジも1人でやることがずっと多かったですけど、この2年くらいでその辺が変化してきていますよね?

眉村:はい。『マルコッパ達』のカップリングのTACOS BEATSさんとのコラボの曲「浜で聴くチューン」も、ビートはTACOS BEATSさんで、そこに私がのっかっていますから。1人でやっていたら自由にやりたいことがやれて楽な部分もあるんですけど、誰かと一緒にやると「その手があったか!」みたいな発見があるから、そういうのも自分がこれから大きくなるために必要だと思っています。「知らない世界を見るためには誰かから学ぶのが一番早いのでは?」って思いながら冒険中なんです。昔は作詞作曲編曲全部を自分でやるのがいいっていうプライドがあって、ずっと1人で作っていたんですけど。


──「弾き語りトラックメイカーアイドル」ですからね。

眉村:はい。その肩書は今もずっとあるんですけど、「トラックメイクもできるけど、しないこともたまにあるかもね」みたいな。例えばザ・リーサルウェポンズさんとの曲(サムライディスコ feat.眉村ちあき)も、本当にゲストボーカルなだけなんです。作詞もしていないし、歌い方のアイディアも出していないんですよ。そういうのも「面白いな」って思える自分がちゃんといて、「そんな扉もあるんだ?」っていう発見をし続けています。学んでいることを全部自分の糧にして成長したいし、成長するためには「自分だけじゃないと嫌!」って言っている場合じゃないなと思っています。大人になったのかもしれない。

──ザ・リーサルウェポンズとの曲もそうですけど、誰かから提示されたものをそのまま受け入れても、眉村ちあきならではのものが出ますからね。


眉村:そうなんですよ。言われた通りにやって個性が失われることもあると思うんですけど、「どうしても出ちゃってるんだ?」っていうのがあって、そういうのはラッキーだなと思います。「これって眉村さんの声だよね?」ってわかってもらえるような声で良かったです。前までは「この声が私」って言わないと気づいてもらえない気がしていたけど、「このCMの曲、眉村ちあきじゃね?」って気づいてもらえることが増えて、声の個性にちょっと自信がつきました。この2年くらいでちゃんと自信がつきました。だからこそ、ちゃんと怒るようになったんですよ。今までは「こんな曲、駄目でしょ」って言われたら、「私のセンスがなかった。ごめんなさい」ってなっていたのに、「え? いいでしょ、これ? 私の曲、最高だからね。だから文句言わないで」って思います(笑)。自己肯定感が上がりました。自分の曲に自信を持って歌えるようになって良かったです。

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