【速レポ】＜中津川ソーラー＞DAY1、他では観られない、顔ぶれと組み合わせの豪華さ

他のロック・フェスティバルにはない＜中津川THE SOLAR BUDOKAN＞の見どころは何かと言えば、ここでしか見られないコラボレーションが毎回、必ず見られることだろう。その意味では、1日目と2日目のRespect Stageのトリを飾る「象眠舎 presents Solar Special Session」は、その顔ぶれと組み合わせの豪華さを考えれば、まさしく＜中津川THE SOLAR BUDOKAN 2022＞の大きな見どころだった。

◆Solar Special Session Day1 画像

象眠舎は超個性派ポップ・バンド、CRCK/LCKSのリーダー、小西遼（Sax他）が立ち上げた大所帯バンド。メンバーにストリングスやホーンズもいるから、オーケストラと言ってもいいと思うのだが、その象眠舎が2日に渡って、多数の個性派ボーカリストを迎え、象眠舎やボーカリストそれぞれに所縁の曲をコラボレーションするのが、「象眠舎 presents Solar Special Session」というわけだ。






その第1目に迎えられたボーカリストは、Tempaleyのメンバーであると同時にソロ・シンガーとしても活躍しているAAAMYYY、シンガー・ソングライターのFurukawa Sarah、TENDREこと河原太朗、そしてソングライティング・デュオ、モノンクルの吉田沙良の4人。

「大好きな仲間達と外のステージで演奏できてうれしいです」とラスト・ナンバーの「あのうたがきこえる」を演奏する前に小西は語ったが、4人は象眠舎や小西とは共演歴があるボーカリストばかりだ。実は、当初の予定では土岐麻子も参加する予定だったが、伝えられているとおり新型コロナウイルス陽性となってしまったため残念ながら出演キャンセルとなってしまった。








土岐の出演が叶わなかったのは、残念の一言に尽きるが、見方を変えれば、土岐の不在を埋めるため、予定していなかった見どころが生まれたのは不幸中の幸いだったと言ってもいいかもしれない。

たとえば、土岐が歌う予定だった「眠れぬ羊」（土岐が2021年11月にリリースしたアルバム『Twilight』の収録曲）を、同曲の作曲者であり、フィーチャリング・アーティストだったTENDREのボーカル・バージョンで聴ける機会は、これっきりだったかもしれない。また土岐の代わりにピンチヒッターとしてステージに立ったROTH BART BARONの三船雅也（Vo, G）は、自身の「鳳と凰」を歌ったのだが、同曲を象眠舎の演奏で聴ける機会もレアだったはず。


「1日目をバシッと締めましょう！」と声を上げ、雨の中、アコースティック・ギターを弾きながら歌った三船の歌にTENDRE、Furukawa Sarah、吉田沙良がハーモニーを重ね、作り上げたアンセミックな光景は、「象眠舎 presents Solar Special Session」のみならず、＜中津川THE SOLAR BUDOKAN 2022＞の第1日目を代表するハイライトのひとつに数えられるべきだろう。


R&Bやジャズに根差したオーケストラルなポップ・サウンドに加え、個性派ボーカリスト達が曲ごとに組み合わせを変えながら重ねたハーモニーの美しさが聴きどころだったことは言うまでもない。もちろん全曲が素晴らしかったが、中でも吉田沙良がアンニュイな歌声で歌った「Cry For The Moon」、胸を締めつけるAAAMYYYのメランコリックな歌声にTENDRE、吉田沙良、Furukawa Sarahが荘厳なハーモニーを重ね、人間の歌声の力強さを印象づけた「AFTER LIFE」には特に胸を打たれた。



きっと明日の「象眠舎 presents Solar Special Session」でも＜中津川THE SOLAR BUDOKAN＞の歴史に残る名場面が生まれるに違いない。

AAAMYYYと吉田沙良が歌声を重ねた「あのうたがきこえる」では、それまでホストに徹していた小西が渾身のサックス・ソロをキメた。

取材・文◎山口智男
撮影◎俵 和彦