【ライヴレポート】Petit Brabancon初ツアー開幕、新曲含む超高密度のステージに“刺激と可能性”
1stアルバム『Fetish』をリリースしたPetit Brabanconが9月8日、Zepp Nagoyaより初の全国ツアー<Petit Brabancon Tour 2022「Resonance of the corpse」>をスタートさせた。その初日公演のオフィシャルレポートをお届けしたい。
◆Petit Brabancon 画像
Petit Brabancon初のツアー<Resonance of the corpse>が始まった。初日の9月8日ZEPP NAGOYAのライヴを見た帰りの新幹線でこれを書いている。興奮を抑えながら。
彼らのライヴは昨年末の武道館でのイベント<JACK IN THE BOX 2021>、そして年明け川崎CLUB CITTA'に続き3度目だ。私はその両方とも見ることができたが、武道館はわずか3曲のみ、CLUB CITTA'はビデオシューティングが主目的のライヴで、観客数もごく限られていた。どちらもバンドのポテンシャルの一端はうかがわせたもの、その巨大な全貌が明らかになったとは到底言えなかった。8月31日に待望の1stアルバム『Fetish』をリリースして、この日の名古屋で初めてフルサイズの、通常の観客を前にしたライヴが行われたのである。長いキャリアを持つ一騎当千のメンバーが揃ったとは言うものの、新バンドの実質初ライヴなのだ。当のメンバーも、スタッフも、もちろん我々オーディエンスも、どんなライヴになるのかわからない。このバンドがどんな可能性を秘め、どんなものを見せてくれるのか、まだわからない。
幸いにもこの日のライヴ本番前のリハーサルを見学することができた。サウンドチェック、照明、演出や特効のチェック。既に何度かの音合わせや通しリハーサルを終えていることもあり、メンバーはそれぞれ自分が何を為すべきか、どんな音を出せばいいのか十分わかっているようだった。各自モニターのバランスなどをチェックしエンジニアに注文を出す。ミヤはステージを降りて客席でギターを弾きながら、出音を確認している。どこにでもあるようなリハーサル風景である。初日ということで難航も予想されたがあっさり時間通りに終了。ここから本番のライヴがどうなるのか予測するのは難しいが、しかしなぜか私は、この日のライヴがとんでもなく凄いものになるのを確信した。そしてそれは正しかったのである。
会場が暗転し、定刻よりやや遅れてライヴは始まった。最初のほうはPAの関係か楽器やヴォーカルのバランスが少々聞きづらかったこと、メンバーの演奏も最初はやや固さがあったこと、そしてオーディエンスも椅子席、声出し禁止という状況でどうやって自分の気持ちや感情を表せばいいのか戸惑いもあったのか、会場の雰囲気はいまひとつほぐれない感じもあったが、ライヴの中盤、某曲の最後で、ミヤとantzが2人だけでアンビエントでシューゲーザーでフリーキーなギターノイズを奏で始めたあたりで演奏も会場の雰囲気ががらりと変わり、オーディエンスの反応もホットになって、その後は一気呵成にクライマックスまで突っ走ったのである。
このギターノイズパートは完全な即興ということだったが、ミヤとantzという2人のタイプの異なるギタリストが醸しだす微妙なズレがモアレとなって、Petit Brabanconのヘヴィなサウンドに奥行きと広がりを与えていた。実際にライヴで見るとこの2人の呼吸やタイミングの合わせ方が絶妙で、これはCDを聴いているだけではわからない部分だった。高松浩史のベースはしっかりバンドの根幹を支え分厚いサウンドを形作っていたし、yukihiroのドラムはわりあいシンプルなリズムキープに徹しながらも、バンド全体の力強いグルーヴの核になっていることがはっきりわかる。
そして何より、ヴォーカリスト・京の圧倒的な存在感である。巧みに感情と衝動をコントロールしながらも全く予測のできない動きと強靱そのものの喉で、その場を支配する京から、目を離せない。DIR EN GREYやsukekiyoの時とはまた異なる荒ぶるカリスマぶりは、このバンド、このメンバーだからこそ発揮できたものだろう。つくづく凄まじいヴォーカリストである。
MC一切なし、音楽と照明だけで見せるストロングスタイルはこのバンドらしい。詳しいセットリストや演出などはネタバレになるので書けないが、これまでリリースした曲はすべて演奏し、おまけに新曲も1曲やったので演奏曲は15曲。それでいてコンサートのサイズは通常のライヴよりかなり短めだったのは、1曲がほぼ2〜3分台、長い曲でも6〜7分と比較的短いからだ。それでも物足りないという印象を一切受けなかったのは、演奏の密度とスピード感が、放射するエネルギーが凄まじかったからだ。徹底してヘヴィでハードだが、しかし同時に美しく繊細でエモーショナルでもある。多忙なメンバーゆえライヴ前のリハーサル回数はそれほど多くとれなかったと聞くが、演奏に一切の破綻を感じさせなかったのは、さすがに歴戦のプロフェッショナル揃いだった。強いて言えば出音が少し小さい気がしたが、爆音よりもバランスのとれた音を目指したのかもしれない。
とはいえこれは第一歩に過ぎない。我々オーディエンスが凄いと思ったそのはるか先に、彼らの目指す場所がある。終演後のメンバーの表情からはひとまず無難なスタートが切れたことへの安堵感がうかがえたが、同時にまだまだこんなものじゃない、という自負を漂わせてもいた。ツアーは残すところあと4公演、この記事が出るころにはあと3公演しか残っていないが、彼らの進化は急である。演奏、音響、視覚効果、オーディエンスとの呼吸の合わせ方。この日の成果と反省を踏まえ、次はさらに完成度の高いものを見せてくれるはず。最終日は9月21日Zepp Haneda。その時彼らはどんな進化と変貌を見せてくれるのか。楽しみでならない。
取材・文◎小野島大
撮影◎尾形隆夫 (尾形隆夫写真事務所)
■<Petit Brabancon Tour 2022「Resonance of the corpse」>
open18:00 / start19:00
(問)サンデーフォークプロモーション 052-320-9100
9月09日(金) 大阪・なんばHatch
open18:00 / start19:00 ※SOLD OUT
(問)SOUND CREATOR 06-6357-4400
9月13日(火) 神奈川・KT Zepp Yokohama
open18:00 / start19:00
(問)HOT STUFF PROMOTION 03-5720-9999
9月16日(金) 福岡・Zepp Fukuoka
open18:00 / start19:00
(問)キョードー西日本 0570-09-2424
9月21日(水) 東京・Zepp Haneda
open18:00 / start19:00 ※SOLD OUT
(問)HOT STUFF PROMOTION 03-5720-9999
▼チケット
SS席 グッズ付 ¥25,000(税込・ドリンク代別)
・刺繍ベルト付きショルダーバッグ
・各日会場限定デコレーションワッペン
・各日会場限定ステッカー
※こちらに加え会場での特典サービスを予定しております。詳細は追ってお知らせいたします。
S席 ¥15,000(税込・ドリンク代別)
A席 ¥6,500(税込・ドリンク代別)
2階席 ¥15,000(税込・ドリンク代別)
一般発売中:先着受付
イープラス https://eplus.jp/pb22/
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