【コラム】SixTONES、『Feel da CITY』がもたらした特別なエンターテイメント

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国民的アイドルであり、ドラマや映画、舞台、そしてバラエティ番組などで広く愛されているSixTONES。その彼らのライヴは見たことがあるだろうか。毎回ファンクラブ会員でさえチケットが取りづらいと言われているそのライヴは、非現実的でありながら、決して見る人を置いて行かずに、“一緒に遊ぶ”という感覚を与えてくれる。ファンであれば言わずもがな、その楽しみを知っていると思うが、まだ見たことのない人にこそ見てもらいたい、スペシャルなエンターテイメントになっているのだ。きっと、一度でも彼らのライヴに訪れたことがある人であるなら、そう感じたことがあることだろう。

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SixTONESは今年の1月に、 “街”を表現したアルバム『CITY』をリリース。その曲を引っ提げて、全国アリーナツアー<Feel da CITY>を開始した。昨年のツアーはコロナ禍という状況下で出来なかったが、今年は悲願の全公演完走を果たしたのだ。そのライヴが、ついに映像化され、発売される。今回収録されるのは、空に雪が舞っていた1月6日、横浜アリーナ公演の最終日となる。

スモークが溢れるステージに6人が映し出され、流れてきたのは「Lost City」。ジェシーの「Hey,What’s Up?」というひと言から加速していくこの曲は、決して激しく盛り上げる曲ではないが、ゆるやかに、じわじわと心を侵食していくように歌い上げていく。そんなこの曲を1曲目に選ぶのも、彼ららしい。一転、ラテンのリズムと共に炎が燃え上がる「Special Order」で一気に温度が上昇。“暴れ回れ”と歌うこの曲の中で、響く美しい京本大我の歌声がまたいい意味で異質でとても心に響く。これも、SixTONESの大きな個性だ。6人が絡み合いながら、“悪あがき”という言葉が印象的な「Rosy」では圧倒的な存在感を示し、「Rollin’」ではメンバーカラーのスポットライトに照らされたそれぞれが花道を駆け巡り、松村北斗が「ここは俺たちの街だ! 騒げ~!」と煽る。このステージでは、誰1人とも残さず、巻き込もうとする気持ちを、ひしひしと感じることができるはずだ。それぞれが嬉しそうに、手を伸ばし、走りながら歌う姿は、いま、ライヴでここまで近くにファンを感じることができる喜びに溢れている。


「S.I.X」ではせり上がるステージに立ち、スタンド席の奥にいるファンを焚きつけるように煽っていく。「手を叩け!」と放つ声に合わせてペンライトが上下に振れ、会場は一体に。滑らかに、でも熱くつながるマイクリレーに身を委ね、気持ちよく踊れるサウンドはとても気持ちがいい。キャッチーでありながら、音楽ファンの心をくすぐる彼らの楽曲たちは、ライヴという空間にとても良く映える。

アウトロに合わせてクセの強い自己紹介が始まるが、その場慣れ感とバラエティセンスはさすが。1秒ともたるむことなく紹介し終わると、田中樹が「今日は上から下まで全員が主役だから誰一人気ぃ抜くんじゃねえぞ!」と煽りさらに温度が上がっていく。決して声が出せなくても伝わってくる熱気。映像を通してもそれがわかるほどだ。

ライブだからこそ楽しめるユニット曲も見どころのひとつ。ジェシーと森本慎太郎がセンターステージで披露する「LOUDER」ではふたりが時折目を合わせ、何かを企むようにニヤリと笑い、パフォーマンスをする姿に、彼らがこの場を思いきり楽しんでいることが伝わってくる。続く髙地優吾と松村北斗の「真っ赤な嘘」では、深みのある、切ない歌声を持つ二人だからこそこの曲の苦しみがより輪郭を持って聴こえてくる。曲に入り込み、悶々としながら歌う松村と、あくまでもライブを楽しみながら、訴えかけるように歌う髙地の表現の違いもまた、おもしろい。すぐそばにいるのに、目線が重なることないパフォーマンスは、この曲を良く表している。最後の最後でやっと2人がお互いに気付く演出も深く、とても素敵だ。

「共鳴」で全員が揃い、「Love u...」では、ざらついた声が心を引っ掻く田中のラップからスタートし、それぞれが芽吹いたオブジェのまわりをたゆたいながら歌い上げていく。かと思えば、「WHIP THAT」ではパーティタイムに突入し、横浜アリーナは大きなダンスホールに。花道を歩く際にはしゃいだ髙地がジェシーにぶつかりメンバーから総ツッコミをされるハプニングももちろん収録されている。


MCのあとの後半戦では、しっとりと歌い上げる「Everlasting」からスタート。ファンが持つペンライトが美しく光り、まるでランタンが浮かび上がっているようで、とてもドラマティックだ。ファンとSixTONESが一緒に、幻想的な景色を作り上げていく――。

田中樹と京本大我が「With The Flow」を歌い始めると、田中樹は「みんなも心で口ずさんでね」と話しかける。ことあるごとにファンに向けささやく姿は、まるですぐ隣にいるよう。これが彼が“リアコ(本当の恋人のよう)”と言われる所以なのだろう。途中、田中がギターを弾く京本にマイクを向けて、受け入れた京本が楽しそうに歌う姿も、とても印象的だ。

客席の通路にトロッコを走らせ、ギリギリまで近くに行く彼らは、その応援に応えようと手を振ったり、笑顔で答えていく。彼らが過ぎ去る客席は魔法をかけたようにマスク越しでもわかる笑顔が咲いていく素敵な光景も確認することができる。

雨音が聴こえ、幕越しの影でパフォーマンスする「Imitation Rain」では、その幕の中のメンバーの姿がサブリミナル映像のように映し出されているので注目してもらいたい。後半は「マスカラ」「NEW ERA」「NAVIGATOR」と、力強く畳みかけていく。決して激しく踊っているわけでもないのに、圧倒的なパワーと印象を与えるのは、彼らがその大きな存在感とパワーを持っているからだろう。

髙地による「続いてが最後の曲となります。聴いて下さい。どうぞ」という声と共に始まったアンコールのラスト「Cassette Tape」では、“あの日を巻き戻したい”と切なく願う楽曲だが、きっとこの曲をラストに聴いたファンは、またこの記憶を巻き戻したいと願うのだろう。

▲『Feel da CITY』初回盤

それにしても、前作のライヴ映像作品もそうだったが、本当に巧みに、ほんの少しだけエフェクトが仕掛けられているところが、本当に素晴らしい。0.1秒ほどメンバーが着ているシャツがゆっくりと翻ったり、マイクを離す姿がほんの少しだけゆっくりになったりとそのエフェクトが入ることで、よりその瞬間をドラマティックに感じることができるのだ。まるで、恋に落ちた瞬間、一瞬だけスローモーションになるような、あの感覚を体感することができるのも、映像作品ならでは。作り手のこだわりを感じる仕上がりも楽しんでもらいたい。

そして、今作には、特典映像として、初回盤には恒例となったライヴ映像をメンバー6人で鑑賞しながら感想や思い出、裏話などを話す『ビジュアルコメンタリー』を収録。彼らがライブを振り返り、何を思っていたのか知ってからライヴを見るとまた、より深みを感じることができる。彼らがわちゃわちゃと楽しむ姿もぜひ楽しんでもらいたい。通常盤には、このライブツアーに迫った、ドキュメンタリー映像を収録。どちらも、より彼らのことを深く知ることができるはずだ。

文◎吉田可奈

▲『Feel da CITY』通常盤

『Feel da CITY』 LIVE DVD / Blu-ray

2022年9月28日発売

【初回盤】2DISCS
[DVD]SEBJ-9~10
[Blu-ray]SEXJ-9~10
¥7,150 税込
■三方背、デジパック仕様
■48Pフォトブック付

DISC1:
Feel da CITY 2022.1.6 YOKOHAMA ARENA
Lost City / Special Order / Rosy / Rollinʼ / S.I.X / Dawn / Papercut / Odds / LOUDER / 真っ赤な嘘 / 共鳴 / Love u... / You & I / WHIP THAT / Everlasting / Ordinary Hero / With The Flow / Your Best Day / “Laugh” In the LIFE / Strawberry Breakfast -CITY ver.- / フィギュア / NEW WORLD / Imitation Rain / マスカラ / NEW ERA / NAVIGATOR / Good Times / 僕が僕じゃないみたいだ / この星のHIKARI / Cassette Tape

DISC2:
・メンバーによる「Feel da CITY」ビジュアルコメンタリー
・Gum Tape (from Feel da CITY Miyagi Sekisui Heim Super Arena)
・FASHION (from Feel da CITY Miyagi Sekisui Heim Super Arena)
・わたし (from Feel da CITY Miyagi Sekisui Heim Super Arena)

【通常盤】2DISCS
[DVD]SEBJ-11~12
[Blu-ray]SEXJ-11~12
¥6,600 税込
■8Pリーフレット付

DISC1:
Feel da CITY 2022.1.6 YOKOHAMA ARENA (収録内容は、初回盤DISC1と同じです)
[DVD]SEBJ-9~10 [Blu-ray]SEXJ-9~10

DISC2: 通常盤
DOCUMENT “Feel da CITY”

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