【レポート】チック・チック・チック、ぶっちぎりで最&高の熱狂の一夜

ポスト

CHK CHK CHK@SHIBUYA O-east 9/5 (Mon)

サポートアクトZOMBIE-CHANGのクールな熱気が会場中に拡がり、いいヴァイヴが充満するなかヴォーカルのニック・オファーが登場し、この後の狂乱ぶりが嘘のように静かに歌い出す。3年ぶりの新作『Let It Be Blue』を締めくくった(日本盤は、この後にボーナス・トラック入り)エレクトロ・サウンドの進化形ナンバー「This Is Pop 2」だ。クラフトワークとXTCの遺伝子を彼ら流にアップデートした音を徐々に登場したメンバーが積み上げていく。

◆チック・チック・チック 関連画像


これまでの!!!(チック・チック・チック)のイメージからはちょっとズレるが、変化し続けているという彼らなりの宣言であり、シンプルなフレーズをしつこく繰り返すことでだんだんと熱を帯びニックのアクション、ヴォイス・パフォーマンスと一体化し最高のオープナーとなっている。

そんな凝った1曲目に続き同じく新作からの「A Little Bit (More)」で一気に!!!ならではのマックスのハイテンションがぶちまけられ、歓迎の声援は充分熱いが、<そんなもんじゃネェーだろー!!>とニックが激しいアクションで挑発し会場は爆発寸前のフロア状態。吹き上がる炎が見える気もするが、それはコロナ禍、パンデミックのせいで新作は、リモートやデータのやりとりで進めたというバンドとしてのフラストレーションもまた燃料として放り込まれているからだろう。<来てよかった!>そんなオーディエンスの心の声が聞こえる。


銀ラメのドレスがチャーミングなミア・ペースがリード・ヴォーカルを取る「Panama Canal」でもフロア全体に幸福感を振りまき、ダンスの渦を巻き起こしていくのは、十年以上前から数多く来日している彼らのライヴを体験した人だったら忘れられない高揚感だが、始めてみた頃からまったくパワーダウンすることはない。


ニュー・アルバムからの最新スタイルを前半でぶつけ、そこからおなじみナンバーのお楽しみへと突入。<恐れを振り払え!>とのメッセージを込めた『Shake The Shudder』('17)からの「Our Love (U Can Get)」から「Dancing Is The Best Revenge」と続くあたりの盛り上がりは最高でニックもフロアに降り観客の中に入り込んで煽りまくり、この日もっとも古いナンバーの一つ「One Girl/One Boy」で頂点に達する。コロナ禍の中で不自然なままだった音楽、ライヴの楽しさ、そんな日常が戻ってきた実感が心地いい。それにしてもギター、ベース、キーボードの三人は細かく持ち楽器を替えるが、どれも素晴らしい生音で、残響を減らした超タイトなドラムスと混ざり合い、打ち込みだけでは絶対に得られない興奮を味あわせてくれた。


世界各地のフェスを巡りダンスの渦を作り出してきたグループの時間を忘れさせるパフォーマンスは「NRGQ」、アンコールでの「Slyd」といった代名詞ナンバーで締めくくられたが、こんな時だからこそ必要なサウンドとダンス、シンプルで魅力的な曲、そしてバンドがいる最高な夜だった。

文・レポート:大鷹俊一
写真・Kazma Kobayashi

セトリプレイリストも公開中!
Apple Music:
https://music.apple.com/jp/playlist/beatink-live-set-list-2022-o-east/pl.u-DdANAj5ta6Do24B
Spotify:
https://open.spotify.com/playlist/0zMbHhVp45J5c7By1dQYvg?si=qZx0R7MtT1uZ0uE3LnVaig

◆Beatink オフィシャルサイト
この記事をポスト

この記事の関連情報