【速レポ】＜JOIN ALIVE 2022＞サンボマスター、初日大トリで新たな伝説「忘れんなよ、今日のことを！」

3年ぶりに開催された＜JOIN ALIVE＞の1日目の大トリをサンボマスターが務め、この日1日、さまざまなアーティストのライブを楽しんできた観客をダメ押しで熱狂させた。

◆サンボマスター ライブ写真

ゴダイゴの「モンキー・マジック」が流れる中、ステージに登場してきたとき、笑顔の近藤洋一（ベースとコーラス）に対して、「JOIN ALIVE、準備はいいのか!?　この野郎！」といきなり叫んだ山口隆（唄とギター）も、「ハイ！ハイ！ハイ！」と声を上げた木内泰史（ドラムスとコーラス）もいきなり臨戦態勢だ。



そんな彼らが3年ぶりの開催と観客との再会を祝福するため、オープニングに選んだのが「輝きだして走ってく」。アンセミックな曲調と、曲間に山口が差しこむ「おまえたち、笑って帰れよ！」という言葉に応え、観客が踊り始めると、そこから60分たっぷりとステージの3人は、「3年ぶりの＜JOIN ALIVE＞！ 伝説の大トリにしましょう！」「声を出せないなら、元気出せ！」「おまえらはクソじゃない。1回もクソだったことなんてない！」「声を出さないライブを成功させて、ライブっていうのは誰が来ても楽しめる美しいものにしていきたい」という観客を鼓舞する山口の言葉とともにアンコールを含め、全11曲を披露。



観客がジャンプしながら一斉にワイプする光景が壮観だったソウルフルなロックンロールの「青春狂騒曲」、レゲエのリズムに観客が体を揺らした「ヒューマニティ！」。観客全員が両手を挙げて踊った「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」、観客の拍手が鳴りやまなかったニュー・ウェーブなソウル・ナンバー「孤独とランデブー」、観客が掲げたスマホのライトが客席エリアに光の海を作り出したバラードの「ラブソング」と＜JOIN ALIVE＞の歴史に残る名場面の数々を作り出していった。静と動のコントラストをダイナミックに際立たせながら、近藤と山口がソロを繋げた長尺の演奏が観客を圧倒した「ボクだけのもの」も聴きごたえ満点だった。




それにしても「3年ぶりの敵討ちだ。忘れんなよ、今日のことを！」という山口の前フリから繋げた「忘れないで 忘れないで」をはじめ、ほぼ全曲が今日この日のために書かれたように聴こえるのは、サンボマスターが常に苦境に立たされた人達を激励し、鼓舞するような曲を歌ってきたからだ。

終盤では「Tokyo Tanakaとミラクルを起こせ！」と山口が呼び込んだMAN WITH A MISSIONのボーカリスト、Tokyo Tanakaと山口がともに「できっこないを やらなくちゃ」を歌うというサプライズに観客が狂喜。さらにもう1つ＜JOIN ALIVE＞の歴史に残る名場面が生まれた。



「誰が花束って、まだわからないのか。おまえらが花束だって言ってるんだ。おまえら、俺達に無断で勝手に死んでんじゃねえぞ。笑って生きろ！」（山口）
本編の最後を締めくくったのは、軽快なモータウン・ビートに観客1人1人の命を祝福するメッセージを乗せた「花束」。もちろん、それで終わりだなんて思った観客は1人もいなかっただろう。

アンコールに応え、「とんでもねえ曲で伝説を作って終わりにしよう！」と言った山口に加え、今度は近藤も観客に対して、踊れ踊れ踊れと煽っている。

「甲子園で優勝できるのは、たった1校。オリンピックの金メダルも1つしかない。でも、サンボマスターのライブは違うぞ。全員を優勝させるためにやって来ました！　全員優勝！　全員優勝！」（山口）

誰一人置いていかないぞというバンドの矜持をアピールしながら、70分におよぶ熱演を締めくくったのは、「ミラクルをきみとおこしたいんです」。悔いを残してたまるかと観客たちがせいいっぱい踊る様子を見ながら、山口は声を上げた。

「伝説の夜をありがとう！」

それはまた1つ＜JOIN ALIVE＞に新たな伝説が生まれた瞬間だった。

取材・文◎山口智男
撮影◎岸田哲平