『反逆のパンク・ロック』、日本版予告篇完成
ドロップアウトした若者たちの非常な青春を、『ザ・デクライン』(81)のペネロープ・スフィーリス監督が映画史に焼き付けたパンク・ムービー最重要作『反逆のパンク・ロック』が制作から39年を経て、最新のデジタル・ニューマスターで、2022年8月26日(金)より新宿シネマカリテにて日本初のロードショー公開となる。
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家族ともうまくいかず、世の中のものすべてが無意味に思え家を出た街の孤児たちは、自身のことをT.R.(The Rejected=拒否された脱落者)と呼び、毎夜さらなる仲間を求めて集い、パンク・ロックに酔いしれる日々を過ごす。そんななか、T.R.たちを嫌悪し街からの排除を求める住民たちとの対立は次第に激化、T.R.たちは追い詰められていく。激しいパンク・ロックとともに、自らのアイデンティティを模索するT.R.たちは、そのやり場のない怒りをついに爆発させるのだった……。
社会に馴染めない路上生活を送るパンクスたちの儚い日常。パンク・ドキュメンタリー映画の最高峰といわれる『ザ・デクライン』('81)、興行収入1億ドル突破の『ウェインズ・ワールド』('92)の監督ペネロープ・スフィーリスがB級映画の帝王ロジャー・コーマンのもとで撮り上げた長編劇映画デビュー作。俳優ではなく多くの本物のパンクスたちをキャストに起用、主演女優のジェニファー・クレイはパブリック・イメージ・リミテッドのライヴに並んでいるところを監督が発見、出演となった。赤字を絶対に出さないことを信条に動くコーマンに、“10分に一度はセックスシーンか暴力シーンを入れろ”と指示されたスフィーリス監督は、当初の作品の骨格を破綻させない程度に指示通りの作品に仕上げた。また、本物のパンクスたちという無名のキャスト起用に反対するコーマンに対し、「あなたの大ヒット作『ワイルド・エンジェル』(66)でも本物のヘルズ・エンジェルスを出演させて成功した」と反論、コーマンを納得させた。
ジェニファー・クレイの他の出演作はなく、キャリアや消息も不明。現レッド・ホット・チリ・ペッパーズのフリーはLAのパンク・ロックバンドFEARのリー・ヴィングの家にたむろしていたところを監督に発見され本作で映画デビュー、「Mike B. the Flea」の名でクレジットされている。フリーいわく「『反逆のパンク・ロック』は世界的にパンク映画のバイブルとなっている」という。本編ではT.S.O.L.、ヴァンダルズ、DIなどのUSハードコア猛者たちのライヴが盛り込まれ、USハードコア周辺がいかに危険で暴力的な空気に満ち溢れていたかなど当時の空気に触れられる貴重な映画となった。日本では未公開、DVD発売やテレビ放送で終わっていたが、制作から39年を経て、最新のデジタル・ニューマスターで初公開となる。
本作はスフィーリス監督のデビュー作『ザ・デクライン』の劇映画版的な側面を持つが、その後の98年、スフィーリス監督はドキュメンタリーである『ザ・デクラインIII』で本作以上の状況となった本物のパンクスたちの非情な現実を映し出すこととなる。
今回解禁された日本予告編では、若かりし頃のフリーのセリフから始まる。次々と仲間が集まりながらも、その暴力的な若者たちの行動に街の住民たちとの対立は激化。次第に追い詰められてゆく彼・彼女ら“T.R.”たち。決断を迫られる...。そして予告編に収録されたのはアメリカ西海岸が生んだハードコア・パンク・バンドT.S.O.L.のライヴ。併せて、この度の日本公開に向けてペネロープ・スフィーリス監督よりビデオメッセージが届いた。本作はパンクロッカーの友人たちと作り、俳優ではなく本物のパンクスたちが出演していることを語っている。また、「フリーによると、本作は世界中で“パンク・ロックのバイブル”と呼ばれているそうです。」と監督は話しており、本作が映画史におけるパンク・ムービーの最重要作であることがわかる。
『反逆のパンク・ロック』
監督・脚本:ペネロープ・スフィーリス 製作:ロジャー・コーマン 音楽:アレックス・ギブソン 撮影:ティム・サーステッド 編集:ロス・アルバート、マイケル・オレクシンスキー ライヴ映像:T.S.O.L..、ヴァンダルズ、DI
出演:クリス・ペダーソン、ジェニファー・クレイ、ビル・コイン、フリー、アンドリュー・ピース
キングレコード提供|ビーズインターナショナル配給
[1983 年シカゴ国際映画祭・最優秀長編デビュー作賞受賞] (1983年|アメリカ|96分|G|日本劇場未公開|原題:1SUBURBIA 2REBELSTREETS 3THEWILDSIDE)
(C)1983 SUBURBIA PRODUCTIONS, INC. ALL RIGHTS RESERVED.
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