【インタビュー】Elle Teresa、「普通じゃ駄目」
■自分の可能性がどこまであるのか見てみたい
──7月8日には「Wifey (Feat. Lil Keed)」が配信されましたが、Lil Keedの訃報が5月に届きましたね。
Elle Teresa:はい。4月末にLAで一緒にミュージックビデオを撮って、その2週間後くらいにそうなって。ほんとに悲しかったです。
──コラボレーションは、どういう経緯で実現したんですか?
Elle Teresa:もともとこの曲をアトランタでRecしてて、最初は1人で歌ってる曲だったんです。「誰かフィーチャリングで入れたいよね?」っていう話になって、「キードがいい」ってことになったら一緒にできたって感じです。
──言葉で経緯を説明するとシンプルですけど、ものすごいことじゃないですか(笑)。
Elle Teresa:簡単に聞こえると思いますけど、エルの中では大きいことです。ずっとテレビとかで観てた人と一緒にやるって、「えっ⁉ やばい!」ってなりますから。この曲、ほんと気に入っています。
──「Wifey (Feat. Lil Keed)」もそうですけど、エルさんの曲は自分らしく生きようとしている姿がすごく伝わってきます。
Elle Teresa:そうなんだと思います。でも、内容に関しては、「こうしよう」とかあんまり考えたことはないです。自然と出てきてる感じなので。
──「Wifey (Feat. Lil Keed)」を手掛けているのが、Go GrizzlyとMarii Beatzというのも、反応する人がいるはずですよ。DA BABYやFUTUREとかも手掛けていますからね。
Elle Teresa:メインストリームのチャートに入ってる人たちですよね。こういうコラボが、もっといろんな人に聴いてもらえるきっかけになればいいけど、まだまだ全然。あとは自分次第だなと思ってます。
──海外のアーティストからお声がかかったことは、今までにありましたよね?
Elle Teresa:まあ、そうなんですけど。でも、どこまで本気で声をかけてくれてるのかわからないところもあるので。
──SKRILLEXから声がかかって、実現しなかったこともありましたよね?
Elle Teresa:はい。タイミングじゃなかった感じで。日本とアメリカだと、トレンドでどうしてもタイムラグがあるから、そこを合わせていくのも難しいんです。どんだけ早くやっても2番目になる感じがあるし。やっぱり自分のサウンドを出していかないと、海外で目立てないんだと思います。
──海外でもエルさんが活躍する日が来たら、とても痛快です。
Elle Teresa:そういう日は来ますよ。絶対。来てくれなきゃ困る(笑)。
──(笑)。コラボをした曲に関しては「flex flex Ft. Bossman JP」も今作に収録されていますが、Bossman JPさんは前にも一緒にやったことがありますよね?
Elle Teresa:はい。一緒のレーベルなので。
──この曲を聴いて改めて思ったんですけど、ハイブランドの名前をリリックに入れるのが好きですよね?
Elle Teresa:そうですね。ブランドが好きなんで、知らない間に入れちゃいます。
──あと、「baD bitch」もそうですが、“bitch”もエルさんがよく使うワードです。
Elle Teresa:“bitchはアメリカの女の子が普通に使ってる言葉だから、エルもその感覚なのかな? 真似してるとかじゃなくて、そういう音楽を聴いて育ってきてるから、自然と出ちゃうというか。
──そういうワードも使って表現している曲を聴くと、強い意志を持って生きているエルさんの姿が伝わってきます。
Elle Teresa:嬉しいです。
──「あなたの言いなりにはならないよ」っていう気持ちをすごく持っていますよね?
Elle Teresa:はい。そのマインドは、ずっと持ってます。エルは結構「自分自分」だから。
──あと、先ほども少し触れましたが、「I can't feel it」や「Cow boy」のようなトラップも、今作の大きな聴きどころです。
Elle Teresa:エルのベーシックなスタイルですよ。トラップミュージックがベースにあって、その上での他の曲っていう感じなんです。でも、もうちょっと自分のサウンドを確立していきたいですね。その一歩目が今回のアルバムなのかなって思うし、自分の可能性がどこまであるのか見てみたいです。このアルバムの曲は結構前に作ったけど、それがどこまで通用するのか見てみて、これが通用しないようだったらまた考えなきゃ。ずっと勝負って感じです。
──トラップと「DREAM*」みたいな曲が並んでいるのが面白いですね。この曲、プリプリとか、かわいい音がいろいろ入っているじゃないですか。
Elle Teresa:リリックが面白くなりました。こういう音の言葉、昔から好きなんですよ。前に出した「Versace」っていう曲に似てる感じもあると思います。こういうのも好きだから、アルバムに1曲入れたかったんです。
──この曲のリリックもブランドの名前が出てきますね。バレンシアガとか。
Elle Teresa:バレンシアガ大好き。「100個くれ」って感じ(笑)。
──(笑)。リリックを書く時は、音の響きを大切にしていますよね?
Elle Teresa:音の響き、めっちゃ大事だと思います。意味より響き。聴き触りがかわいいってことの方が大事にしてるかも。
──音の気持ちよさが全開の「DREAM*」は、エルさんのキャッチーな魅力がすごく詰まっていると思います。
Elle Teresa:自分で言うけど、自分で自分のことおもろいって思うんですよ。自分以外でおもろい人、あんまいないって思ってる。みんなきれいに見せようとし過ぎてる気がしてて。人間らしさみたいな部分って、エルは恥ずかしくないから。
──あけっぴろげという点だと「Pancake」ですね。ざっくり言うと実にエロいです。
Elle Teresa:(爆笑)。ヘルシーなつもりで書いたんですけど。
──ここで多くを語ることは控えますが……まあエロいです。
Elle Teresa:たしかに(笑)。そういう曲ですからね。
──静岡県の沼津からこういうアーティストが魅力的な曲をどんどん世に放っているのが、すごく痛快ですよ。
Elle Teresa:もうちょっと沼津でブイブイ言わせないと。名古屋、大阪、沖縄、神戸、姫路とか、それぞれのサウンドがあるじゃないですか。静岡はまだそういうのがないので、そろそろ確立していきたいです。
──「on my Side」はこのアルバムで改めて聴いて、さらに好きになりました。
Elle Teresa:嬉しい! ありがとうございます。
──ミュージックビデオもすごく良いです。友だちと過ごす日常の感じがあって。
Elle Teresa:あれ、良いですよね? もっと再生回数行っていいと思う!
──このミュージックビデオみたいな日常を過ごしているんでしょうか。
Elle Teresa:日常は全然違うんですけど、曲のイメージはこんな感じなのかなと思って作りました。
──スーパーカブに乗っていますが、あれは愛車?
Elle Teresa:あれは借りました。ピンクのバイクを頼んだら、あれが来た(笑)。
──曲を作ると、イメージがいろいろ広がっていくんですね。
Elle Teresa:そうなんです。ビデオもイメージが浮かぶので。
──このアルバムについて、改めて何か感じていることはありますか?
Elle Teresa:ミリオンヒット行って欲しい(笑)。今後、もっと曲を出していきたいですね。もう作ってある曲もあるし、どうやって見せていくのかを自分でも楽しみにしてます。そういうことの一歩目が今回のアルバムなので、「とりあえずみんな聴いてください」っていう感じですね。
──メジャーでリリースするようになって良かったと思っています?
Elle Teresa:思ってます。まじで幅が広がったし、やらせてもらえることの規模も大きくなったので。個人でやってたら無理なことだらけ。ずっとゆるくやってきたから、「もっとプロだと思ってやらなきゃやばい」って最近思ってます。体力がなくて、すぐに「疲れた」ってなるので(笑)。プロ意識を持ってこれから頑張ります。
──最後に何か追加で言っておきたいことは?
Elle Teresa:ない(笑)。ないっていうか、もう言えた全部。「聴いてください!」しかないかな。楽しんで欲しい、夏を。BARKSをご覧のみなさん、夏を楽しんでください。あたしの曲と共に。
取材・文◎田中大
撮影◎野村雄治
<Elle Teresa“Sweet My Life Japan Tour”>
7月15日(金)北海道・UTAGE SAPPORO
7月17日(日)岡山・VESTI Room
7月29日(金)広島・HERBIE
7月30日(土)静岡・Roop Sounds
8月7日(日)熊本・SPACE KUMAMOTO
8月14日(日)大阪・MADAM WOO OSAKA
8月26日(金)愛知・ORCA NAGOYA
9月3日(土)兵庫・ANCHOR
9月4日(日)京都・KITSUNE KYOTO
9月17日(土)岩手・SICKth
9月19日(月)茨城・club GOLD
9月30日(金)宮城・ART night club
10月15日(土)福岡・Voodoo
◆Elle Teresa オフィシャルサイト
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