【インタビュー】minori、瑞々しくも熱く力強いバンドサウンドで心を撃ち抜く1stミニアルバム『光ある街に背を向けて』
東京・町田発の4ピースロックバンド・minori。瑞々しくも熱く、力強いバンドサウンドでライヴキッズの心を撃ち抜き、サーキットイベントでは入場規制がかかるなど、着実に人気・実力を高めてきている彼らが、初の全国流通盤となる1stミニアルバム『光ある街に背を向けて』を完成させた。新曲はもちろん、これまでライヴのハイライトを飾ってきた人気曲も含めた全8曲を手に、現在は全国20カ所を廻るツアー<NO LIGHT TOUR 2022>を開催中の彼ら。“あなたの背中を押せるように”と日々音を高鳴らす、齋藤伶(Gt.Vo)、坪山望(Gt)、鈴木要輔(Ba.cho)の3人に話を聞いた(ドラムの渡辺留惟は欠席)。
■今のminoriはこれを聴けばわかるみたいな感じで
■入れる曲や曲順を決めていきました
──minoriはどういったところから始まったんですか?
齋藤伶(以下、齋藤):元々は僕とドラムの渡辺(留惟)が高校の軽音部に入っていて。一緒に帰っているときに一緒にバンドをやりたいって誘ったんです。で、ベースは高校の先輩にお願いして、スリーピースで1回やったんですよ、曲も作って。その後にリードギターが欲しいなと思って、高校のひとつ上の先輩だった坪山(望)を誘って、4人で活動していたんですけど、ベースがやめることになって。そこから仲の良いバンドマンだった彼(鈴木)を、最初はサポートっていう形で誘って。
鈴木要輔(以下、鈴木):その後に入りました。
齋藤:今の形になってからはだいたい2、3年ぐらいですね。
──そういえば、今の軽音部って、学校によっては選抜メンバーでバンドを組んだりするみたいですね。
齋藤:ありましたね。それこそ坪山がそれで。
坪山望(以下、坪山):元々高校3年間はベースだったんですよ。それで、選抜で大会に出たりとかしていて。リードギターを始めたのはminoriに入ってからですね。
齋藤:「最近ギター買ったらしいよ」っていう話を聞いて、それまでめちゃめちゃベーシストだったんですけど、ギターをやらせようと思って。
▲齋藤伶
──先輩にやらせようと(笑)。でも、ギターをやってみようと思ったのは?
坪山:最初は趣味でやってみようと思ったので、バンドを組む気はあまりなかったんですけど。でも、2人は後輩だったけど実力があることはわかっていたので、安心して続けられそうだなと思って、ギタリストとして歩んで行こうと思いました。
──鈴木さんは、最初はサポートだったとのことでしたけど、minoriというバンドにどういう印象を持っていましたか?
鈴木:年齢がみんな僕よりも下だったので、なんか若いというか(笑)。いまは年齢とか気にしてないですけど、最初は年下の感じはめっちゃありましたね。みんな敬語だったし(笑)。でも、ロックバンドというか、“男4人組”みたいな感じの印象はありました。
──齋藤さんはどんな音楽が好きになって、自分もやってみようと思ったんですか?
齋藤:中学2年生のときに、家にあった父のアコギを弾き始めたのが最初でした。そのときはback numberの弾き語りをしてたんですけど、一回挫折したんですよ。Fコードが押さえられなくて。
──最初の壁ですね。
齋藤:そうです。でも、1年後ぐらいにもう一回やってみようかなと思って、ちょっと練習したら弾けるようになって。たぶんそこで出来ていなかったらバンドをやっていなかったですね。高校に入ってからいろいろなバンドを聴くようになりました。4ピースのバンドをやりたいと思ったのは、koboreのライヴを見てそれに憧れたというか。だから、ルーツとしては日本語ロックのバンドですね。
──軽音部でバンドをやりながら、ライヴハウスにも足しげく通い。
齋藤:そうですね。高校のときに組んでたバンドとminoriの2バンドやっていたときがあって。軽音部の合同ライヴが終わった後、夜は町田のライヴハウスに制服で行って、着替えてライヴするっていうのを週1でしていたり、学校にギターを持って行って、部活を休んでライヴに行くっていうこともありましたね。
▲鈴木要輔
──かなり音楽漬けだったんですね。坪山さんは、ベーシスト時代とギタリスト時代で、影響を受けた音楽って結構違ったりするんですか?
坪山:ベーシストの頃は5弦ベースを使っていて、ハードでチューニングが重たいもの、大まかに言うとラウドロックが好きでした。日本だとCrystal LakeとかFALLING ASLEEP、海外だとKnocked LooseとかCounterpartsみたいな、メタルコアとかポストハードコアがすごく好きで。
──そういえば、坪山さんのTwitterのアカウントが“djent_chag”なんですよね。この人はどんだけ重い音楽が好きなんだと思って(笑)。
坪山:それいつもツッコまれます(笑)。
──(笑)。音楽の趣味はギタリストになってからも変わらず?
坪山:そういう音楽も聴くんですけど、バンドに落とし込むリードギターを考えたときに、あまり(齋藤)伶が聴くような音楽を聴いてこなかったので、最近は日本語のロックを聴くことが多いです。
──鈴木さんはどんな音楽が好きでした?
鈴木:中学生のときにニコニコ動画にハマって、ボカロとかが好きになって、ベースの“弾いてみた”の動画を見て、かっこいいなと思ってベースを始めました。だから、音楽的なルーツになると、ネット系の音楽ですね。初めて買ったCDは、歌い手の__(アンダーバー)でした。
──だいぶトリッキーな……。
鈴木:そうですね(笑)。その後にバンドを好きになっていったんですけど、やっぱりベースから入ったので、ベースがかっこ良い音楽が好きでしたね。日本人だとゲスの極み乙女とか、洋楽だとJamiroquaiとか、ブルーノ・マーズとかをすごい聴いてたんですけど、パンクも好きですし、ロックも好きですね。前にやっていたバンドは、女性ボーカルで、結構カッティングとかも入っているような感じだったので、結構いろいろなものが根底にはあるかなと思っています。
▲坪山望
──ちなみに齋藤さんは、渡辺さんと音楽の趣味が似ていたところもあって、最初に声をかけたんですか?
齋藤:若干似ていたんですよ。でも何が好きなんだろう……。
坪山:AGOF(A Ghost of Flare)とか?
齋藤:ああ。坪山と趣味が合うんですよ。ハードコアとかも好きですし。
坪山:くるりとか?
齋藤:その辺も好きですね。アジカン(ASIAN KUNG-FU GENERATION)とか渋めな音楽も好きで。
坪山:あと、Age Factoryがすごく好き。
齋藤:そうだ。軽音部のときは違うバンドをやっていたんですけど、彼がやっていたバンドが男子4人組で、ボーカルがハンドマイクで、ハルカミライみたいなコピバンをしていたんですよ。それを見て、かっこ良いなと思って。だから、いろいろな音楽を聴くとは思いますね。
──齋藤さんは、minoriとして活動を始めたとき、自分たちがやろうと思っている音楽のイメージも結構はっきりとあったんですか?
齋藤:最初の頃は、恋愛の曲ばっかり作っていたんです。自分としてはそっちのほうが書きやすかったんで。でも、そういう曲しか書けなかったんで、昔は暗かったんです、バンド自体が。曲も暗いし、MCも暗いし。
──そうなんですね。
齋藤:恋愛の曲でも明るいものはあるじゃないですか。でも、失恋の曲とか、マイナーコードでミドルテンポの曲ばっかり作っていたんで。そういうときにkoboreと出会って、モロに変わった感じでした。徐々に明るい曲とか、恋愛じゃない曲が増えていって、今は恋愛の曲が少なめになってきましたね。
──そういう変遷がありつつ、今回初の全国流通版ミニアルバム『光ある街に背を向けて』を完成されて。どういう1枚にしようと考えていましたか?
齋藤:8曲入りなんですけど、実は新しい曲が3曲しかないんです。収録されている4曲はライヴの定番曲でもあるので、昔からやっている曲と新しい曲も入れて、今のminoriはこれを聴けばわかるみたいな感じで、入れる曲とか曲順を決めていきました。
──ちなみに新しく作ったのはどの曲です?
齋藤:「ビューティフルデイズ」「あなたの事ばかり」と、リード曲の「流星群」ですね。1曲目の「夜道、照らす街灯」は、高校時代からあった曲で、ライヴでは一時期やらなくなっていたこともあって。昔から町田CLASSIXっていうライヴハウスに出ていたんですけど、まだお客さんが誰もいなかった頃にやっていた曲を1曲目に入れて、こういう曲もあるんだよっていう感じで構成とかは考えていきました。
──曲はいつもどう作っていくんですか?
齋藤:僕がアコギで弾き語ったものを持っていく感じですね。
──まずメロディですか? それとも歌詞?
齋藤:メロディ先行です。まずサビのメロディを作って、歌詞を入れて、Aメロ、Bメロって展開考えて。ある程度形になったらカラオケに2時間ぐらい入って、ガンガン弾きながら歌って。
──カラオケで録るんですね。
齋藤:一回、実家で歌っていたときに「楽器禁止です」みたいな張り紙をされちゃって(笑)。初めてそのことを知ったんですけど、たぶん隣の家が苦情を言ったらしくて。今は一人暮らししてるんですけど、壁が薄すぎて、話し声とかテレビの声とか聴こえてくるぐらいなんで、超小声でメロディを考えて(笑)。で、カラオケで行って、録音したやつをバンドに送って、2、3週間後ぐらいにスタジオを長時間とって、作っていく感じです。
──アレンジはみなさんで詰めていくんですね。弾き語りの音源を送るときは、「こういう感じにしたい」みたいな一言を添えたりするんですか?
齋藤:いや、添えずに一回やってみます。それぞれやりたいことがあると思うから、自分が考えていたものは何も言わずに、まずはとりあえずそれをやってもらって。弾き語りでもだいたいのアレンジってわかると思うんですけど、違う解釈で来ることもたまにあるんですよ。でも、それはそれでいいなと思ったら、何も言わずにその形に変えるし、自分が考えたやつのほうがいいかもと思ったら、そっちを一回やってもらって。だいたい2、3パターンぐらいアレンジを考えるんですけど、それを一回ずつやって、多数決で決めることが多いです。
──多数決の結果が分かれることも多いですか?
齋藤:めちゃめちゃ分かれます(笑)。だいたいが俺・ドラム・ベースと、ギターの3対1になるんですけど、たぶん、俺とツボ(坪山)の考えがちょっと似てるところがあるから、俺がツボ側の意見になることもあって。でも、アレンジするときに満場一致っていうのはあんまりないかな。そういうときは論破し合う感じです(笑)。でも、ケンカするっていう感じじゃなくて、どっちかが折れるというか、認め合うというか。そういう感じになりますね。
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