【インタビュー】ヒトリエ、アルバム『PHARMACY』完成「“これを無視できるか?”っていう気持ち」

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■バンドを再構築という段階は
■もう過ぎました

──6曲目の「Flight Simulator」以降はギターロック色が強くなりますね。

シノダ:速い曲をギュッ!と1つにまとめたかったというか。曲間もなるべく減らして、テンポ良くいく感じにしたかった。ライブ感があるというかね。うちらのライブの終盤もそういう感じで、速い曲で畳みかけることが多いですから。

──「Flight Simulator」は、飛行機に乗っている時に聴くのは避けようと思っています。かなり情緒不安定な乱高下がありますから(笑)。こういう曲を聴くと、3人のアンサンブルの妙がストレートに再確認できます。

シノダ:この3人でやってきた意味が、また1つ提示できたのかなと思います。「Flight Simulator」はギターダビングをほとんどせず、3ピースで完結する音だけで録り終えたんですよ。こういうことができるのもヒトリエなんですよね。

ゆーまお:得意技の部類ではあるよね?

シノダ:うん。思い返してみると、こういうことをずっとやってきたから。

──<COUNTDOWN JAPAN>に初出演したヒトリエのライブレポートで、シノダさんとイガラシさんがステージの左右で激しく動きながらプレイする様をテニスのラリーに喩えたんですけど、「Flight Simulator」はまさにあの感じが当てはまる曲です。

イガラシ:確かに「Flight Simulator」はそういう曲なのかも。


ゆーまお(Dr)

──「3分29秒」「ステレオジュブナイル」「strawberry」に関しては、ギターソロがカッコいいっていうことも強調しておきたいです。少し前に“若者のギターソロ離れ”みたいなことがSNSで話題になっていましたが、何か思うことはありますか?

シノダ:飛ばされるギターソロが悪い、と私は思っています(笑)。

──なるほど。では、「ステレオジュブナイル」は、すごくヒトリエのことを描いている曲だという感じもしました。“なんせ嫌われるくらいのことが 好きなんだからしょうがない” “この曲はもう終わりますけど こんなん聴いてくれんのお前だけ”とか、“ほんとそういうバンドだよな”っていう感じがありますから。

シノダ:<Amplified Tour>を経て、“なんでこの人たちはこんな状況でも、俺たちのライブを観に来てくれるんだろう?”と思って。それに対するアンサーと言いますか。“この気持ちをお返しするには、曲と歌詞だな。あの時はありがとね”みたいな。だからなんて言うんでしょう?……“ロックっていいよね? ロックバンドっていいよね?”っていうことなんですけど(笑)。

──シンプルなことですよね?

シノダ:“ちょっと照れくさいけど、恥ずかしげもなく言ってもいいのかな?”と。この曲の歌詞を書いている時に、そういうムードになったんです。

──この曲と、その直後に始まる「strawberry」は、メロディが爽やかです。

シノダ:“一遍聴いただけで覚えてもらえるようなものでないと駄目だ”っていうのが、ずっと僕のテーマでもあって。そういうメロディが1つでもあることが大事だと思ってます。そういったことを改めて考えながら「ゲノゲノゲ」を書いたんですけど、それの別解みたいなものが「strawberry」です。


──そして、このアルバムを締めくくる曲が「Quit.」。イガラシさんの作曲ですね。

イガラシ:はい。アルバムの中で浮いてますか?

──優しくて温かいものが伝わってくるこの曲は、アルバムの締めくくりとして美しいと思います。

イガラシ:“物事が終わる時の感じ”を思いながら作ったんです。物事の終わりは悲しいだけじゃない部分があるじゃないですか。なにかが終わったとしても思い返して過去に感謝したり、優しい気持ちになったりもしますから。そういうことが表現できたらいいなと思って作りました。

──歌詞は、どういうことを思いながら書きました?

シノダ:テーマらしいテーマはなかったのかもしれないです。“俺らは俺らでやっていくよ”っていうことだったり、“なんだかんだ夏っていいよね? それでも夏はやって来るんだよ”っていうことだったりもしますから。

──“いろいろなことが起こるけど、日々は過ぎて行くし、自分は生きていくし”ということなのかなと感じられます。

シノダ:“循環しながら、やがて終わっていきます”っていうことなんです。

──“ここからまだまだやっていきます”っていう「ステレオジュブナイル」と通ずるものも勝手に感じています。

シノダ:そういう側面もあるかもしれません。

──停滞ムードの世の中に光をもたらしてくれたり、バンドとしてますますという気持ちが込められていたり、元気が回復するような。だからこそ“PHARMACY(薬局)”なんですね。アルバムが完成した今、改めて感じることはありますか?

ゆーまお:個人的なことですけど、ドラムの録り音がすごくよかった。いつもよりも狭いスタジオで録る機会が多かったんですけど、結果、良い録り音になったことは収穫でしたね。

イガラシ:僕は……引き続き頑張って練習します、という感じです(笑)。

シノダ:“これが全てだとは思わないでほしい”ですね。まだまだ曲のストックはあるので。

ゆーまお:そうだね。”今回これを収録できないのはもったいないな”っていうイガラシの曲もあったし。

シノダ:気づいたら面白いアルバムができましたし、まだまだいろんなことができそう。

ゆーまお:ようやく3人でのヒトリエのエンジンが温まってきたんだと思います。“バンドを再構築”という段階は、もう過ぎました。

取材・文◎田中大
撮影◎堅田ひとみ

■ニューアルバム『PHARMACY』

2022年6月22日(水)発売
【初回盤 [CD+Blu-ray] 】AICL-4253~4 ¥3,740(税込)
【通常盤 [CD] 】AICL-4255 ¥2,860(税込)


▲『PHARMACY』初回盤


▲『PHARMACY』通常盤

▼CD
01. Flashback, Francesca  作詞作曲:シノダ
02. ゲノゲノゲ  作詞作曲:シノダ
03. 風、花  作詞:シノダ 作曲:ゆーまお
04. Neon Beauty  作詞作曲:シノダ
05. 電影回帰  作詞:シノダ 作曲:ゆーまお
06. Flight Simulator  作詞作曲:シノダ
07. 3分29秒  作詞作曲:シノダ
08. ステレオジュブナイル  作詞:シノダ 作曲:ゆーまお
09. strawberry  作詞作曲:シノダ
10. Quit.  作詞:シノダ 作曲:イガラシ
▼Blu-ray ※初回盤のみ
1. 3分29秒 Music Video
2. ステレオジュブナイル Music Video
3. 風、花 Music Video
■店頭特典■
・Amazon.co.jp:メガジャケ
・TOWER RECORDS:アクリルキーホルダー
・楽天ブックス:A4クリアファイル
・応援店特典:ステッカー

■<ヒトリエ Summer flight tour 2022>

7月16日(土) 広島 セカンド・クラッチ
open17:30 / start18:00
7月17日(日) 香川 高松DiME
open16:30 / start17:00
7月30日(土) 宮城 仙台 Rensa
open17:30 / start18:00
7月31日(日) 岩手 盛岡CLUBCHANGE WAVE
open16:30 / start17:00
8月06日(土) 大阪 梅田クラブクアトロ
open17:15 / start18:00
8月07日(日) 兵庫 神戸VARIT.
open16:30 / start17:00
8月17日(水) 鹿児島 SR HALL
open18:30 / start19:00
8月18日(木) 福岡 DRUM Be-1
open18:30 / start19:00
8月27日(土) 北海道 札幌 cube garden
open17:30 / start18:00
9月02日(金) 新潟 新潟LOTS
open18:30 / start19:00
9月03日(土) 石川 金沢AZ
open17:30 / start18:00
9月08日(木) 愛知 名古屋クラブクアトロ
open18:30 / start19:00
9月09日(金) 京都 磔磔
open18:30 / start19:00
9月22日(木) 東京 Zepp Haneda (TOKYO)
open18:00 / start19:00


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