【ライブレポート】さぐぱん(牧島 輝)、“好き”を詰め込んだ1stライブ「僕が楽しいと思えることを一緒に楽しんでくれたら嬉しい」
俳優・牧島 輝のもう一つの顔である“さぐぱん”の1stライブが5月15日(日)に大阪・なんばHatch、5月29日(日)に東京・ヒューリックホール東京で行われた。今回は東京でのライブの模様をレポートする。
◆ライブ写真
牧島 輝が“さぐぱん”名義でアーティスト活動を始めると聞いたとき、いったいどういったものになるのか予想がつかなかった人も多かったのではないだろうか。5月4日にリリースされた初のミニアルバム『さぐわん』でなんとなくの雰囲気はつかめたものの、やはりアーティストとしての“顔”が見えるのはライブである。大阪でライブは行ったが、東京では初となるパフォーマンス。心なしか客席からも緊張した空気が伝わってくる。
バンドを従え、ステージに現れたさぐぱん。記念すべき1stライブの1曲目を飾るのは、自身が作詞した「アネモネ」だ。ミュージカルで鍛え上げられた確かな歌唱力でミディアムスローのナンバーを情感たっぷりに歌い上げ、一気に独自の世界へと引き込んでいく。
「みなさん、こんばんは。さぐぱんで〜す。いぇ〜い」
張り詰めた空気をふわりと和らげたのは、脱力しそうなほどラフな第一声だった。さきほどまでの表情とはうって変わった人懐っこい笑顔を浮かべながら、『さぐわん』がオリコンとビルボードのウィークリーチャートでともに1位を獲得したことに感謝を述べ、そのまま拍手の練習をして客席との距離を縮めていく。
「水槽世界」でアーティストカラーを打ち出し、続いて劇場版ポケットモンスターのテーマ曲であるcoba & 宮沢和史の「ひとりぼっちじゃない」をカバー。観客にハンドクラップを促し、声が出せない中での双方向のコミュニケーションを図る。
オーバーサイズのシャツを羽織り、ガイコツマイクを片手に披露されたのは、「Deep Silence」と「正体」(中田裕二カバー)。グルーヴィーな楽曲に乗せた艶やかなヴォーカルが、えもいわれぬ色香を放つ。
ドキドキしたのも束の間、2回目のMCに突入。「楽しんでますかー?」と再びラフに客席に問いかけ、「いちばん楽しんでるのは僕かもしれない」と笑う。自分がライブをするとは思っていなかったから、いまでも変な感じだと明かし、バンドメンバーを紹介。そのままアコースティックコーナーへ突入する。
スツールに腰掛け披露されたのは、自身が幼稚園くらいに見たというアニメ『ONE PIECE』のエンディング曲「memories」のカバーだった。優しく語りかけるような歌声に、客席も静かに耳を傾ける。
リラックスしたムードの中、トークコーナー「教えて!さぐぱん」がスタート。事前に募集した質問が入っているボックスから質問状を取り出し、それに答えていくスタイルだ。ライブとしては珍しいが、俳優の個人イベントなどではむしろ馴染み深い光景で、おそらく客層的にも親しみやすかったのではないだろうか。
女性の曲をカバーするなら?という質問には、先ほど歌った「memories」も女性ヴォーカルだったことを付け加えつつ、「aikoさんとか好きですね」と回答。質問者の座席をステージ上から探して手を振るなど、まるで友人と気楽におしゃべりしているかのような雰囲気。中には「2ndアルバムのタイトルは『さぐにゃん』ですか?」というユニークな質問もあり、会場がほわっとした空気に包まれる。そして、大好きだというアニメ『天元突破 グレンラガン』のオープニングである中川翔子の『空色デイズ』をアコースティックカバー。原曲のもつ疾走感はそのままに、サビでは美しいファルセットを響かせて観客を魅了する。
ビッグシルエットのトップスに着替え、ここからは怒涛のメドレー。以前のインタビューでも「世代だった」と答えていたボカロ曲「からくりピエロ」「天ノ弱」「命に嫌われている。」を矢継ぎ早に歌う。時勢的に歓声こそ上がらないものの、会場のボルテージが上昇していくのが肌で感じられる。続けてMUCCの「流星」をカバー。歌声はさらに力を帯び、湧き上がる衝動と熱が一気に放出される。ミュージカルでは決して見ることができない、アーティスト・さぐぱんの姿がそこにはあった。
そして、ついさっきまで撒き散らしていた熱を内に抱え、心に引っ掻き傷を残すような切なさをまといながらエモーショナルに歌い上げる「夏は過ぎ去って」で、本編の幕が閉じる。
もっと、もっと、その歌声を聞かせてほしい。客席からの鳴り止まない拍手に応えるようにふらりと登場し、アニメ『地獄少女』のオープニング「逆さまの蝶」をカバーする。アンコールにも自身の“好き”を徹底的に詰め込んでくる。
自身でデザインしたTシャツをはじめ、本人曰く「過去イチ盛れた」写真を使用したグッズを紹介したあとは、デビューシングル「かくれんぼっち」。縦横無尽に暴れ回るメロディーを的確に捉えながら、今残っている全ての力を注ぎ込み、駆け抜けるように歌い上げる。
ここに集まった人はおそらくほとんどが俳優・牧島 輝のファンだろう。だからこそ「自分のいろんな面を応援してもらえて嬉しい」という言葉が溢れてくる。「僕が楽しいと思えることを、一緒に楽しいと思ってくれたら嬉しいし、頑張るから応援よろしくお願いします」とファンに語りかける。
ラストは「flower」。ひとつひとつの言葉を噛み締めながら、とびきり優しく歌う。大切なギフトを壊さないように、そっと誰かに届けるように──。
オリジナル楽曲が少ない分、カバー曲を歌うことで、自身のルーツがわかりやすく、いい意味での雑食さと貪欲を感じさせるライブだった。また、どんなジャンルの楽曲でも歌いこなる、シンガーとしてのポテンシャルの高さも遺憾なく発揮されていた。産まれたばかりのアーティスト・さぐぱんはこれからどんな物語を描いていくのだろうか。次の一歩を期待せずにはいられない、力強い”産声“だった。
取材・文◎加賀谷優子
1stミニアルバム『さぐわん』
■Type-A:初回限定盤豪華盤 / CD+フォトブックレット+ガジェットケース
mu-mo shop 限定販売盤
封入特典:フォトブックレット/オリジナル・トレーディングカード全5種類中1種ランダム
¥7,000(税込)
[CD]
1. かくれんぼっち
2. Deep Silence
3. 夏は過ぎ去って
4. 水槽世界
5. アネモネ
6. flower
■Type-B:通常盤 / CD+DVD(スマプラ対応)
オリジナル・トレーディングカード全5種類中1種ランダム封入
¥3,500(税込)
[CD]
1. かくれんぼっち
2. Deep Silence
3. 夏は過ぎ去って
4. 水槽世界
5. アネモネ
6. flower
[DVD]
1. かくれんぼっち - Music Video -
2. Deep Silence - Music Video -
3. 夏は過ぎ去って - Music Video -
4. アネモネ - Music Video -
5. Deep Silence - MV + Album Jacket Shooting Behind The Scene -
■Type-C:通常盤 / CD+Blu-ray(スマプラ対応)
オリジナル・トレーディングカード全5種類中1種ランダム封入
¥3,500(税込)
[CD]
1. かくれんぼっち
2. Deep Silence
3. 夏は過ぎ去って
4. 水槽世界
5. アネモネ
6. flower
[Blu-ray]
1. かくれんぼっち - Music Video -
2. Deep Silence - Music Video -
3. 夏は過ぎ去って - Music Video -
4. アネモネ - Music Video -
5. Deep Silence - MV + Album Jacket Shooting Behind The Scene -
■TypeD:通常盤 / CD
オリジナル・トレーディングカード全5種類中1種ランダム封入
¥3,000(税込)
[CD]
1. かくれんぼっち
2. Deep Silence
3. 夏は過ぎ去って
4. 水槽世界
5. アネモネ
6. flower
7. かくんれんぼっち Instrumental
8. Deep Silence Instrumental
9. 夏は過ぎ去って Instrumental
10. 水槽世界 Instrumental
11. アネモネ Instrumental
12. flower Instrumental
<さぐぱん 1st Live>
2022年5月15日(日) なんばHatch
大阪市浪速区湊町1-3-1
http://www.namba-hatch.com
開場 17:00 / 開演 18:00
■東京
2022年5月29日(日) ヒューリックホール東京
東京都千代田区有楽町2丁目-5-1有楽町マリオン11F(阪急メンズ館側)
http://hulic-theater.com
開場 17:00 / 開演 18:00
※開場・開演時間は変更になる可能性がございます。
※政府による段階的緩和措置のガイドラインに基づいた配席・対策をとらせていただきます。
◆牧島 輝 avexオフィシャルサイト