【速レポ】＜KITAKAZE ROCK FES＞KNOCK OUT MONKEY、「仲間に捧げます。仲間を好きなあなたに捧げます」

「今までの3年分のいろいろなものを、たった数分で、たった数時間で前向きなものに変えられると俺達は信じてる！ おてんとさんも味方してくれた。主催はNOISEMAKERだが、主役は遊びにきたおまえらだ！」──w-shun(Vo, G)

◆＜KITAKAZE ROCK FES. 2022＞ 画像

w-shunが観客にはっぱをかけ、1曲目の「Black or White」からエネルギッシュなパフォーマンスを繰り広げたのは、神戸の暴れ猿ことKNOCK OUT MONKEYだ。





11年前に大阪で対バンしたことをきっかけにNOISEMAKERと知り合い、以来、ともに切磋琢磨してきたという彼らはサウンドチェックが早めに終わると、「もうやっていい？ 関西人はせっかちなんだ（笑）」とステージの袖にいるNOISEMAKERのAGに了解を求めると、定刻の3分巻で演奏を始め、いきなり観客を沸かせたんだから、前掲の異名も決して伊達じゃない。

「遊んだもん勝ちですよ！」──w-shun

そんなフライングスタートをはじめ、この日、彼らは35分の持ち時間の中に幾つも見せ場を作って、観客を巻き込んでいったのだが、そんなステージングは、まさに百戦錬磨のライブバンドを思わせるものだった。タフな歌声とともにアジテーションをエンタテインメントに変える才能を持つw-shun、テクニカルなギタープレイで演奏を華やかにものにするdEnkA(G)、ベースプレイのみならず、激しいアクションとシャウトでも向こう意気をアピールする亜太(B)、自由度の高いバンドサウンドを手数・足数の多いプレイで支えるナオミチ(Dr)という現在のラインナップが揃ってから、彼らがどんなふうに活動してきたかが想像できるではないか。





メロディックパンクを思わせる疾走感とキャッチーなメロディにメタルやファンクの要素が入り混じるミクスチャーロック・ナンバーをたたみかけるように繋げ、観客のジャンプ、ヘッドバンギングとともに盛り上がりを作っていったバンドは中盤、レゲエ・ナンバーの「映画にも負けないシナリオ」で亜太によるマリオブラザーズのルイージのコスプレとともにヨコノリのグルーブを楽しませる。そして、そんなパーティームードの中、w-shunが不意に「NOISEMAKERも俺達も相も変わらず好きなことをやってるけど、11年前と違うのは、こんな野外ステージでNOISEMAKERがフェスをやって、いの一番に俺達に声を掛けてくれて、こんな早い時間にもかかわらず、こんなにたくさんの人がいること。夢があると思います！」と盟友にエールと感謝を贈ったのだから心憎い。

その「映画にも負けないシナリオ」を、音楽と＜KITAKAZE ROCK FES＞を称えるフリースタイルのラップで締めくくったバンドは、「NOISEMAKERに捧げます」(w-shun)と彼らと出会った頃に、よくやっていたというラップロック・ナンバー「What’s going now」を久々にセットリストに加え、ラストスパートを掛けると、ダンスロック・ナンバーの「Wonderful Life」に繋げ、タオルを振り回しながらバンドに応える観客とともにダメ押しで、さらに大きな盛り上がりを作っていった。


「ライブハウスもロックバンドも死なないから安心してください。NOISEMAKER、こんなふうにじじいになっていきましょう。仲間に捧げます。仲間を好きなあなたに捧げます」──w-shun

熱狂のライブの最後を締めくくったのは、w-shunが語った、そんな思いを込めたロックバラードの「サルビア」。期待するに値する未来を称える歌詞にぐっと来た。NOISEMAKERが3年越しで夢を実現させたこのステージで歌うことに意味があったのだと思うが、神戸の暴れ猿の異名を持つKNOCK OUT MONKEYの熱演は思いの外、エモい後味を残したのだった。

取材・文◎山口智男
撮影◎TAKASHI KONUMA


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