【連載】Hiroのもいもいフィンランドvol.112「Reckless Loveのオッリ・ヘルマンインタビュー:オジー・オズボーンの曲のカヴァーはシンセウェイブがリズムにうまく合った」
フィンランドのメリー・メタルバンドReckless Loveからこの春6年ぶりのニューアルバム『Turborider』がリリースになりました。彼らは2020年にデビューアルバム10周年記念のワールドツアーをオーストラリアを皮切りにスタートさせたものの、最初のオーストラリアツアーのあと、世界的にコロナの感染が拡大してしまい、そのあと予定されていたツアーはすべてキャンセルまたは延期になってしまいました。日本公演も予定されていたものの残念ながらキャンセルになってしまいました。フロントマンのオッリ・ヘルマンは途中歌詞フィンランド語でソロ活動をしていた時期もあったので、もしやそのままソロに転向してしまってReckless Loveが自然消滅したら寂しいなと思ったりしてたので、Reckless Loveとして待望のニューアルバムがリリースになったのはほっとしたのと同時にとても嬉しかったです。
Pic:Pete Voutilainen
フィンランドでは3月あたりからコロナ制限がほぼ解除され、ライブが普通にできるようになりReckless Loveも4月にフィンランド国内ツアーをスタート。フロントマンのオッリ・ヘルマンがヘルシンキTavastia公演前にインタビューに応じてくれました。
──6年ぶりにこの春待望のニューアルバム『Turborider』がリリースになり、フィンランドツアー中ですが今の気分は?
オッリ:とってもいい気分だ。今またライブができることは素晴らしい。まず最初に病気にはなったけどね(笑)。
──今回のツアーの最初に病気になったのですか?
オッリ:先週のユヴァスキュラ公演のあと俺とペペが。コロナではなくて風邪かインフルかだったんだけどね。もうよくなった。
──2年前デビューアルム10周年記念のワールドツアーをスタートしたとこで、コロナがやってきて日本公演もキャンセルになってしまいましたが、それならニューアルバムを作ろうとなったのですか?それともニューアルバム制作の予定はそれ以前からすでにあったのですか?
オッリ:計画はしていたんだ。でもそれを実現するにはそれほど単純にはいかなくて、いろんな多くの幸運が必要になったんだけど、ヨーナス(Sata Cruzの元ギタリストでジョニーの名でも知られるニューアルバムのプロデューサー)と出会ってね。もちろん彼とは以前から知り合いではあったけど、ニューアルバムを作るにあたって共通のインスピレーションを持ち合わせていてそれが決定的な要因となって実現できたんだ。
──このニューアルバムはこれまでのアルバムとはちょっと違ってシンセウェイブのサウンドを感じますが、これは誰のアイデアだったのですか?
オッリ:それは多分俺のアイデアだったと思う(笑)。ずっとシンセウェイブのジャンルのファンだったんだ。もうずっと前になるけど、こういう1980年代を思い出す映画を観てからまた自分の好きだったバンドの曲をよく聴くようになったんだ。デイヴィッド・リー・ロスのアルバム『Skyscraper』やZZ TOPの『Afterburner』や『Eliminator』、 Judas Priestの『Turbo』、それからもちろんDef Leppardの『Hysteria』とか。自分にとっては似たサウンドで、ヨーナスとペペとこれらを総合できないかと思ったところ作り出すことに成功した。
──このニューアルバムの曲はすべて新しい曲ですか?それとも昔作っていた曲をこのアルバムに合うよう新たにアレンジしなおした曲はありますか?
オッリ:すべて新しい曲だよ。「Outrun」と「Like A Cobra」はヤンネ・リンタラと一緒に作った曲で、他の曲はヨーナスがかかわってる。すべて新しい曲で昔の曲は1曲もないんだ。
──ニューアルバムには オジー・オズボーンの「Bark At The Moon」のカヴァーが収録されてますが、この曲をカヴァーしようというのは誰のアイデアだったのですか?
オッリ:プロデューサーのヨーナスのアイデアだったんだ。とってもアイコニックで重要な曲だったから最初俺とペペはそんな曲に手をだそうとは思わなかったんだけど、ヨーナスがはっきりとしたビジョンを持っていて、どうやったらうまく実現できるかって言いくるめられてやってみたらうまくいった。シンセウェイブがリズムにうまく合ったんだ。
──このニューアルバムのプロデューサーはヨーナス・シンセイネンと記載されてますが(笑)、ヨーナス・パルッコネンですね。彼はアルバムリリース前にアルバムには収録されてないシングル「Loaded」もプロデュースしてますよね。なぜ彼をプロデューサーに選んだのですか?彼と仕事はうまく進みましたか?
オッリ:ヨーナスとはもう10年以上も知り合いで、今世界的にもとっても凄腕のプロデューサーで、彼はポップシンガーのロビン・パッカレンからメタルバンドのLost SocietyやApocalyptica、Blind Channelとか、サウンド面でも曲を作るにあたってもマスターであって、彼とアルバムの話をしたらインスピレーションが浮かんできて自然と彼を選ぶことになったんだ。
──その結果うまくいったってことですね。スタジオにはどのくらいの期間いたのですか?
オッリ:曲作るのに2~3週間ぐらいかかって、レコーディングは1ヵ月ぐらいかかったかな。すべていれると昨年の夏に2か月ぐらいかかった。
──そうですか。わりと短期間でできたのですね。
オッリ:そうなんだ。ヨーナスと一緒に仕事してるとすごくインスピレーションがわいてきて、とてもクリエイティブな状態になったんだ。
──「Outrun」のMVにはRebellix(Hiroのもいもいフィンランドvol.108でも紹介したフィンランドのメタルバンド)のサミー・ディーが出演してるのが目につきましたが、どういう経路で彼が出演になったのですか?
オッリ:サミーはThe Riff(The 69 EyesのJussi69オーナーのヘルシンキの人気ロックバー)のバーテンダーとしてもいい知り合いで、MVに誘ったんだ。MV監督のペテ・ヴオティアイネンがエキストラに他のThe Riffでおなじみの人達も呼んだんだ。今夜のライブにも来るはずだ。
──2021年12月オウルとタンペレで開催されたRockin’ Scandinaviaに出演の際、ベースのヤッレがコロナ感染、ドラマーのヘッスが病気で出演できず、急きょミッディ(Bodom After Midnight、元Santa Cruz)とハンネス・ピリラ(Brother Firetribe) が代役で出演しましたが、キャンセルになる恐れはどのくらいありましたか?
オッリ:キャンセルはとっても近かったよ(笑)。ミッディとハンネスはプロフェッショナルなミュージッシャン達でうまくいったけどね。
──ハンネスは2021年秋にRadio Rockクルーズ出演の時にヘッスが出演できず代役を務めた経歴がありますが、ミッディはどのくらい曲を練習する時間があったのですか?
オッリ:そうそう。ハンネスはRadio Rockクルーズの時に代役で出演したことがあるからあらかじめ曲を知っていたけど、ミッディに与えられた練習の期間は1週間だった。
──前回の来日は2017年で、その前は2010年に<Loud Park>に出演しましたよね。それからずいぶん経ちますが、これまでの来日で思い出に残っていることってありますか?
オッリ:特に前回の2017年の日本公演はすごく楽しかったのを覚えてる。そのあと新宿のロックバー、ひとつはFrom Dusk Till Dawnと他にも2軒回ってすごく楽い時間を過ごしたよ。
──この夏はフェス出演、秋にはUKとヨーロッパツアー、12月にはSkid Rowとオーストラリアツアーが予定されてますが、Skid Rowとはどうやって一緒にツアーが決まったのですか?
オッリ:彼らの方から話がきたんだ。以前にも話はあったけどタイミングが合わなくて、今回前回2020年にオーストラリアツアーをしたプロモーターから話が来て決まったんだ。
──他には何か予定はありますか?
オッリ:予定はもちろんあるが、まだ発表はできない(笑)。実現するといいんだけどな。可能になり次第すぐ発表するよ。
──2020年の来日がキャンセルになったので日本のファンも来日を待ってると思います。
オッリ:もちろん日本にもぜひまた行きたいよ。
──最後に日本のロックファンにメッセージを。
この日のTavastia公演ではニューアルバムから8曲披露、加えておなじみのキャッチャーなヒット曲のオンパレード。オジー・オズボーンの曲も彼らがプレイすると確かに今回のアルバムに入っているシンセウェイブなリズムがぴったりあって全く違和感なくReckless Loveとして楽しめました。フロントマンのオッリはいつものようにステージを駆け回り、飛び跳ねたり、足蹴り上げたりエネルギーがパンパンにあふれていて、観客に話しかけたり、呼びかけたりショーマン精神もたっぷりで、観客を引き付ける魅力たっぷり。彼らのライブは見終わった後いつも爽快にハッピーな気分にさせてくれ、みに来てよかった。またみたいと思わせてくれます。
ライブ後しばらくしたらメンバー全員出てきて、サインしたり、ツーショット撮ったりファンサービスもたっぷり。最初にオッリが出てきた時には静かに暗黙の中順番を待つ長い列が自然にできてました。こういう時キャーと騒いで群がらず静かに自分の番を待つのはフィンランドだなぁと思いました。ニューアルバム『Turborider』まだ聴かれてない方はぜひ聴いてみてくださいね。2020年には実現できなかった来日公演がどうか実現しますように。
文&ライブ写真:Hiromi Usenius
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