【ライブレポート】新生ファンモン初の全国ツアー完走「みんなと一緒に一つの音楽を奏でていきたい」

ポスト

全国ツアーを回り切ったその時が本当の再始動の時だと、きっと二人とも考えていたはずだ。<FUNKY MONKEY BΛBY'S全国ツアー「YELL JAPAN」>。再始動宣言からおよそ1年、第一期ファンモンのラストツアーからは実に9年ぶりの再会の時。懐かしい人も新しい人も、五月病の人も有給休暇を取った人も、すべて迎え入れて、13公演の12本目、ファイナル東京2DAYSの初日の幕が開く。

◆ライブ写真

みなさま、このたびはYELL JAPANをご利用いただきありがとうございます。──飛行機の最終案内をイメージしたアナウンス、おなじみの「小さな恋のうた」、そしてオープニングSE。一気に高まる期待感の中で幕が上がり、ファンキー加藤とモン吉が左右から勢いよく走り込んで来る。1曲目は「WE ARE FUNKY MONKEY BΛBY’S」だ。サポートDJのバカムスコ翔が大きく手を振って観客を煽り、七色のライトがぐるぐる回る。早くも最幸の空気の中で「ナツミ」から「LIFE IS A PARTY」へ、アップテンポのダンスチューンを連ねてぶっ飛ばす。額に青筋立てて走りっぱなしのファンキー加藤と、笑顔でふわふわ揺れてるモン吉。それはなんとも懐かしくて新しい光景。

「ただいま、そしておかえり。コロナ禍でまだいくつかの制限がある中で、みなさんに歌を歌っていただくことは我慢の時期ですけど、あたたかい拍手、熱い手拍子、マスク越しの笑顔、それだけでたくさんの力をいただきます。最後まで楽しんで行こう!」──ファンキー加藤


16年前のデビュー曲「そのまんま東へ」、セカンドシングル「恋の片道切符」、そしてファンモンを全国区に押し上げた初めてのヒット曲「Lovin’Life」。初期ファンモンの「韻のカタさ」は、近年になってR-指定の発言などでかなり知られるようになったが、あらためて聴いても実にカタい。そして気持ちいい。若者よ、日本語ラップのファンを名乗るならファンモンを外してはいけない。

「恋の片道切符」はまぶしいミラーボールの下で、そして「Lovin’Life」はスクリーンで当時のライブ映像を振り返りながら、若く怖いもの知らずの二人の姿と共に。楽しそうに歌い踊るBABYS(ファンの呼称)たちを含めて、あの時みんな若かった。「ありがとう」は第一期ファンモンに別れを告げるラストシングルだったが、今や新たな希望の始まりの歌になった。時は移り、歌も成長する。

「どーもー、こんにちはー、こんばんはー。西東京八王子なので、大きく言うと凱旋になるのかな。地元でやれて幸せです。来てくれてありがとうございます。楽しんでいってください」──モン吉


ツアー中はここでお互いのソロ曲を披露していたが、今日は特別メニューで「今だってI LOVE YOU」。ヒップホップのルーツへ回帰した、ファンキーなビートと韻のカタさが今こそ新鮮だ。「ヒーロー」はいつものように客席のお父さんを映し出しながら、全員ジャンプで明るく楽しく朗らかに。ファンモンの曲にはどれも必ず身振り手振り、ジャンプやダンスやフリがあって飽きさせない。その楽しみ方は、9年経ってもみんな体で覚えてる。

ここまでのツアーを振り返るフリートークは、明るく楽しく和やかに。マッサージの大事さ、バカムスコ翔の青い髪、大阪でスベったMC、そして待望の新曲披露。ツアー中に制作していた「ROUTE 16」は、デビュー当初のファンモンを彷彿させるマイナー調のアッパーなヒップホップチューンで、八王子と横浜を繋ぐ国道16号線をテーマに、若く情熱的な日々の思い出を回想させるリリックがいい。シングルリリースは6月29日、再始動第二弾にふさわしい力強い1曲だ。

勇ましい「ALWAYS」で拳を上げて暴れまくる、おなじみのシーンをきっかけにライブは後半へ。「未来の君へ」はどちらかと言えばあまり目立たないタイプのアルバム曲だったが、未来の子供たちへ希望を託す優しいリリックが、大人になった今の二人によく似合ってる。10年以上の時を経て、素敵な再発見だ。


「コロナ禍であったり、世界では争いがあったり、今日も悲しいニュースが飛び込んで来たり、いろんなことがある日々ですけど、みんなと一緒に一つの音楽を奏でていきたいと、今日ここに立ってあらためて思いました。これからも末永く見守ってもらえるとうれしく思います」──ファンキー加藤

2021年3月、TBS系列『音楽の日』出演をきっかけに再始動した経緯を語る、決意の言葉と共に歌われた「大切」。ありふれて見えても、あたりまえなんかじゃない。コロナ禍を超えた今だからこそ強く響く、まっすぐで真摯なメッセージ。からの「あとひとつ」で、あの空へ伸ばした全員の手で観客が一つになる素晴らしい一体感。さらに、あたたかい手拍子のリズムで会場いっぱいに幸せが満ちた「YELL」。3曲のバラードを胸の奥深くでしっかりと味わうと、いよいよライブは終盤へ。


極彩色の映像と共にスペイシーなダンスミュージックが炸裂する「メロディーライン」、ダンサブルなラテンビートがかっこいい「ガムシャラBOY」。あの時に比べてジャンプが低くなってるんじゃないの?──加藤の煽りに全力で応える観客の頑張りに、「ファンモンのライブはこうだったな」とあらためて思い出す。ステージの上も下も隔てなく、常に全力疾走。そんな「あなた」が僕らの存在意義だと歌う「希望の唄」が、あの頃よりもさらに深みを増して胸に響く。

そして「ちっぽけな勇気」に込めた、いくつ年を重ねても変わらない、あきらめない心の尊さ。酸素吸入器を片手に、全力パフォーマンスを続ける加藤が「もう一度、みんなで始めてみようぜ」と叫ぶ。音楽は流行に乗せて流れてゆくが、メッセージは流行に左右されない。もう再始動や復活の文字は必要ないだろう。2022年、FUNKY MONKEY BΛBY’Sは現在進行形だ。


アンコール。ダブルミーニングを駆使したきわどいリリックとド派手な映像が楽しい「アワービート」と、じっくり聴かせる定番恋愛ソング「告白」。そして最後はやはりこの曲、過去のファンモンの楽しいライブのフィナーレを常に飾ってきた「西日と影法師」だ。懐かしい加藤の「みんな頑張れ!」と、懐かしい観客の一斉ジャンプ。音楽を聴いて過去に戻るのは素敵なことだ。それが今日の癒しになり、明日の力になるから。

「新しい二人組、ツアーの終わりはあっても、俺たちの終わりはないので、またみんなと一緒に素敵な音楽の旅を続けて行けたらいいなと思います。5月11日、中野サンプラザ、同じ時間を同じ思いを同じ空間を分かち合ってくれて、本当にありがとうございました。大好きなベイビーズ、ありがとう!」──ファンキー加藤


美しい桜吹雪の舞うエンドロール、BGMはファンの声を入れた「エール(合唱ver.)」。それはファンモン健在を示して余りある、ノスタルジーと新たな挑戦との共存する、2時間半の素敵なフライト。そして翌日のツアーファイナルを終えると、二人はまた新たな創作活動へと入る。日本中にエールを届けるFUNKY MONKEY BΛBY’Sの旅に終着点はない。いつかの再会を期して、また会うその日まで、それぞれの人生の良き旅を。

取材・文◎宮本英夫

FUNKY MONKEY BΛBY'S再始動第二弾シングル「ROUTE 16」

2022年6月29日発売

【初回限定盤CD+DVD】
MUCD-9153/4
¥6,600(税抜価格¥6,000)

【通常盤CD】
MUCD-5400
定価¥1,100(税抜価格¥1,000)

初回限定盤DVD収録内容:WE ARE FUNKY MONKEY BΛBY’S in日本武道館 ‐2021‐
パッケージ化要望の大反響を受けて、ファンモン再始動後、初のワンマンライブ(@日本武道館Sold Out公演)のライブ映像全22曲を余すところなく収録(約2時間20分)

ショップ別オリジナル特典
・Amazon.co.jp(メガジャケ:約24㎝×24㎝のジャケットシート:ジャケット表紙と同柄)
・タワーレコード各店
・HMV各店
・TSUTAYA RECORDS各店
・楽天ブックス

共通特典
・セブンネットショッピング
・ネオウィング
・山野楽器
・ヨドバシ.com

◆FUNKY MONKEY BΛBY'S オフィシャルサイト
この記事をポスト

この記事の関連情報