【インタビュー】LOCAL CONNECT、希望をもたらす作品であると同時にバンドの未来が見えてくる『絶対的予感』
▲左から:しゅうま(Ba)、Daiki(Vo&Gt)、ISATO(Vo)、Natsuki(Dr)、まーきー(Gt)
LOCAL CONNECTの2ndアルバム『絶対的予感』はバンドが大きく進化していることを示す作品となった。ツインボーカルというバンドの強みを活かしながら、壮大な歌の世界観を深みと広がりのあるバンドサウンドによって鮮やかに描き出している。2019年リリースの1stアルバム『NEW STEP』は、さまざまな枠組みを超えることで、バンドの新たな可能性を示した作品だった。その『NEW STEP』からさらに大きく強く踏み出したのが『絶対的予感』である。メンバー全員が楽曲制作に関わることで、多くの化学変化が生まれた。その成果は『絶対的予感』というタイトルにも象徴されている。聴き手に希望をもたらす作品であると同時に、バンドの未来が見えてくる作品。メンバー5人に、この新作について聞いた。
■僕とISATOの二人のボーカリストがいるのが僕らのスタイル
■まず“歌がある”ことが大前提なんです
――2ndアルバム『絶対的予感』をリリースした感想を教えてください。
ISATO(Vo):CDのリリース自体が2年半ぶりになるんですが、ファンの手にCDを届けられたという喜びと、ファンの皆さんの喜びがぶつかりあう瞬間を体験できたことがうれしかったです。特に今回は今までとは違う作曲方法で完成させた作品なので、聴いてくれた人、一人一人のリアクションをじっくりかみしめているところです。
Daiki(Vo&Gt):『NEW STEP』も素晴らしいアルバムだったと思うのですが、前作を凌駕する作品になりました。特に着目してほしいのは曲作りに5人全員が深く関わっていることです。今までは作詞作曲する人間が偏っていたのですが、新作は楽曲によって発案者が異なっているので、5人の感性を最大限詰め込んだバラエティに富んだ作品になりました。
まーきー(Gt):前作から作曲の意識が上がり、今回さらに良い形になって、それぞれのメンバーが楽曲を生み出しているんです。たとえば、1曲目の「Regulus」はNatsukiとDaikiが3か月かけて作っています。曲への思いもさらに強くなっています。すでに何曲かライブでもやっていますが、手応えを強く感じていますし、アルバムのツアーがさらに楽しみになっています。
しゅーま(Ba):コロナ前にリリースしようと思った曲もあって、なかなかリリースできずにモヤモヤしたのですが、やっとリリースできて純粋にうれしいという気持ちもありますし、待ってくださったファンの皆さんに聴いてもらえるうれしさも感じています。
Natsuki(Dr):今まで自分達がいたロックシーンからどうやったら一歩進んでいけるのか、オリジナリティーを出せるのかという課題を抱いていたのですが、新作を作ることで課題をクリアーして大きく前進できた実感がありました。またそれとは別に、『絶対的予感』のジャケットデザインや歌詞カードを自分が担当したので、発売日を迎えて報われたというか、これまでとは違う達成感を感じました。
――Natsukiさんがジャケットのデザインを手掛けたのですか?
Natsuki:そうです。『NEW STEP』の時はお手伝いしてくださる方がいたのですが、今回は一人でやりました。大変でしたが、実際に手に取ってもらうことで、やって良かったなと感じています。
――メンバー全員が曲作りにより深く関わるようになったのは、どういうキッカケですか?
Daiki:独立したことをキッカケとして、“自分達のやりたい音楽を1から作ろう”と決めたことが大きかったと思います。『NEW STEP』から路線変更して、楽曲に入れる要素を大きく変えたんです。それまでは自分達の演奏だけを入れた作品作りをしていましたが、『NEW STEP』からはピアノの音が入るなど、同期モノを積極的に活用することで、自分達以外の音もたくさん入れています。さまざまな人に参加していただいたことで、作曲者としてもかなり勉強になりましたし、自分を成長に導いてくれた実感もありました。『絶対的予感』はその延長線上にある作品です。自分たちがイメージする完成形にかなり近づけた手応えがありました。
――LOCAL CONNECTのオリジナリティをより深く追求した作品なのではないかと感じました。
Daiki:僕らはライブバンドではあるのですが、僕とISATOという二人のボーカリストがいるのが僕らのスタイルなので、まず“歌がある”ことが大前提なんです。「歌い上げることで感情を伝えるスタイルが僕らには合っているのではないか」という話を5人でしたことから、歌に対する意識や視点が変わりました。
ISATO:コロナ禍の影響で、バンドの活動にも波があったんですね。さまざまな状況に直面する中で、みんなで作った楽曲が僕らを羽ばたかせてくれました。5人でしっかり話し合いながら曲を作ることができたのが大きかったんです。その結果、LOCAL CONNECTの強みを色濃く反映した作品になりました。
――個々の曲についても伺います。1曲目の「Regulus」はツインボーカルの魅力が詰まった曲です。どんな経緯で完成したのですか?
Natsuki:この曲の発端は僕ですね。今までのLOCAL CONNECTを俯瞰して見た時に、サビメロを二人で歌い分けるのが一つのパターンになっていたんですよ。つまり二人じゃなくてもできることをやっていたので、一人でも欠けたら成立しない曲を作りたいと思ったことが「Regulus」を作るきっかけになりました。そこで出てきたのがミュージカルであり歌のかけあいでした。そこを参考にしながら、自分達の音楽に落とし込めたら、オリジナリティーのある歌になるのではないかとメンバーに提案したんです。曲の理想像から伝えたんですよ。「棒立ちでギターをジャーンとかきむしれる曲がいい」とか、「メチャクチャテンポの遅い曲がいい」とか。そういうところからDaikiさんにコードを付けてもらい、何パターンか弾いてもらって、試行錯誤しながら構築したものが曲の原型になりました。
――Radioheadの音楽に通じるところがあると感じました。
Natsuki:海外のフェスで楽器を堂々とプレイしているイメージに合う曲がいいなということは考えていました。僕は『ガンダム』が好きで、劇場版『ガンダム』を観た時に、こういうイメージで曲を作りたいなと思ったんですよ。崩壊した世界観があって、美しいけど悲しいみたいなイメージ。
――Natsukiさんのイメージをどう具現化したのですか?
Daiki:世界観がはっきりしていたので、サウンドはスムーズに構築できました。今までは一人で作曲していたので、正解がわからなくなることがあったんです。今回は二人で作曲したことによって、Natsukiが“こっちがいい”という判断をしてくれたので助かりました。こだわったのは歌のメロディですね。テンポが遅い分だけ、歌えるパートが少ないので、いかに細かく譜割してリズミカルに日本語を聴かせるかを追求しました。サビが一番突き刺さるメロディでなければならないので、サビのかけあいも時間をかけて作りました。いつもはシンセで打ち込んで、ハモリを分析するのですが、今回は譜割が難しすぎてシンセで再現できなかったので、自分で何回も歌いながら、“このメロディに対してこのハモリが合うかな”とか、“ここで主旋律が入れ替わったらおもしろいかな”とか、いろいろ試しながら作りました。
――かけあいがエモーショナルで、壮大な世界観がさらに大きく広がっていると感じました。
Daiki:サウンドと歌とが一緒に上がっていきたかったんですよ。僕の中では荒野で二人で叫びながら歌っているイメージがありました。
――ISATOさんはどんなイメージで歌いましたか?
ISATO:Natsukiが最初に“二人でしか歌えない歌”ということを提示してくれたので、Daikiと僕の歌がしっかり絡み合うことを意識していました。今までのサビとはまったく違う歌い方に挑んで、最後の抜けのビブラートをDaikiとわざと合わせて、ビタッと止まる瞬間を作りました。声を張るところだけでなく、繊細な部分も含めて表現することで新しいチャレンジができて楽しかったです。
――演奏に関しては?
しゅーま:この楽曲だけの話ではなくて、アルバムを通してということになるんですが、ベーシストとしてのスキルを上げようということは考えていました。自分の中でリズムの解釈を広げて楽曲の中に落とし込む作業をしていました。目に見える技術以外のところでもリズム隊に求められているものが大きかったので、自分としてもこのアルバム制作を通して成長できた実感があります。
――ギターに関してはいかがですか?
まーきー:曲を聴いた時に、“これは来た! ギターが大事な曲だな”と感じました。ドシッとしたところがありながらも儚さがある曲なので、異なる2つの要素をいかに表現するかがポイント。今までは1曲あったら、フルで詰めていくことが多かったのですが、今回はメリハリを意識しました。あとは気持ちが入りやすい曲なので、唯一無二を目指して、自分を出すことを心がけました。
――「Regulus」は獅子座のアルファ星の名前です。このタイトルにした理由は?
Daiki:僕は星や空が好きなんです。サウンドとメロディが先にできているんですけど、そのサウンドを聴いた時に、頭上に広がる星空を連想したので、星をイメージして歌詞を書きたいなと思ったんです。“Regulus”というのは一等星と呼ばれるグループの星の中で一番光が少ない星なんですよ。“いろんな光がある中で、僕達を見つけてくれてありがとう”という、僕達に関わってくれている人達やファンの人達に向けての思いを、一人の人へのラブソングという形で表現しました。一番まぶしい光を放つ星よりも、そんなに強く光っていないけれど、存在を示している星がいいなあ、今の僕達にぴったりなんじゃないかなと考えて、「Regulus」というタイトルにしました。
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