【インタビュー】ゆいにしおの“オハコうた”は？

十八番(オハコ)をテーマに、アーティストの素顔と魅力に迫るTOKYO MXの音楽番組『Artist#18File』。6月はシンガーソングライターゆいにしおが登場し、自身の音楽ルーツや衝撃を受けた楽曲についてのトークを展開。初披露となる貴重なオハコうたや、月曜ドラマ「片恋グルメ日記2」エンディング主題歌「ワンダーランドはすぐそばに」などを弾き語りで披露する。

──ゆいにしおさんのオハコうた、はっぴいえんどの「風をあつめて」について聞かせてください。

ゆいにしお：歌を始めた大学生の時、学祭で、初めて人前で歌ったのが「風をあつめて」だったんです。はっぴいえんどは父がよく聴いていて私もハマったんですが、その時は原曲通りではなく、矢野顕子さんがカバーしたバージョンをピアノの弾き語りで歌いました。人見知りだったのでサークル内でバンドが組めず（笑）、1人で好きな音楽をやっていたんですが、この矢野顕子さんのバージョンなら1人でも出来るかなと思って。今回はギターの弾き語りなんですが、原曲をベースにしつつ、矢野顕子さんっぽい要素もいい感じに混ぜた「ゆいにしお版」として歌いたいと思っています。

──「風をあつめて」は、カラオケで歌ったりすることもあるんですか？

ゆいにしお：そういえば、歌ったことないですね。同世代の子とカラオケに行った時は「もっとコアな曲が歌いたい」という気持ちを抑えて、Hey!Say!JUMPとか歌っているので（笑）。ちなみに、ゆいにしおとしてはライブでも歌ったことがないと思います。


──それは貴重ですね！では2曲目、ゆいにしおさんのオリジナル曲「息を吸う ここで吸う 生きてく」についてはいかがでしょうか。

ゆいにしお：この曲はアニメ『真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました』のオープニングテーマとして書き下ろしました。原作はファンタジーでバトルでっていう世界観なんですが、あまり馴染みがないので最初は「どうしよう？」と思ったんですね。でもスローライフをおくるっていう作品でもあるので、仕事の合間に美味しいものを食べたりだとか、そういうシーンを上手く落とし込めるんじゃないかなと思い、スローライフの方にフォーカスして作りました。日常の何気ない小さな幸せ、普段あまり意識しないような幸せを詰め込んだ曲になっています。

──そして最新曲でもある「ワンダーランドはすぐそばに」は、現在放送中の月曜ドラマ『片恋グルメ日記2』エンディング主題歌にもなっていますね。

ゆいにしお：はい。このドラマは恋とグルメっていう、まさに自分のど真ん中で好きなものがテーマになっているのでお話が決まった時は嬉しかったです。

──ゆいにしおさんの作る曲にはビールを筆頭にいろんな食べ物が出てくるので、個人的にもドンピシャな抜擢だなと思っていました。曲はどんな風に作っていったんですか？

ゆいにしお：とにかく、前向きで明るい曲が作りたいと考えていたんです。最近の情勢からなのかわかりませんが、落ち着いたチルっぽい曲が増えてきているなと思っていて。私もそういう曲は好きだし作りたいなとも思っているんですが、ここは逆にど真ん中のポップで明るい曲を作って、ムードを盛り返していきたいなと思ったんですよね。


──恋に奥手な主人公・コロの背中を押すようなサウンドであり、歌詞でもあるなと思いました。

ゆいにしお：うちはど田舎だったので、小さい頃の思い出は全部車の中と言ってもいいくらい、いつも車で移動していたんです。母の車には「注意一秒 怪我一生」と書かれたお札があって、よく口にも出していました。そこで事故を起こしたらお互いの人生が終わっちゃうから、常に気をつけて守ってくれていたんだなっていう思い出があるんです。この曲に出てくる＜愛してるは一秒で言える でも心には一生＞という歌詞は、まさにそのオマージュ。一秒でも相手のことを気遣えれば、一生その人間関係が良くなることもあると思っていて。逆に、その言葉がなかったせいで関係がダメになっちゃうこともある。この曲を聴いた人がすぐに「愛してる」を伝えて、ハッピーな毎日を送れるようにという思いも込めました。

──7月1日には、＜ゆいにしお Birthday Oneman“Our Wonderland”＞を開催。こちらはどんな内容になりそうですか？

ゆいにしお：ゆいにしおも、どんどんステップアップして、皆さんを大きな舞台に連れていきたいなと思っています。今回は重大発表も予定していますし、「みんなでワンダーランドを作ろうぜ！」っていう気持ちを込めたライブにしたいと思っているので、ぜひたくさんの方に来ていただけたらと思います。

取材・文：山田邦子