<hide Memorial Day 2022>にYOSHIKI、PATA、J、松岡充、綾小路 翔ら集結

ポスト
Photo by 上野宏幸 (株式会社LINKSOLU)

hideのトリビュート・ライヴイベント<hide Memorial Day 2022 Sing along Live "Hi-Ho!">が5月2日、神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホールで開催された。同公演のオフィシャルレポートをお届けする。

◆<hide Memorial Day 2022>画像

   ◆   ◆   ◆

X JAPANのギタリスト、ソロアーティストとして音楽シーンに多大なる影響を与え続けるアーティストhide。1998年に惜しまれつつ永眠、2022年5月2日(月)に、24年目のhide Memorial Dayを迎えた。ここ最近はコロナ禍のため、ファンが楽しみにしているhideの恒例イベントも、配信での開催が続いていた。しかし、今回は、約2年半ぶりとなる有観客ライヴ! パシフィコ横浜国立大ホールで、多くのファンとゆかりのあるアーティストが集まって、華々しく<hide Memorial Day 2022 Sing along Live "Hi-Ho!">が開催された。

タイトルの<Sing along Live "Hi-Ho!">とは、同じ空間に集まったアーティストやオーディエンスが、今もなお色褪せることなく愛され続けるhideの名曲を、ライヴ演奏と歌声(アーティスト)、ハート(オーディエンス)で歌うライヴイベントのこと。人前で大声を出すことがためらわれるコロナ禍において、新しいライヴの方法論として、以前からhideのイベントでは提唱されている。こんなところにも、常にマイナスをプラスに変えるために次々と斬新なアイデアを思いつき実行してきたhideのスピリッツを感じることができる。

会場では、ライヴが始まる前から、桃知みなみがDJで観客を盛り上げている。続いて、OPENINGの映像上映。hideが生誕してからの生い立ちや、歴代続けられてきたhideメモリアルプロジェクトの懐かしい写真の数々を見ながら、ライヴへの期待がどんどん膨らんでいく。

Photo by 上野宏幸 (株式会社LINKSOLU)

映像が終わると、いよいよライヴの始まりである。defspiralが爆音で「PSYCHOMMUNITY」を演奏し、イベントのスタートを告げる。広いステージには、バックにスクリーンが3つ。真ん中のスクリーンにはhide、左右の2つにステージ上のアーティストが映し出される。hideと出演アーティストが、時空を超えて共演できるという仕掛けである。

まずトップバッターとして、hideのイベントには欠かすことのできない3人のヴォーカリストが登場し、「Beauty & Stupid」を熱唱。CUTT(SPEED OF LIGHTS/shame)、TAKA(defspiral)、木村世治(ZEPPET STORE)である。

歌い終わると、3人がそれぞれ自己紹介。「今日のイベントでたくさんの曲を演奏させていただきますわたくしのバンドdefspiralです」と、この日は大活躍だったdefspiralのMASATO(G)とRYO(B)、そしてこの日サポートドラムをつとめる和樹も紹介される。さらに、<Sing along Live “Hi-Ho”>の説明もあり、この日のライヴの主旨が観客に伝えられた。

Photo by 上野宏幸 (株式会社LINKSOLU)

Photo by 上野宏幸 (株式会社LINKSOLU)

そして、早くもイベントのハイライト。前日、急遽ライヴ出演が発表になったYOSHIKI(X JAPAN)が、スマホでステージや客席を撮影しながらステージに登場した。白いロングジャケットに身を包んだYOSHIKIは、英語と日本語を織り交ぜながら「24年間、みんながこうして応援してくれて、hideも喜んでると思う。短い時間だけど、みんなの想い、僕の想いをhideに届けよう」と、観客に語りかける。しかし、返事がないことに気がつくと、「声を出しちゃいけないんだ? だったら、スマホの灯りをつけて」といい、「紅」のメロディをピアノで奏で始めた。音にあわせて、無言で光の灯ったスマホを振る観客。続く「HURRY GO ROUND」では、YOSHIKIのピアノにあわせて、hideの歌声が響く。歌詞がスクリーンに映し出され、きっと観客も心の中で大合唱していたに違いない。

演奏が終わると、「また会おうね」と名残惜しそうに何度も手を振りながら袖に向かい、最後に深々と客席にお辞儀をしてYOSHIKIはステージをおりた。

Photo by 宮脇 進

Photo by 笠井 銑衣智

続いて、GRANRODEOのKISHOWとe-ZUKAが登場。defspiralの3人を従えて、「TELL ME」「BACTERIA」の2曲をプレイ。KISHOWはマイクスタンドを回しながら歌い、e-ZUKAはhideのギターとユニゾンしているようなプレイを笑顔で披露していた。

「50% & 50%」のハードなイントロと共に登場したのは、CUTT。最初に「50% & 50%」のハンドサインをお客さんに説明して、演奏が始まった。お客さんと一緒に楽しもうとするCUTTのサービス精神で、会場はさらにヒートアップ。間奏で「MASATO先生!」と紹介されたMASATOがスリリングなギターソロを披露し、歌うCUTTもとても楽しそうだ。

ドキッとする「うそつき」というイントロの一言のあと、重いビートが炸裂して、「DOUBT」の演奏が始まる。hideのダークサイドな世界観を、TAKAがハードに表現。エッジの効いた音と歌声が、会場に炸裂する。暗いステージ+赤い照明と、スクリーンの中と実際のステージの照明をリンクさせているのが印象的だ。

続いて、木村世治が「FLAME」を歌い始めると、 ステージの上の空気が一変する。ZEPPET STOREからインスピレーションを得てhideが作ったというこの曲を、ZEPPET STOREの木村が情感たっぷりに歌いあげる。

ピンクのヘアに黒いマスクの松岡充(SOPHIA)が歌うのは、「ROCKET DIVE」。黒にイエローラインのパーカーというスクリーンのhideと同じ衣装に身を包み、まるで3つのスクリーンに3人のhideがいるようだ。間奏終わりで、ステージから飛び降り、会場を走り回る動きもhideを彷彿させ、会場の隅々まで盛り上げていた。

Ryuji、HAKUEI(PENICILLIN)の2人から成るバンドプロジェクトThe Brow Beatは、「DICE」「ピンク スパイダー」を妖艶に披露。タイプの違う2人のヴォーカルが豪華絢爛な打ち掛けを羽織り、迫力いっぱいに激しくも退廃的な世界を表現した。

Photo by 上野宏幸 (株式会社LINKSOLU)

Photo by 上野宏幸 (株式会社LINKSOLU)

Photo by 上野宏幸 (株式会社LINKSOLU)

Photo by 上野宏幸 (株式会社LINKSOLU)

Photo by 上野宏幸 (株式会社LINKSOLU)

Photo by 上野宏幸 (株式会社LINKSOLU)

ここで、15分の休憩・換気タイム。この時間を使って、会場内にブース出展として参加した「メイク・ア・ウィッシュ オブ ジャパン」「Team-K」「NPO法人若者メンタルサポート協会」のメンバーが、ステージから活動の告知。ブースでは募金活動や援助資金のための書損じハガキ回収、ボランティアグッズ販売など、こんなところにも、社会貢献運動に積極的に参加していたhideのスピリッツが受け継がれていることを感じられる。

続いて、CUTT、西崎ゴウシ伝説(Calmera)、ゲッターズ飯田、チャンス大城によるSpecial Talkが始まった。自らhideの大ファンであることを公表しており、普段からhideのマニアックな話をしているというCUTTと西崎ゴウシ伝説は、コロナ以前にはふたりでトークショーをやっていたこともあったという。高校生時代にXのコピーバンドをしていたチャンス大城は、芸人として挫折した時に「ROCKET DIVE」を聞き再び夢に向かってチャレンジすることを決めたと熱く語る。ゲッターズ飯田はhideの性格や運気を占い、「今年の夏は非常にいいので、映画もきっといいでしょう」と嬉しい報告をしてくれた。

Photo by 上野宏幸 (株式会社LINKSOLU)

ライヴのインターミッション的な4人のトークが終わるとステージにCUTTが1人残り、「音楽に戻しましょう。わたくしの仲間を呼びたいと思います」といって、TAKAと木村世治をステージに呼び込む。

「こんなコーナーもあっていいんじゃないかと思って、アコースティックをやりたいと思います」と言い、演奏が始まったのは、「LEMONed I Scream」。木村がギターを弾き、3人がそれぞれのスタイルで想いをこめて歌う。ラストでは、スクリーンに映るhideそしてhideバンドのメンバーと一緒にボックスステップも披露し、ほのぼのとした雰囲気を醸し出していた。

hideと同じ迷彩色のパーカーを着て、「横浜、遊ぼうぜ!」と登場したのは柩(NIGHTMARE)。ソロ活動でヴォーカルをとる時もギターは必ず持っている彼が、この日はギターを持たずに「BACTERIA」を熱唱。「まだまだいけますか、横浜!」と客席をあおり、ラストは「hideさん、サイコー! ありがとうございました」と敬愛するhideへの想いを爆発させていた。

「はじめまして、JUONです」と挨拶し、ギターを持って「ROCKET DIVE」を歌ったのはJUON。ミュージシャンとしてのキャリアは長い彼が、2022年7月8日に全国上映が決定した映画『TELL ME 〜hideと見た景色〜』ではhide役を演じている。hideファンの前で初めて演奏することは相当なプレッシャーもあったと思うが、ステージの端まで行ってお客さんをあおったり、MASATOとRYOと3人並んで演奏したりと、伸び伸びとプレイしている。ラストは、「We love hide!」とシャウトし、観客から大きな拍手を浴びていた。

袖から楽しそうにスキップしながら出てきた綾小路 翔(氣志團)が歌うのは、「ever free」。観客の盛り上げ方はさすがで、本人が楽しみながら歌っていることが伝わってくる。曲が終わってからも、「こんばんはー。アクアラインを超えて、ハマにやってきました。俺とhideさんの共通点は、千葉の伝説、ジャガーさんの知り合いということです」と、巧みな話術で会場を盛り上げていた。

Photo by 上野宏幸 (株式会社LINKSOLU)

Photo by 上野宏幸 (株式会社LINKSOLU)

Photo by 上野宏幸 (株式会社LINKSOLU)

hideが海外ミュージシャンと結成したバンドzilchの楽曲「ELECTRIC CUCUMBER」のPVが流れて、センターマイクの前にJ(LUNA SEA)がベースを持って立っている。hideはもちろん、zilchのメンバーとも親しいJだからこそ表現できる「ELECTRIC CUCUMBER」の力強い歌声と演奏である。

「みんな、盛り上がってるかー? ここから見る景色は、本当にすごいね。俺たちLUNA SEAは、hide兄に本当に世話になった。どれだけ時間がたっても、変わらないものがあるって、お前ら、ここで証明しないか? hide兄は、派手なことが大好きだった。きっと、今日は喜んでいると思うよ」。まるでhideに話しかけているようなMCである。

「力強い助っ人を、呼びたい」といって、Jが呼び込んだのはTAKA。「11年前(TAKAと共演して)ロックミュージカルをやった。サイコーだった。あの曲、いこうぜ」といって演奏が始まったのは、「ピンク スパイダー」である。JとTAKAが交互に歌い、defspiralが演奏するというスタイルに、ミュージカル「ピンク スパイダー」の舞台を思い出した人もいたことだろう。

Photo by 上野宏幸 (株式会社LINKSOLU)

Photo by 上野宏幸 (株式会社LINKSOLU)

「たくさんの曲を心の中で歌ってきたと思いますが、次の曲はhideさんと一緒に心の中で歌ってください」というMCで、MASATOがアコギを弾き始めた曲は「GOOD BYE」。真ん中のスクリーンには歌詞が出ていて、観客が心の中で「Sing along」できるコーナーである。

TAKAがhideの有名なMC「遊び足りねーよー!」を叫び、いよいよライヴもクライマックス。「いよいよこの方の登場です」との声で、上手から登場したのは言わずと知れたhideの盟友PATA(X JAPAN/Ra:IN)。ひずんだノイズをハウリングさせて、印象的な「CELEBRATION」のイントロフレーズが響き渡る。PATAが黒いレスポールを弾き、CUTT、木村、TAKAがエネルギッシュにステージ上を動きながら歌う。

「すごい一日だね、hideさんがいて、YOSHIKIさんがいて、PATAさんが来てくれて。やっとだね、有観客。2年半ぶり」としみじみと語る木村。観客を目の前にして、ステージ上のアーティストは誰もが本当に嬉しそうな表情である。そして、PATAがギターをゴールドのレスポールに持ち替えて、「MISERY」が演奏された。

Photo by 上野宏幸 (株式会社LINKSOLU)

Photo by 上野宏幸 (株式会社LINKSOLU)

「皆さん、楽しんでますか? 最後は、スペシャルゲストのみなさんを呼び込みたいと思います」のMCにあわせて、この日ステージを彩ってくれたアーティストが名前を呼ばれて次々と登場。ラストは銀色のテープが客席を舞う中、オールスターキャストで「Hi-Ho」が演奏される。ステージ上のアーティストも、会場の観客も、みんな笑顔、笑顔。ライブ配信の視聴者もそれぞれの場所からhideへの想いを馳せたことだろう。全国から3000人以上のファンが集まった3時間に及ぶステージは、ハッピーオーラ全開で、幕を閉じた。

「また会いましょう!」

次は、今年の夏に公開予定の映画『TELL ME 〜hideと見た景色〜』である。この日もライヴの休憩時間中などスクリーンで何回か予告編が流れていたが、約1分の短い予告編を見るだけでも楽しみが爆発しそうである。

Photo by 上野宏幸 (株式会社LINKSOLU)

取材・文◎大島暁美

   ◆   ◆   ◆

■<hide Memorial Day 2022 Sing along Live "Hi-Ho!">2022年5月2日(月)@神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホール セットリスト
1. PSYCHOMMUNITY / defspiral
2. Beauty & Stupid / 木村世治(ZEPPET STORE)・TAKA(defspiral) ・CUTT(SPEED OF LIGHTS/shame)
3. HURRY GO ROUND / YOSHIKI(X JAPAN) ※hide本人のVocalと同期演奏
4. TELL ME / GRANRODEO
5. BACTERIA / GRANRODEO
6. 50% & 50% / CUTT
7. DOUBT / TAKA
8. FLAME / 木村世治
9. ROCKET DIVE / 松岡充(SOPHIA)
10. DICE / The Brow Beat
11. ピンク スパイダー / The Brow Beat
*Special Talk / CUTT、西崎ゴウシ伝説(Calmera)、ゲッターズ飯田、チャンス大城
12. LEMONed I Scream / 木村世治・TAKA・CUTT
13. BACTERIA / 柩(NIGHTMARE)
14. ROCKET DIVE / JUON
15. ever free / 綾小路 翔 (氣志團)
16. ELECTRIC CUCUMBER / J (LUNA SEA)
17. ピンク スパイダー / J (LUNA SEA) & TAKA
18. GOOD BYE / defspiral ※hide本人のVocalと同期演奏
19. CELEBRATION / PATA(X JAPAN / Ra:IN)& 木村世治・TAKA・CUTT
20. MISERY / PATA (X JAPAN / Ra:IN)& 木村世治・TAKA・CUTT
21. Hi-Ho / ALL CAST

   ◆   ◆   ◆

<hide Memorial Day 2022 Sing along Live "Hi-Ho!"ライブ配信>

視聴期間:2022年5月2日(月)17:30〜5月8日(日)23:59
視聴チケット販売期間:2022年5月8日(日)21:00まで
配信サービス:Streaming+(イープラス)
※配信期間内であれば何度でもアーカイブを視聴できます。
※アーカイブ版は配信時間の都合上、CUTT/西崎ゴウシ伝説(Calmela)/ゲッターズ飯田/チャンス大城 のスペシャルトークコーナーをカットした映像となります。

視聴チケット料金:4,400円(税込)
※別途システム利用料220円が必要となります。

視聴チケット販売ページ: https://eplus.jp/hidememorialday2022/
Streaming+ 利用ガイド:https://eplus.jp/streamingplus-userguide/

『TELL ME 〜hideと見た景色〜』

2022年7月8日(金)劇場公開
出演:今井翼、塚本高史、JUON、津田健次郎 ほか
監督:塚本連平
脚本:福田卓郎 塚本連平
原作:松本裕士「兄弟 追憶のhide」(講談社文庫刊)※5月2日より電子版配信スタート
原案協力:I.N.A.「君のいない世界〜hideと過ごした2486日間の軌跡」(ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス刊)
配給:KADOKAWA
製作:映画「TELLME」製作委員会 ?2022「TELLME」製作委員会
公式サイト:https://movies.kadokawa.co.jp/tellme/
公式Twitter&Instagram:@tellme_movie

(C)2022「TELLME」製作委員会

hide The 23rd Memorial 特別企画展 <PSYCHOVISION hide MUSEUM Since 2000>

期間:2022年4月22日(金)〜6月20日(月)
会場:愛知・金山南ビル(旧名古屋ボストン美術館)
特設サイト:https://www.psychovision.online/

この記事をポスト

この記事の関連情報