【対談連載】ASH DA HEROの“TALKING BLUES” 第12回ゲスト:JESSE [RIZE / The BONEZ]
■この2年間で大事なことにも気づけた
■その瞬間、一気に変わったんだよ
──そもそも、ふたりが初めて対面したのはいつ?
ASH:JESSE君は本当に目標の一人。俺の中でカリスマでスターだった。忘れもしない、2010年の名古屋ダイアモンドホールっすよ。
JESSE:おお、そのときに何かがあった?
ASH:RIZEとP.T.P.のツーマンを観に行ったんだけど、俺が当時やっていたバンドのお客さんもガチガチのRIZERで。ツーマンが終わって外に出たら、その子に声を掛けられて、「楽屋口で待っていたらJESSEが出て来るから、出待ちしようよ」と言われて。
JESSE:おっ(笑)?
ASH:ただ、俺はそういうの苦手なんですよ。でも、その子が「自分のことを売り込んだら、JESSEは絶対に受け止めてくれるはずだから」って。そうしたらJESSE君が楽屋口から出てきて、出待ちしてるヤツらに声を掛けていくんですよ。「お疲れ。オマエ、そこでタバコ吸ってんじゃねえよ」とか前のほうのヤツに言ってて。“うわ〜、JESSEが徐々に俺のほうに来る、俺の順番が来たら、と考えると超ドキドキするな”とか思ってて。だけど、隣に俺のファンでもある子がいるわけだから、バチバチにカッコつけなきゃなって。
JESSE:そりゃ、そうだよね(笑)。
ASH:それでJESSE君が来たときに、当時の俺のバンド名とかも言って、「俺はいつかJESSEさんと対バンするんで、絶対に忘れないでください」って。しかも当時二十歳ぐらいの俺はイキってたから、睨みをきかせるぐらいの勢いで(笑)。最悪、ケンカになってもいいぐらいの感じで。
JESSE:うわっ、ヤベー(笑)。
ASH:そうしたらJESSEが「OK。俺はオマエの名前もバンド名も絶対に忘れる」と。
JESSE:あっ、俺、それ言う(笑)。
ASH:言うでしょ? それに続けて「だけど俺が忘れられなくなるぐらい、ガンガン来い。ガンガン来てくれたら、俺はオマエのことを一生忘れないし、そうなったら俺とオマエはダチだから」と言ってくれて。それで俺、「いや、マジで後悔しないほうがいいっすよ。絶対にまた会うんで、忘れないでくださいね」とか言っちゃったら(笑)、「おお、ガンガン来い」って。そういう最初の挨拶があったんですよ。
JESSE:そういうのは大事だね。
ASH:その後、バンドが解散してソロになって。だから、フェスで初めてThe BONEZと一緒になったときは嬉しかったんですよね。だけど、“ここじぇねえんだ。やっぱライヴハウスで対バンしないと”って。同列に並ぶとかじゃなくて、自分の思い描いた形でちゃんと会いたかった。
JESSE:今、これを読んでるヤツで、俺にそう言われたヤツはいっぱいいると思うんだけど。それを叶えたヤツがASHだよ。だからASHの話は、読んでるヤツらを鼓舞させるね。
ASH:俺はJESSEと対バンするところまで追いついたぞって。俺は自分のあきらめの悪さを世界一にしたいと思ってるぐらい、あきらめが悪くて。だから絶対に断られる前提で、今回、JESSE君に対バンオファーのDMを出したんですよ。
JESSE:いや、熱い気持ちを、最初からはねのける権利なんて他人にはないからさ。ASHからDMが来て、俺がソロでやってるならテメーで決めりゃいいんだけど、バンドとなるとメンバーの意見が大事で。それは、曲に対しても活動に対してもそう。俺はリーダーだけど、作る曲によっては他のメンバーがバンマスに変わったりするんだよね。俺がバンマスのときには他のメンバーがリーダーになったりもするし。それができるのがバンドだと思うから。だからASHからのDMをメンバーに投げたんだけど、そうしたら「JESSEがやろうと言うなら俺もやるぜ。直感的におもしろそうだ」と。でも言っておく。俺ら、バチクソ、ヤバいライヴするから。
ASH:バチクソ、ヤバいライヴしてくれないと困るっすよ、俺も。
JESSE:それに今の俺は、この2年間で大事なことにも気づけて。“あっ、こういうことか”ってものが見えた瞬間、一気に変わったんだよ。
ASH:マリオ・ブラザースで言ったら、スター状態ってことですよね。
JESSE:例えば“薔薇になりたい”と思ったとしても、自分という花が名もない花だったら、やっぱり薔薇にはなれないんだよ。薔薇みたいに見えても、どっかで不自然な波動が生まれちゃう。でも俺は、自分の花っていうのを見つけたわけ。それは女性から“なにこの汚い花”とか思われるかもしれないけど、“俺にとってはこれなんだ、この花なんだ。この花を20000%咲き誇らせてやろう”って。だから、誰だってスター状態になれる。
ASH:なるほど。
JESSE:例えばいろんなバンドを観て、“このバンドはすごくいいし、うまいのに、どこか違うな”と思ってしまうことがあって。それはフロントマンが自分の花を持ってるか、持っていないかの差なんだよね。ヴォーカルだけじゃなく、ギターもベースもドラムもそう。そういうことに気づいたとき俺は、The BONEZのメンバーにもその思いを伝えて、メンバーも自分の花に気づき始めていて。自分の花っていうものを見つけるには、俺にはソロの旅っていうのがすごく大事だった。
──憧れて薔薇になろうとしても、自分がその花ではなかったら、似せようとしているフェイク止まり、ということですか。
JESSE:そう。それでも純粋にカッコいいと思う層ももちろんいると思う。だけど俺はそれでは満足しなかったんだよね。そいつらが満足しても、自分自身が“いや、俺はもっと違う、違う道もある気がするんだよ”って。昔は背伸びしなきゃ、目立たなかったからさ、タトゥーも入れたし、服装も頭からつま先までガッツリ決めてたし。全てのスタイルも音楽もカルチャーにすることをガムシャラにやってた。でも、人がどう思うかってのはFuck Itだよ。“無理しないで自分を出せる自分自身にならないと、この先、辛いぜ”と思って。それで探していった。
ASH:分かります。
JESSE:だから俺のソロにはアコギも入っていたり、メロディもあったり。ヒップホップでもない、ロックでもない、ニュージャンル。でも、バンドマンって、このジャンルが絶対に欲しいだろうなって思う。みんなできるだろうし、みんなにやってほしい。JESSEがやったから二番煎じになっちゃうとかじゃなくてね。たまに超トラックっぽい曲もあったり、1ループのものもあったりするし。これってバンドのフロントマンがやれるソロのスタイルだと思うんだよ。
ASH:バンドのシンガーとしてアートできる。新しいジャンルであり、新しいアウトプットですよね。
JESSE:そう。みんなが使えるワザだと思う。
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