【インタビュー】丘みどりの第二章「歌えているのは本当に奇跡みたいなこと」

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■この奇跡を無駄にしないように今まで以上に仕事に対して取り組んでいく

──さて、もう1曲の「Rebirth」もリサイタルで披露された楽曲ですね。

丘みどり:1曲目って、とても大事じゃないですか。どうしようかな、何を歌おうかなということをすごく考えたんです。通常なら「佐渡の夕笛」からスタートするんですが、やはり久しぶりに皆さんにお会いするので、今の私の気持ちを歌いたいなと思いました。ですが自分の曲にはそういう曲がなかったので、作ってもらうことになったんです。今の私の気持ち──いろんなことがあったけど、ここから丘みどりの第二章として頑張っていくのでこれからもよろしくお願いしますという、決意表明の曲を歌いたいというオーダーをして。その結果、この素晴らしい楽曲を作っていただきました。

──そういう時は、歌詞について先生と何度かやりとりをされるんですか?

丘みどり:いえ、歌詞に関してはこのままでした。今お話しした、本当にあれくらいの説明だったんですよ。「振り返るといろんなことがあったけど、第二章としてここからまた皆さんの前で歌えるように頑張りますっていう曲を書いてください」と。プロの方はすごいですよね。「めちゃくちゃ難しかったよ」とはおっしゃっていましたが(笑)、先生ありがとうございます!という気持ちでいっぱいでした。

──みどりさん自身、歌っていてグッと来過ぎるくらいの歌詞になっているんじゃないですか?

丘みどり:そうなんですよ。何回歌っても、どこで歌っても無理です。涙なしには歌えないです(笑)。

──でもこれ、1曲目に歌われたんですよね。

丘みどり:はい。リサイタルで1曲目に歌った時ももちろん泣いていました(笑)。レコーディングの時に「あぁ、これはもう絶対無理だ」と思って、「先生、やっぱりこれ1曲目に歌うのやめていいですか」って言ったら「ダメだよー! 1曲目に歌うって言ったじゃない!」って(笑)。「これ、無理だからエンディングでもいいですか」とか、「この曲の次に歌う「佐渡の夕笛」も歌えなくなりそうだからどうしましょう」とか、いろいろ言いながら本番の日を迎えて。幕が開く前、「絶対に泣いちゃう、大丈夫かな、この歌大丈夫かな」と思っていたんですが、パーッと幕が開いた瞬間、歌が始まる前からすでに泣いてました(笑)。

──そうでしたか(笑)。

丘みどり:皆さんが緑のペンライトを振ってくださっているのを見て、もうダメだと。で、この歌を歌いながら階段を降りてステージに立った時、パッと客席を見たら、ハンカチで目元を押さえていらっしゃる方がたくさん見えて、またもらい泣き。ボロボロでしたが、なんとか立て直して歌い切りました(笑)。またひとつ、思い出に残る1曲になったかなと思います。

──この2曲によって、ここからまた新たにというスイッチが入ったような感じでしょうか。

丘みどり:切り替えている、という感じですね。やはり休んでいる間、本当にまたステージに戻ることができるのかなっていう不安がすごくあって。こんなにお仕事から遠のいたことはなかったので大丈夫かなというのと、これからは自分さえ頑張ればなんとかなるということではないので、じゃあその間子どもはどうするのかとか、とにかくいろんなことを考えたんです。家族の協力がないとステージに立てないというのもありますから、今までもそうでしたが、改めて、こうして仕事ができているのは支えてくれるスタッフや家族などみんなのおかげであり、歌えているのは本当に奇跡みたいなことなんだと思いました。こんなに早い復帰をさせてもらえているのは、奇跡。だからこそこの奇跡を無駄にしないように、もっともっと今まで以上に仕事に対して取り組んでいかないとみんなに失礼だなという気持ちでいますね。

──お子さんの存在こそが、みどりさんを無敵にしている気もします。

丘みどり:確かにそうかもしれないです(笑)。守るべき存在ができたことで、ちょっと強くなれたところもありますし。大丈夫かな、しんどいな、大変だなと思う時も、すごく支えになってくれています。


──ちょっとおかしな言い方ですが、「丘みどり」が子守唄も歌ってあげるんですよね(笑)。

丘みどり:はい(笑)。子守唄はもちろん、番組で歌う歌もそうだし、リサイタルもそうなんですが、セットリストの1曲目から最後まで、最初に聴いてもらうのは娘なんです。全力で、結構大きな声で歌いますよ。娘はグズグズしていてもピタッと止まって、不思議そうな顔でずっと見ています。「皆さんお元気ですかー?初めまして、丘みどりです」「最後まで聴いてくれてありがとうございました」って、挨拶とかも全部聴いてくれて(笑)。童謡だと、「大きな栗の木の下で」はすごく好きみたいで、歌うとキャッキャ言ってますね。歌詞がわからない歌は、YouTubeとかで確認しながら歌っています(笑)。

──という事は、この「雪陽炎」もすでに何度もお聴きになっているんですね。

丘みどり:たぶん、娘が一番聴いているのは「みどりのケセラセラ」なんですよ。時期的に考えると。お腹の中にいる時にあれだけ歌ったし、あれだけ聴いてるからきっと大好きだろうなと思って生まれてからも懲りずに歌っているんですが、いっぱい聴きすぎて飽きたんですかね。なんだか反応が今ひとつで(笑)。「そやね(みどり!)そやな(みどり!)」ってところを言ってもらえるようになるまで、心折れずにしつこく歌い続けようと思っています(笑)。

──(笑)。でもお子さんに歌いかけることで、歌の初心というか、音楽の力、声の力のようなものの基本に立ち返るようなところもあるのかなと感じます。

丘みどり:ありますね。どうしても声を張り上げることを重視してしまうんですが、歌詞の意味を思いながら、語りかけるように歌うってこんなに大事なんだなっていうのも、子守唄を歌っていて気づかされたところでもありました。

──素晴らしい作品と共に幕が上がった第2章。2022年はどんな1年にしたいとお考えですか?

丘みどり:演歌はもちろんですが、ポップスなど他のジャンルの歌もずっと歌い続けていきたいという気持ちも変わらずにあります。新しい環境になっても、停滞する事なくずっと挑戦し続けていきたいですからね。今年は初めて、ツアーという形でコンサートもやるんですよ。本数もたくさんやる予定ですので、皆さんのところに会いに行ける1年になるかなと思っています。丘みどりのコンサート、行ってみたいけどいつも遠いからなかなか行けないわという方もたくさんいらっしゃいましたから、今年はこちらから会いにいくという1年にします。一度ぜひ、生で歌を聴いていただけたらと思うんですよね。テレビから聴こえてくる音とは違う生の迫力を、皆さんに感じていただけたらと思っています。

取材・文◎山田邦子
写真◎大橋祐希

<丘みどりコンサート2022-演魅vol.3->

2022年3月5日(土)奈良県文化会館国際ホール
2022年3月6日(日)和歌山県民文化会館大ホール
2022年3月7日(月)加古川市民会館大ホール
2022年3月9日(水)アクリエひめじ大ホール
2022年4月22日(金)東京エレクトロンホール宮城
2022年6月18日(土)幸田町民会館さくらホール

詳細はオフィシャルHPまで
https://www.okamidori.com

New Single「雪陽炎」

2022年1月26日(水)発売
■CD+DVD
KIZM-715~6 ¥1,700(定価)
[CD]
1.雪陽炎
作詩:森坂 とも/作曲:中尾 唱/編曲:伊戸 のりお
2.Rebirth
作詩:森坂 とも/作曲:向井浩二/編曲:京田 誠一
[DVD]
雪陽炎 ミュージックビデオ・メイキング映像

■通常盤
KICM-31053 ¥1,400(定価)
[CD]
1.雪陽炎
作詩:森坂 とも/作曲:中尾 唱/編曲:伊戸 のりお
2.Rebirth
作詩:森坂 とも/作曲:向井浩二/編曲:京田 誠一

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