【ライブレポート】Kitri、アコースティック編成で届けたぬくもり豊かな世界。＜キトリの音楽会#4 “羊飼いの娘たち”＞東京公演

MonaとHinaの姉妹ふたりによるピアノ連弾ボーカルユニット、Kitriが全4公演にわたるツアー＜キトリの音楽会#4 “羊飼いの娘たち”＞の東京公演を12月18日に恵比寿ガーデンホールにて開催した。

◆公演写真

今年11月には最新シングル「ヒカレイノチ」（TVアニメ『古見さんは、コミュ症です。』エンディングテーマ）をリリースし、一歩ずつ着実に表現場所を広げているKitri。今回のライブのサブタイトルにある“羊飼いの娘たち”とは、ゲストの羊毛(Gt.)と吉良都(Vc.)そしてKitriの2人をあわせ、“羊飼い”と“娘たち”に見立てたものだ。羊毛とは＜キトリの音楽会 #3 “木鳥と羊毛”＞以来の共演だが、吉良都の参加はこれが初となる。

ライブではお馴染みのカラーといえる赤のワンピース衣装と、遊牧民族を想わせるまとめ髪で暗転中のステージに登場したKitriが、ピアノの前に座って1本のライトを灯す。夜になってランプの火を灯す少女たちのような繊細で暖かな演出から、2人だけによるクラシック曲「マ・メール・ロワ No.3」の連弾でライブはスタートした。続いては最新シングル収録のc/w曲「シンパシー」でMonaとHinaの歌声がホールに響き始める。



最初のMCでゲストの羊毛と吉良をステージに迎え入れ、「水とシンフォニア」へ。Kitriのピアノとボーカルにギターとチェロの音色が増えたことで、会場は一気に豊かな音景に満たされた。さらにHinaが打楽器についての「赤い月」「傘」、ふたたび連弾に戻っての「Lily」そして「時の詩」で二部構成の第一部が終了。

本公演は恵比寿ガーデンホールのクリスマスイベント＜L'ULTIMO BACIO Anno21＞の一環にも組み込まれており、20分の休憩時間にはロビーでドリンクに上質なアルコール類を嗜むことができる。ゆったりした時間を味わってホールに戻り、二部が開演。今度は「一新」「青い春」の連弾から羊毛と吉良を呼び込んでの「矛盾律」、そして最新シングル曲「ヒカレイノチ」では、心きらめくような歌声が紡ぎ出された。



MCでは、「ヒカレイノチ」の制作エピソードもKitriの2人から語られた。心が晴れやかになるようなメロディを作りたいねという話からMonaがいくつもメロディを作り、それをHinaに聴かせ「Hinaの反応が最高潮じゃなかったらもう一回作り直す」という、素朴ながら真摯で手のこんだKitriらしい作り方で生み出されたのが本楽曲。そうして最後にHinaもMonaも“これだね“と納得のいく素敵な曲が出来上がった、ということだった。

また、この日はライブ定番の楽曲カバーコーナーに、クリスマスシーズンにあわせてB'zの「いつかのメリークリスマス」が披露された。「物語性の高い曲です」という曲紹介から原曲とはガラリと変わったアレンジで、Monaの中音域の歌声が想像力を掻き立てた。

「こうやってお客さんがこのライブを選んで来てくださっているということがすごく嬉しくて、ぬくもりを感じながらライブをさせていただきました。来年、私たちも本当に楽しみな新曲を作っていますし、また聴いていただけるように変わらず頑張っていきたいなと思っています」という言葉とともに観客へ感謝を伝えたMona。「デビューしてからもうちょっとで3年目を迎える私たちなんですけども、そのときはこんなありがたい景色が広がるとは想像もしていなくて。ここに経って皆さんに出会えてすごく幸せだなと感じました」とHina。ラストはKitriの象徴ともいえる「羅針鳥」。さらに広がる世界へ想いを馳せるようにライブは幕を閉じた。


＜キトリの音楽会#4 “羊飼いの娘たち”＞は今後、クリスマスである12月25日に金沢市アートホールにてツアーファイナルを迎える。なお、MCではKitriの2人が初めて映画音楽を制作したことも明かされた。中には羊毛と吉良が参加した楽曲もあるということで、来年の続報に期待が高まるところだ。

写真：Masatsugu ide



◆Kitri オフィシャルサイト