【インタビュー】KENN ×阿部 敦、MEZZO”1stアルバムリリース「アプローチできる武器が増えた」

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■「Tears Over」は苦戦しつつも新しい試みに挑戦

──レコーディングのお話もお聞きしたいのですが、まず「未来絵」についてはどういったことを意識しながらレコーディングされたのでしょうか?

阿部:「未来絵」は陽のオーラに溢れているのですが、特に最初の2行は春先の突き抜けるような青空のイメージだったので、そんなような情景が浮かぶといいなと思いながら歌っていました。

KENN:その2行を聞いたとき「そーちゃんがめちゃくちゃ笑顔で歌ってる!」ってキュンとしました(笑)。

阿部:伝わっていたならうれしいですね(笑)。

KENN:いきなりそうくるんだ!と思って。僕のなかで壮五と環は「静と動」のイメージなのですが、そんな「静」の壮五の無邪気な笑顔のギャップにやられましたね。僕もわりと笑顔をイメージして歌ってはいるんですけど、そーちゃんはすごく素敵でした。激しい「Forever Note」のそーちゃんも、「未来絵」のめっちゃ笑顔なそーちゃんも本当に尊いですね。

阿部:ありがとうございます(笑)。「未来絵」の1番は割と前向きな感じで、2番は「あの頃はそう思っていたよね」と過去の自分を抱きしめてあげるような印象を受けたんです。そこからの「マイナスをプラスにするための一歩目」という歌詞がこの曲の裏テーマなのかなと思ったので、このフレーズを意識して大事に歌わせていただきました。

──「未来絵」ではどういったディレクションがあったのでしょうか?

阿部:「未来絵」については特にディレクションはなくて。歌いながら「ここはもうちょっとこうしましょう」とか「もう一回歌いましょう」とかそういう細かな調整はありましたが、特段「ここをもっとこうしよう」とかそういうのはなかったと思います。もう、勝手知ったるメンバーですし、こういう世の中の状況になる前はスタッフの皆さんでご飯を食べに行くこともあったので、そういった経験がレコーディングにもすごく生きていると思っています。

KENN:僕もスムーズに録らせていただいたかも。今阿部さんがおっしゃったように音楽チームのスタッフさんとは長年やらせてもらっているので、やりとりがスムーズなんですよね。みんな褒めてくれて、本当にありがたい現場です(笑)。あとは、今回の新曲は第4部終わりから第5部ちょっと前あたりの時間軸です、というお話があったので、僕も「今の環だったらこれぐらいですかね?」とか「今のは笑顔すぎですか?」など、時間軸を調整するやり取りはありました。個人的には、どちらかというと最初の方向性を決めるのは「Tears over」のほうが苦戦しましたね。

──そうだったんですね。では「Tears Over」のレコーディングはいかがでしたか?

阿部:普段の楽曲のレコーディング時って歌いわけが決まっていることが多いんです。「Tears Over」も例に漏れず最初は歌いわけが決まっていたのですが、現場で「ちょっと、これ丸々一曲歌ってみようか」っていう話をスタッフさんとしたんです。単純にメロディーラインが難しかったのもあるし、この情感豊かな歌詞とメロディラインは勢いで歌えるものではないので、一曲丸々歌ったほうがいいよね、という話になって。それで丸々一曲歌ってみたら、結局ディレクターが最初に考えていた歌いわけとは違ったものになったらしいです。久しぶりに丸々一曲ちゃんと歌うことができて、そういった意味でも面白かったですね。

──幻のソロバージョンがあるんですね!

阿部:どうやらスタッフさんが持ってるみたいです(笑)。

KENN:それ是非聴いてみたいです! ちなみに、「Tears Over」はあえてユニゾンしている箇所が少ないのですが、それは個人個人のアプローチを大事にしたいというスタッフさんの思いが込められているそうです。

──おふたりとも、先ほど「Tears Over」が難しく挑戦的だとおっしゃっていましたが、どのような面で苦戦されたのでしょうか?

KENN:最初は大人っぽ過ぎちゃったんですよね。「もうちょっと年齢を若くしましょう」という話から「それだとキャラの方向性が違うかもね」みたいな話にもなって。環ではなくKENN自身になっちゃったりセクシー過ぎてしまったり……ここ笑いどころですよ?(笑)

──(笑)。

KENN:スベりましたね(笑)。それでちょっとまろやかに歌ってみたり、いつもの環みたいにザラザラした声から入ってみたり、振り切って爽やかにやってみたり……環が今まで出してこなかった方向性をどこまで出すかをスタッフさんと一緒に話しながらバランスをとって、何回もトライしながら決めていきました。方向性が決まってからは、そのベクトルに向かってテンポよくレコーディングできたと思います。

阿部:実際難しかったですよね。音もそんなに多くないから誤魔化せないし、勢いでどうにかなるものでもないから。僕は歌のレッスンを受けてきた人間ではないので、出たとこ勝負なところもあるんです。でも、この曲は一音一音きちんと音をとっていこうと意識して歌わせていただきました。

KENN:個人的には、テンポを崩して歌うのがベターな曲だとも思って。きっちり縦を刻んで歌ってしまうと曲の魅力を僕には引き出しきれないと感じたので、重ためにもったりゆっくり後ろにずらす感じで歌うことを心がけました。そういうアプローチは環としては今まであまりやってこなかったので、新鮮で楽しかったです。

阿部:僕個人の印象としては、すごく浮遊感のある曲だなと思っていて。歌詞にも「朝焼け」とか「夜は明けるから」という言葉があるのですが、夜が明けて空が白んできた時間帯のフワッとした浮遊感があったので、ちょっとウィスパー気味に、ふわふわ水の中を漂っているイメージで歌わせていただきました。

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