【インタビュー】村上佳佑、染みこんでくる歌声に浄化される「Somebody」

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■カバーをすることで生まれた試行錯誤
■技術的に前に進んだ部分があるかも


——今回楽曲を通して、村上さんの歌声がとても自然に深く染みこんできました。コロナ禍を経たことで歌についての意識が変わったところはありますか?

村上:言葉にするのは難しいんですが、変化したところはあると思います。1年間音楽と向き合った分だけ、自分の声についても、いろいろ感じることがあったんですよ。カバーをすることで、「この曲のこの部分では、自分の声が美味しく響くな」とか、「ここは微妙だな。じゃあどうしたらいいんだろう」とか、いろいろ感じながら、〝歌っては修正する”作業を繰り返していました。そこで新たに技術的に前に進んだ部分があるかもしれません。今回のレコーディングに入る前にも、車を借りて運転しながら、この歌のここはこう歌いたいなとか、さんざん試行錯誤してから歌っていました。

——歌声に関して、より楽器的な表現をするようになったというところはありますか?

村上:楽器的に捉えているところはありますね。ただし、最終的に歌にとって大事なのは、感情がしっかり乗っていることだと思っています。聴いている方もきっと、感情が乗っているかどうかを無意識のうちに感じているんじゃないでしょうか。どの曲も毎回、自分が泣きそうになるくらい、感情を込めながら歌っていました。

——ピアノやギターの演奏もニュアンスが豊かです。サウンド面でこだわったことはありますか?

村上:歌詞とメロディだけでは表現しきれない部分をサウンドで表現できたらと考えていました。情景の見える曲にしたかったので、参考曲としてサム・スミスの曲をあげながら、「こんな感じにしたいんです」というやりとりをアレンジャーの方と重ねながら作りました。ピアノも少しだけ、にごった音色になっているんですが、葛藤や重さやからっぽな感覚をサウンドも含めて表現できたんじゃないかと思います。

——3曲ともに共通するのは、歌の登場人物はみんな、空を眺めているということです。これは?

村上:僕自身がそうだからでしょうね。うれしい時も悲しい時もだいたい空を見上げるんですよ。気持ちを高めたい時は朝日を見たくなりますし、嫌なことがあった時や悲しい時は1時間くらい、夕暮れの空を眺めていたりします。空は常に日常の中にあるものじゃないですか。空を描くことは自分の日常を切り取ることでもあるし、自分らしさの現れでもあると感じています。

——3か月連続でデジタルシングルをリリースしてみて、まわりの反響も含めて、どんな感想を持っていますか?

村上:まわりのミュージシャン仲間が、「この曲が好きだよ」って言ってくれたりするんですが、結構好みが分かれるんですよ。3曲出したことで、自分なりに曲の振り幅を見せることができたんじゃないかと思っています。

——3曲リリースした時点で、こんな曲を作りたい、こんな歌を歌いたいというイメージはありますか?

村上:村上佳佑というシンガーソングライターの歌に対して、人が「いいね」って言ってくれるのは究極では歌声に対してだと考えているので、身構えずに自然に歌声を聴ける曲、リラックスして歌声を聴いてもらえる曲を作っていきたいですね。

取材・文◎長谷川誠

リリース情報

「Somebody」
2021年9月29日 Release


「Close my eyes」
2021年8月25日 Release


「風の名前」
2021年7月28日 Release

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