【ライブレポート】美味しい曖昧 × INFIY∞、2マンイベントに女子の等身大と決意

美味しい曖昧主催による2マンイベント＜美味しいイベント＞の第2回目が9月30日、渋谷TSUTAYA O-Crestにて開催された。INFIY∞を迎えて行われた＜「美味しいイベント」-美味しいINFIY∞-＞のレポートをお届けしたい。

◆美味しい曖昧 × INFIY∞ 画像

先陣を切ったのはINFIY∞。メンバーが登場するなり、その振り付けに合わせて迎えるファンと瞬く間に一体感を生み、そこへ響いたのは「いつかのままで」を歌い始めるMEGのまっすぐな歌声だ。さらにMOKAが「一緒に楽しんでいきましょう！」と盛り立てると、1人ずつの歌唱からサビで5人が息を揃えて歌い上げる。その姿に、早くも心をつかまれた。


MCでは、美味しい曖昧への印象を「カッコいい」と語り、その直後に披露した「ケロイド」で、INFIY∞が力強い一面を見せた。一変して、「どうせ僕は君を拗らせる」では、髪を靡かせるしなやかなダンスでフェミニンさを醸し出す。

楽曲に込められた思いや言葉も含めて、INFIY∞のステージからはポジティヴなメッセージが感じられる。ライブ中盤の疾走する「Moonlight Hero」では、それが一層際立った。背中を押してくれるような歌声を響かせる5人の姿が、それぞれのメンバーカラーを身にまとった姿と相まって、まるで戦士(ヒーロー)のよう。それは、INFIY∞の真骨頂とも思える一幕でもあった。

ここで、2マンイベントのお楽しみでもある“楽曲交換”のコーナーへ。美味しい曖昧の楽曲「AIMAI」のカバーでは、「自分たちらしく、やりたいと思います」と語り、そのパート割は雰囲気が合うメンバーをあてがいながら考えたという。「自分たちにはない一面」とも話していた美味しい曖昧が持つ力強さやクールな面を見事全力で披露。「どうでしたか……？」という問いかけに返って来たのは、フロアからの大きな拍手だった。



曲の冒頭で手を繋いで円を作り、心をひとつにした「星降る夜に」から後半戦へ突入。静と動のコントラストが美しく、メンバーに合わせてダンスするファンのボルテージも上昇していくばかり。のっけから手拍子に湧いた「カオス理論」ではタイトルのごとくパワフルに気持ちをぶつけつつ、ダンスのソロパートも見どころのひとつとなった。

ラストナンバーは「未来図」。MEGが「最後の曲です。＜美味しいインフィー＞、最後まで楽しんでいきましょう！」とリードすると、未来という前向きな言葉と、ひたむきに走り続けていくような旋律が、ファンの気持ちを押し上げながら引っ張っていく。可愛らしさと圧倒的歌唱力で繰り広げたアクトは、さすが“ライブ至上主義”を掲げる正統派ロックアイドルならではのものだった。


そして、イベントの主催者である美味しい曖昧がステージに登場した。8月に1stワンマンライブ＜美味しい曖昧 1st ONEMAN 「曖昧なワンマン1」＞を成功させ、ひとつ大きな節目を迎えている彼女たち。ワンマン以降、初の主催イベントかつ長時間のステージでもあったこの日だが、5人が見せたライブは確実に進化していた。

ハイテンポなロックチューン「AIMAI」の力強い歌声と、髪を振り乱しながらの一心不乱なダンスで幕開け。ここに込められたのは女の子の等身大の気持ちと、美味しい曖昧を名乗り生きていくという彼女たちの決意だ。

「あまあま」では、いつも冒頭に言葉を添える凡やよいが「こんにちは、美味しい曖昧です。主催、来てくれてありがとうございます」と告げ、ポップな中に存在感を示していく。こうした“想い”の部分がより伝わってきたのは、言葉がダイレクトに伝わる個々の歌をはじめ、ワンアクション加えた表情豊かなダンスなど、目を引く要素が格段に増えたから。もともと、彼女たちのパフォーマンスは一丸となったときのパワーに凄まじいものがあったが、個の力がより強まるとその魅力が倍増する。歌声を重ねたり、ポーズでファンを巻き込む「綺麗事スコープ」での一体感がより力強いものとなっていた。


ブレイク後は“楽曲交換”のコーナーへ。INFIY∞のカヴァー「星降る夜に」で見せた柔らかい雰囲気も、また新鮮。続く「角砂糖とセイロン」のように、“苦いセイロン(正論)”に対する毒のある言葉での反発心や、「いけるナイトパレード」のように、“君”に寄り添う気持ちなど、美味しい曖昧ならではの視点で女の子が持つ多様な心情を表現したのが、このセクションだった。

ワンマンライブ以降の「メがンでドがクで」では、曲中にMCタイムも。はじけたテンション感の楽曲の雰囲気そのままのトークで、「普段(MCがなくて)お礼が言えないから……」と、ファンやINFIY∞へ向けて「ありがとう」を伝え、「「AIMAI」は自分たちでも難しいのに！」と、INFIY∞のカバーへの感想を語ったところで曲が再開して、MCは強制終了。普段、MCなしが通例の彼女たちがトークを通してありのままの姿を見せたあと、 “本当の私”の特徴や本音を楽曲「さめないワナビー」に乗せて伝えた。

「ナチュラルアレルギー」で一気にラストスパート。ノンストップのまま最後の楽曲「サプリメ」へ。ソロやハモリ、細かくキレのあるダンスなど、メンバー全員が主役になれるエキセントリックでパワフルな楽曲で締めくくった。


INFIY∞メンバーの言葉を借りるならば、“違った一面”を持っているお互い。その個性を堂々と主張する美味しい曖昧とINFIY∞の一心不乱なステージを通して感じたことは、“女の子って可愛くて、時に強くて、豊かな感性で生きている。最強でしょ？”ということだった。

美味しい曖昧主催2マンイベント＜美味しいイベント＞は10月9日の新宿MARZに開歌-かいか-、10月21日のTSUTAYA O-CrestにNELNを迎え、それぞれ開催される予定だ。

撮影◎うつみさな