【インタビュー】ファンタスティック⭐パイセンって一体何者? センス炸裂の1stシングル「他力Hong Gung」

ポスト

2003年生まれの女子2人組・ファンタスティック⭐️パイセン。2020年9月からTikTokにて、ヒット曲の替え歌などで10代のあるあるネタを投稿し、コミカルかつセンスの光る動画で注目を集めている。そんな彼女たちが、2021年8月に1stデジタルシングル「他力Hong Gung」をリリースし、翌月には結成1周年と同作のリリースを記念した自主企画イベントを行った。チケットもソールドアウトし、最近はYouTubeでの投稿も積極的に行っている彼女たち。Twitterのプロフィール欄は“2人組バンド”との記載もあり、メンバーは舞台への出演経験もあるという。アーティスト? 役者? TikToker? YouTuber? いったい何者なのだろうか? マルチに活動の幅を広げ続けているふたりに迫った。

   ◆   ◆   ◆


■日常のすべてがファンタスティックに思えてきました(まほパイセン)
■言ってるだけでポジティブになれるよね(ももパイセン)


──最近は女の子ふたりのユニットも珍しいですけど、衣装でつなぎを着ている女の子も珍しいですね。

まほパイセン(Vo):いつでも体を張れるように日頃から準備をしています(笑)。

ももパイセン(Dr/Cho):いつでもペンキとか被れるように、用意周到な衣装です(笑)。

まほパイセン:音楽以外にも、お芝居やバラエティなど何でもやっていきたいという気持ちも込められています。この前この衣装で、ももパイセンのドラムをセッティングしたんですけど、完全に業者さんでした。超動きやすかったです。

ももパイセン:実は、まほパイセンはキッズサイズのつなぎなんです。だから微妙にデザインが違うんです。

──揃いの衣装で若干はずして差別化を図っているのではなく、サイズの問題だったとは(笑)。ところでパイセンたちは、もともとアーティストとして活動したくて、歌やダンスのレッスンに励んでいたそうですね?

まほパイセン:そうです。パイセン島で暮らし、道を歩いていたら偶然隣にいたというファンタスティックな出会いを果たして。パイセン寺というお寺の住職パイセンに“ファンタスティック⭐️パイセン”と命名していただきました(笑)。ももパイセンを一目見て“すっごい可愛いな~! ドラム叩けそう!”と思いましたね。

ももパイセン:普段“全然ドラム顔じゃない”って言われるんだけど!(笑) わたしは“ちっちゃくて可愛い子だな。歌がうまそうだな”と思いました。

まほパイセン:ももパイセンはドラム顔じゃないことが悩みらしいです。

──ファンタスティック⭐️パイセンは2020年9月に結成し、住職パイセンのアドバイスからまずTikTokで活動を開始。こちらでは10代のあるあるネタをたくさん投稿してらっしゃいます。

ももパイセン:“水泳部あるある”とか“中学生の恋愛あるある”みたいにいろんなあるあるを投稿しているんですけど、自分が入っていなかった部活のネタを作る時はフレンドパイセンにインタビューしてます(笑)。

まほパイセン:必死のリサーチで毎回動画作りをしてますね(笑)。動画はふたりで作っているんですけど、ふたりでネタ出しをして、ももパイセンがそのあるあるを替え歌にしてくれるんです。


──10代のあるあるネタを人気曲の替え歌にした動画が多くて、視聴者さんからも“替え歌の歌詞で覚えちゃって本当に歌詞が出てこない”というコメントが多いです。ももパイセンは歌詞を乗せるセンスがあるんですね。ドラマーだからリズムを取るのがうまいのかも。

ももパイセン:ファンタスティック⭐️パイセンを組む前から、趣味で曲を作ったりしていたのもあるのかな。替え歌の歌詞がバッチリはまると気持ちいいんですよね(笑)。

まほパイセン:あるあるネタをある程度集めると、歌詞が降りてくるみたいです。それこそ彼女ならではのファンタスティックなセンスですね。TikTokは一瞬で次の動画にスワイプされちゃう世界なので、映像も音楽もいかにパッと見で面白そうと思ってもらえるか……といろいろ試行錯誤していて。TikTokを通して発想力が鍛えられたなと感じています。

ももパイセン:そうだね。どんな編集だと面白くなるか、映像のテンポとかも実戦のなかで学んでいきました。

まほパイセン:字幕を入れるタイミングとかもね。特に歌詞の場合は0.1秒が大事なんです。面白いものを作るために日頃頑張っています。

──TikTokで活動をしていくなかでアーティスト活動もスタートし、その1stデジタルシングルが8月にリリースされた「他力Hong Gung」ということですね。

まほパイセン:そうです。リリースが決まって“世の中にファンタスティック⭐️パイセンのファンタスティックを広める機会が来た! やった~!”ってジャンプしました(笑)。

ももパイセン:わたしは“何か裏があるんじゃないか? ドッキリなんじゃないか?”と疑うところから入っちゃいました(笑)。でもサブスクに自分たちのジャケ写が載っているのを見て“おお~!”と実感が湧きました。

▲ファンタスティック⭐️パイセン/「他力Hong Gung」

──「他力Hong Gung」はファンタスティック⭐️パイセンの“学び×エンタメ”というコンセプトに則った楽曲です。ですが1stシングルで世の中に蔓延る“他力本願”の誤用に物申すというメッセージ性の強さ(笑)。

まほパイセン:たしかに!(笑) でも最初からエッジ効かせるのもファンタスティックですよね! パイセン寺で命名してもらったので、お寺にまつわる言葉を届けられる“学び×エンタメ”な楽曲にしたかったのと、あとリリース日がお盆なのもあって“他力本願”がテーマになったんです。

──楽曲をお盆と引っ掛けてるアーティストに会ったの初めてです(笑)。

まほパイセン:本当ですか!? ファンタスティックですか!?(笑)

──ファンタスティックです(笑)。なんでもファンタスティックに着地させながらふと思ったのですが、“ファンタスティック”は口に出すだけでなんだか楽しい気持ちになる言葉ですね。

まほパイセン:結成前まであまり使わなかった言葉ですけど、ファンタスティック⭐️パイセンとして“ファンタスティック”をよく使うようになってから、日常のすべてがファンタスティックに思えてきました(笑)。コンビニで買ったごはんが美味しかったとか、些細なことでも“わあ、ファンタスティック!”と思ったりするので、いい言葉だなと思ってます。

ももパイセン:うんうん。“ファンタスティック”と言ってるだけでポジティブになれるよね。

──「他力Hong Gung」を初めて聴いた時、どう感じましたか?

まほパイセン:もともと中田ヤスタカさんの「NANIMONO(feat.米津玄師)」という曲が大好きで、“ピコピコした音楽をファンタスティック⭐️パイセンで出来るんだ!”と嬉しかったです。すっごい耳に残るなと思いました。自分で言うのもなんだけど、中毒性はすごく強いよね。

ももパイセン:うんうん。自分たちでも知らない間に口ずさんでたりします。自分は邦ロックが好きなので、あんまりテクノポップを聴いてこなかったんですけど、ファンタスティック⭐️パイセンを始めてから色々なジャンルの曲を聴くようになって、こういう機械音もいいなと好きになりました。まほパイセンのオートチューンもめっちゃおしゃれ。サビ前の《その真実を》という台詞はわたしが言っているんですけど、“わあ! わたしが決め台詞を言ってる……!”と感動してます(笑)。

まほパイセン:MVも《その真実を》のシーンは、ももパイセンに爆風が吹いてるんですよ。女神みたいでファンタスティックだなと思っています。


──女の子のグループでここまでビジュアルや声のキャラクターがばらばらなのも珍しいですけど、そのコントラストが曲にしっかり映えてるのも面白いですよね。

まほパイセン:言われてみるとそうかも。声量が違いすぎるんで、TikTok LIVEをすると“ボリュームをまほパイセンの声量に合わせるとももパイセンの声が聞こえないし、ももパイセンに合わせるとまほパイセンの声で耳が死ぬ”と言われます(笑)。曲のなかだとももパイセンのソフトな声がいい味になってますよね。

──歌だけでなく、台詞やラップなどいろんなヴォーカルスタイルが楽しめる楽曲だと思います。2番のラップはおしゃれですし。

まほパイセン:おしゃれに聴こえるのは発音とかもあるのかな。《戦乱続いて世の中 混乱》の“乱”は舌の先を上前歯の裏につけて“L”の発音をしているんです。でも《英語でググるとこんなん出てくる》の部分がレコーディングで苦戦して。“ペリーのモノマネをしている関根勤さんみたいな感じで”というディレクションをしてもらったんですけど、全然うまくいかなくて!

ももパイセン:まほパイセンが録音しないとコーラスを入れられないので、わたしは3時間待ちました(笑)。その甲斐あって、彼女の持ち味の“真っ直ぐ届く歌”がちゃんと出た楽曲になったと思います。いい声ですね……!

まほパイセン:あははは! わたしたちも根っからのハイテンション人間だし、活動の一つひとつが楽しいので、楽曲を通してそういうファンタスティックさを伝えられればなと思ってレコーディングしました。

◆インタビュー(2)へ
この記事をポスト

この記事の関連情報