【ライブレポート】GLAYの日にピースフルで“Premium”な一夜を
GLAYファンにとって特別な日、7月31日の物語にまた新たな美しい1ページが加わった──。
◆ライブ画像(6枚)
この日、Zepp DiverCity(TOKYO)で行われた<GLAY×THE PREMIUM MALT’S The Premium Live>は、コロナ対策ガイドラインにのっとった450名のオーディエンスと、「サントリー ザ・プレミアム・モルツ」シリーズ商品の期間内購入者を対象にした配信視聴者のためのスペシャルライブ。1缶でも購入すればもれなく視聴URLがゲットできたというから、ほぼフリーライブと言ってもいい。いったい何万人、何十万人の視聴者がこのライブを見るのだろう? 相変わらずGLAYのやることはスケールが大きく、そしていつもファンに優しい。
厳かに流れるスカラ&コラシニ・ブラザーズのロック・カバー集がフェイドアウトし、暗闇と静寂を切り裂くTAKURO(G)のギターをきっかけに、七色に輝くゴージャスなステージが目の前に現れる。オープニングは「LAYLA」だ。開放感あふれる明るいエイトビートが心地よく、TERU(Vo)の伸びやかな歌声も1曲目から絶好調。「歌えないかもしれないけど、一緒に心で歌ってください!」と呼びかけ、「グロリアス」「SOUL LOVE」とスーパーヒットを立て続けに投下する。思い思いの装いでファッションを決めたTAKURO、HISASHI(G)、JIRO(B)も積極的にステージ最前線に出て盛り上げる。どうやら今日は出し惜しみなし、外の気温以上にホットな夜になりそうだ。
「声を出したいけれども、我慢しながら、そのぶん拍手や手拍子をしてもらえれば。無理しないで、自分なりの楽しみ方で楽しんでください」
GLAYが東京に出てきた頃に演奏していた曲を──。そう言って歌った「Angelus」は、実に30年以上前のインディーズ時代に作られたレアな1曲。激しいスラッシュメタル調のツインギターが時代を感じさせるが、憂いを漂わすメロディの美しさには、のちのGLAYらしさの萌芽がすでに見えている。そしてTERUのフルパワーのハイトーンボイスが、30年の時を超えて生きる曲に新たな命を吹き込む。いい曲だ。
続けてTERUが10月6日リリースのニューアルバム『FREEDOM ONLY』からの曲を紹介するも、すかさずTAKUROが「……1曲飛ばしましたね」と突っ込み、MCをやり直すまさかのミステイク。JIROがおどけてTERUの肩を叩く。「ここは配信ではカットします」とTERUが笑う。メンバーもオーディエンスもみな笑顔でハプニングを楽しむ、それがGLAYのピースなライブマナーだ。
軽快なスカのビートに彩られた「BLAST」を経て、「新しい時代のGLAYソングを──」と再び紹介し直された新曲「BAD APPLE」は、アレンジャーのTomi Yoが手掛けた精密なトラックとGLAYのバンド感が大胆に合体した、近未来的ポップチューン。そこから大ヒット「HOWEVER」へとつなげる展開が実に鮮やかで、JIROのベースのうねりを強調したスローテンポのアレンジもとても新鮮。さらに、いつどこで聴いても明るく突き抜けた雄大な風景が心に広がる「空が青空であるために」へ。進化するロックバンド・GLAYの中で、古い曲は絶えず衣装を着替え、新しい曲は常に驚きと刺激を身にまとう。今日歌われる曲はきっと、今日歌われるために作られたのだと思う。
「未来には楽しいことがあってこそ、歩んで行けると思うので。ツアーをみなさんの目標にして、日々を乗り越えてほしいなと思います」
11月から始まるアリーナツアーの情報を伝えたあとは、さらなる新曲「BETTY BLUE」のお披露目だ。音源ではゲストボーカルにPORIN(Awesome City Club)を迎えた、人懐っこい優しさとノスタルジックなせつなさに満ちた楽曲を、いとおしむように歌うTERU。そしてPORINのパートを請け負い、あたたかい歌声をまっすぐに響かせるTAKURO。サポートメンバー、ハジメタル(Key)の弾くロマンチックなピアノも愛にあふれて聴こえる。さらに、サポートメンバー・TOSHI(Dr)の強烈なドラムソロを序章代わりに、雄大な広がりを感じるミドルテンポの音空間に、TERUのパワフルボイスが空高く舞い上がる「the other end of the globe」へ。GLAYファンはこれが普通だと思って聴いているが、1曲ごとに違った世界の景色と感情を見せてくれる、多様性に富んだ豊かな音楽はまったく普通じゃない。
「オリンピックに負けないくらい、盛り上がっていきましょう!」(JIRO)
「ビールの缶になることが夢でした。マジで箱買いしてます」(HISASHI)
「7月31日といえば、毎年思い出すのが1999年の幕張です。あれから22年経ちましたけど、今日やっている曲の中では、あの場所で演奏した曲もたくさんあって、その都度思い出していました」(TAKURO)
オリンピック会場でもあるここお台場、メンバーのポートレイトがプリントされた「GLAY缶」が発売中のザ・プレミアム・モルツ、そして22年前の伝説の20万人ライブ。メンバー紹介のトークではメンバーそれぞれがウィットに富んだ挨拶をし、過ぎた日を懐かしみつつ、今この時代に生きている幸せを笑顔でかみしめる。
「OK、カモン、TOSHI!」
TERUのシャウト、雷鳴のようなTOSHIのスネア、空気をビリビリ震わすノイジーなTAKUROとHISASHIのツインギター。「誘惑」から始まったライブのクライマックスは、「彼女のModern…」でさらなる盛り上がりを見せ、ステージ中央でTAKUROとHISASHIがスリリングなギターバトルを繰り広げる。声は出せなくとも体全体を使ったアクションで音楽に乗る観客の姿は、2階席から見ていると通常のライブとほぼ変わりなく見える。「自分なりの楽しみ方で」というTERUの言葉は、オーディエンスにしっかりと伝わっている。
ノスタルジーとぬくもりにあふれた曲調の「FRIED GREEN TOMATOES」で一息ついたあと、ラストは古今無双の狂騒パーティーチューン「ROCK ACADEMIA」で大暴れ。ミラーボールが回り、電飾がきらめき、HISASHIがマイクを握って飛び跳ねる。ここまではギタリストに徹してきたHISASHIがフリーキーな個性全開で暴れ回る。これもGLAY、これがGLAY。最後に猛烈な嵐を巻き起こしてステージを下りる、95分間の超エンターテイメントロックショー。後味の痛快さがハンパない。
「これは放送に乗らないので、楽しませてもらいます。気楽にやっちゃおう!」
TERUの言葉通り、配信オンエアには乗らないアンコールは、メンバーと450名のオーディエンスのためだけの解放区だ。曲は「GIANT STRONG FAUST SUPER STAR」「DOPE」「KISSIN’NOISE」「Chelsea」。本編はやはり配信ライブの緊張感があったのだろう、メンバーの表情が柔らかくなり、動きもさらに軽快になった気がする。「テレビの前のみんな! ……いないか」とTERUがおどけて言う。どれだけスーパーバンドになろうとも、ステージの上で自然体になれる。これもGLAY、これがGLAY。いくつになってもロックとライブが大好きな、バンドキッズがここにいる。
「次のアリーナツアーこそは、一緒に歌いましょう!」
3月から6月にかけて開催した4ヶ月連続配信ライブ<THE ENTERTAINMENT STRIKES BACK>で実験的に得た新たなアレンジ、ニューアルバム『FREEDOM ONLY』からの斬新な新曲、そして30年以上前にさかのぼるごく初期のレア曲。2時間の中にGLAYの過去、現在、未来を詰め込んだセットリストは、まさにプレミアムライブと呼ぶにふさわしいスペシャルメニュー。一期一会の喜びに満ちた一夜だった。
バンドはこのあと、10月6日にニューアルバム『FREEDOM ONLY』をリリースし、11月から12月にかけて全国5都市を回るアリーナツアーに出る。次こそは一緒に歌えるように──。TERUの願い、メンバーの願い、ファンの願いを乗せてGLAYは前に進む。後退の二文字はGLAYの辞書にはない。
取材・文◎宮本英夫
写真◎岡田裕介
■セットリストプレイリスト
https://lnk.to/THEPREMIUMMALTS_ThePremiumLivePR
セットリスト
M2.グロリアス
M3. SOUL LOVE
M4. Angelus
M5. BLAST
M6. BAD APPLE / 59th Singleリード曲(8/18リリース)
M7. HOWEVER
M8.空が青空であるために
M9. BETTY BLUE / 先行配信第3弾の新曲(7/30リリース)
M10. the other end of the globe
M11.誘惑
M12. 彼女のModern…
M13.FREID GREEN TOMATOES / 先行配信第1弾の新曲(5/28リリース)
M14. ROCK ACADEMIA
アンコール
en1. GIANT STRONG FAUST SUPER STAR
en2. DOPE
en3. KISSIN' NOISE
en4.. Chelsea
59th Single「BAD APPLE」
■CD+DVD/PCCN-00045/2,090円(税込)
■CD Only/PCCN-00046/1,540円(税込)
[CD収録曲]
1.BAD APPLE
2.SHINING MAN
3.シューゲイザー(Gray Crow Mix)
4.妄想コレクター(HSMS Reconstruct Ver.)
5.Angelus(3Xdecade Boost Mix)
[DVD収録内容]
・BAD APPLE Music Video
・Making of BAD APPLE
・GLAY「FREEDOM TALK」・前編
・日比谷音楽祭2021
1.誘惑
2.SOUL LOVE
3.青春は残酷だ
[初回生産限定封入特典]
・2形態共通購入者限定ライブチケット抽選受付シリアルナンバー
・≪BAD APPLE×FREEDOM ONLYキャンペーン≫応募券A
Digital Single「BETTY BLUE」
配信サイト:https://lnk.to/GLAYmusicWE
<GLAY ARENA TOUR 2021 "FREEDOM ONLY”>
11月5日(金)大阪・大阪城ホール
11月6日(土)大阪・大阪城ホール
11月20日(土)北海道・北海道立総合体育センター 北海きたえーる
11月21日(日)北海道・北海道立総合体育センター 北海きたえーる
11月27日(土)福岡・マリンメッセ福岡A館
11月28日(日)福岡・マリンメッセ福岡A館
12月4日(土)神奈川・横浜アリーナ
12月5日(日)神奈川・横浜アリーナ
12月25日(土)愛知・日本ガイシホール
12月26日(日)愛知・日本ガイシホール
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