【インタビュー】TEE、海風と自然体な姿を刻み込んだ新作AL『NATURAL』
■自分がお礼を言いたい人や、
■これから一緒に船に乗ってくれる人たち
──「I'm in you 」という曲は唯一、グッナイ小形さんが作詞も作曲もされています。
TEE:グッナイ小形、とんでもないアーティストですよ。もう、度肝抜かれました。
──ご自身もシンガーソングライターとして活動されている方ですが、どういうきっかけで?
TEE:実はしばらく前の僕の誕生日の時に、ある居酒屋で食事をしたんですね。その席でちょっとセッションしたりしてたんですけど、偶然「僕も歌ってるんです」って言って歌ってくれたのが、その店で働いていたグッナイ小形だったんです。その曲が本当に素晴らしくて。で、やっぱり他の曲も聴きたくなったから、ある日の夜中だったんですけど「タクシー代、出すからお願い!」って家まで呼んで(笑)。アルバムを出すから曲をいくつか聴かせてもらいたいんだけどって言って聴かせてもらった中の1曲が、この「I'm in you 」なんです。
──すごい出会いだったんですね!
TEE:僕、「やろう!」って思ったらもう感覚でやっちゃうんですよ。ちょっと話戻しますけど、さっき話した「臆病Love Song」のMVに出てる男性、いるじゃないですか。女性はモデルさんなんですけど、男性の方は、僕らがどんなキャストにしようかっていう打ち合わせをしていた渋谷のハンバーガー屋さんで働いていた子なんですよ。「来週PV撮るから出てくれない?」って、自分でスカウトしました(笑)。
──TEEさん、すごい仕事っぷりじゃないですか(笑)。
TEE:(笑)。でも今回のアルバムは、そのあたりが割と自由にできたんですよ。もちろんスタッフの理解もあってですが、割と自由に動けたというか。アルバムのジャケットとか中に入る写真、MVの監督もそうだけど、アートワークのプロデュースも中国人の友達であり芸術家であるTANKAをチーフに立てて2人で制作したんです。制作会社に頼んで、とかじゃないんですよ。芸術家と2人で作った。それもすごく大きかったですよね、今回は。
──そのスタンスが、曲作りやアートワークなどいろんな方面で生かされたと。
TEE:そうです。フィーチャリングも自分がやりたい人から選びましたしね。まさに、ナチュラルな状態でできたのかなって思います。
──では他の楽曲についてもうかがっていきたいのですが、「Cheek Time」はすごくLOVEな曲に仕上がってますね。
TEE:これは、アレンジでガラッと変わりました。Jazzin'parkの(久保田)真悟くんがアレンジしてくれたんですが、元々5〜6年前に沖縄で録った曲で。もっと夏に踊れる、揺れる曲になりましたね。甘い感じの曲で、映画の1シーンを見ているような感じもあるというか。この曲で好きな人と踊ってくれたらなという、SWEETな曲になりました。
──「Sunset」も、海辺の2人が思い浮かぶような1曲です。
TEE:こっちはちょっと切ないですけどね。夕陽が落ちていくのを見ながら、恋人と、時計の針のようなものを表現しています。
──「ハレルヤ」はシティーポップの要素もあって、軽やかな仕上がり。
TEE:そうですね。あれは今井(了介)さんと一緒に、まさにシティーポップの要素を取り入れて作りました。サビのメロディーとかも少し大滝(詠一)さんのナイアガラサウンドとか、シティJ-POP的な感じにあえてしてみました。
──「どこまでも」はツアーでも披露されてきた曲ですが、アレンジが変わったんですか?
TEE:変わりました。これは正直、いちばん大変でしたね。もともとUVERworldのTAKUYA∞君もこの曲が一番好きだって言ってくれてたし、とにかくいろんな人が「いい!」って言ってくれているものを変えるのってどうなのと思っていたんです。4〜5年前、その時のちょっと流行りのアレンジで作ったものだったんですが、自分的には今聴いてももちろんいいなと思っていたから。でも自分の中の、もう少しいけるんじゃないかとか、もう少し新鮮なものも聴いてみたいっていう欲が出ちゃったんですよね。
──それでアレンジを変えてみようと。
TEE:最初はあまりにも変化の幅が大きくて「どうなのかな?」っていう感じにはなったんですが、「これが生楽器になって、歌をこう入れ直して…」ってイメージしながら作っていき、最後に天秤にかけてこっちで行こうと決まったんです。せっかくだからこっちで行こうかということで決めたんですが、自分的にもすごく気に入っているし、今ラジオ局いくつか周っているんですが、やっぱりこの曲は人気がすごいんですよね。
──大丈夫、諦めるなよというメッセージが、グッと心に染みます。
TEE:以前僕はボクシングをやっていたんだけど、怪我で出来なくなって。ボクシングを辞めるか、じゃあ次はどうするかとかいろいろ考えていた頃だったと思うんですが、薄暗い部屋に座っている夢を見て、うなされて起きるみたいなのがずっと続いていたんです。その感じをちょっと覚えていて、でもその時の自分があっての自分なんだよなとか、そういうことを思いながら書いていきました。書いたのはもちろんコロナの前なんですが、ちょうど今の時代にも合ってるのかなって、少し思ったりもしますけど。
──諦めなかったTEEさんだから言える言葉じゃないかなと思いますし、月日は関係なく、ちゃんと今の「声」の温度でメッセージが伝わってくる気がします。
TEE:嬉しいです、ありがとうございます。
▲TEE/『Natural』
──最後の曲「Gotta Go But…」は、歌詞に出てくる「人生」という言葉が印象的でした。冒頭の話ではないですが、それこそ今はいろんな状況下で、自分の人生と向き合っている人もたくさんいると思います。
TEE:そうですね。僕も去年10周年を迎えて、いろんな意味で第2章かなと思っているんです。新たなスタートを切るにあたって自分がお礼を言いたい人だったり、これから一緒に船に乗ってくれる人に声かけたりとか、そういうタイミングでもあるかなと思うんですが、まぁ、ここに込めた思いについてはまだ詳しくは言いたくないかなと思っていて。
──なるほど。
TEE:前回のアルバムは「じゃ、ドライブに出かけよう!」っていう曲(「Lifetime Caravan feat.Blue Vintage」)を最後に持ってきていて、今回も最後はこの出発の曲なんですよ。ストーリーはまだまだ続いていきますよって意味を込めて。「I gotta go」、行かなきゃいけない。「but…」、でも言いたいことはまだまだたくさんあるんだよねっていう。そういう意味でタイトルをつけました。
──1日の時間の流れを感じるような曲順になっていますから、日常のいろんな時間の中で聴いてほしいですね。
TEE:まさに、曲順もそういう風に決めたんですよ。1日海で過ごすイメージで、「LA PAPA」から始まって日が暮れていって、最後は自分の決意で終わっていく…っていう流れを感じてもらえたらと思います。
──すでに発表されていますが、この新曲をライブで聴ける日が待ち遠しいです。
TEE:ありがとうございます。今回はもう、確実に爆発するだろうなと思います(笑)。なんなら最初4曲はずっと「LA PAPA」をやるくらいの勢いですよ(笑)。でも、こうやって音の遊び場をしっかり作れることが嬉しいです。僕だけじゃなく、ライブというものが好きな人、僕のことを待っててくれた人などみんなが、ここまで溜まってた気持ちを爆発させられるライブになればと思いますね。グッズもTANKAとコラボレーションして作っているんですが、このツアーまで全部トータルで「作品」として楽しんでもらえたらと思っているんですよ。曲だけ聴くんじゃなくて中に入っている写真とかデザインも見て欲しいし、ライブのグッズも含め、細部の細部にまで拘っているので。みなさんにはぜひ、絶対後悔させないから聴いてみて、手に取ってみてって伝えたいです。
取材・文◎山田邦子
New Album『Natural』
FMCD-039 ¥2,700+税
配信リンク:https://lnk.to/ND3F53ba
1.LA PAPA
2.BUCKET LIST feat. Blue Vintage, Baby Kiy
3.Cheek Time
4.臆病 Love Song
5.どこまでも
6.Sunset
7.ハレルヤ
8.I'm in you
9.Gotta Go But…
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