【インタビュー】NOISEMAKER、新曲「APEX」にこの1年間のリアル「それでも上を見ていたい」
■ジャンルは何だ?って言われたら難しい
■それがオルタナティヴじゃないですか
──今回、いただいた資料でDTMの機材を含めた、おふたりの作業スペースが写真付きで紹介されていましたが、「APEX」もそこで作ったんですか?
AG:そうです。(写真を見ながら)これ、普通の和室なんですよ。
HIDE:俺の部屋なんです(笑)。
──和室ということは、床は畳なんですか?
AG:畳です。
HIDE:写真だと、和室に見えないですね。実は、後ろは襖なんですよ。
──そこで作ったデモがそのまま完成品として世に出ることもあるそうですね?
HIDE:あぁ、でも、「APEX」は違います。
AG:ここでデモを作ったり、プロプリしたりしたものを、レコーディングスタジオで清書するみたいな感じでしたね。
──この作業スペースは、いつ頃から使っているんですか?
HIDE:ずっと前からですよ。
AG:東京に来てからずっと変わらないです。まぁ、機材は増えてますけど、いずれはプライベートスタジオが欲しいなぁ(笑)。
──やっぱり欲しいですか?
AG:欲しいですよ。防音完備の。
▲AG (Vo)/<SATANIC CARNIVAL 2021>6月6日@富士急ハイランド・コニファーフォレスト
──プライベートスタジオがあったら、制作はどう変わりますか?
HIDE:たいして変わらないと思いますよ。いつでもできるからって安心感から逆に作らなくなると思う(笑)。
AG:でも、スタジオがあったら思いっきりできますよね。声を出すのはやっぱり夜中だと、もうやめとくかってなるんですけど、プライベートスタジオがあったら、夜中もずっとできるから、思い立った時にできるじゃないですか。
HIDE:俺はもう良いスタジオでレコーディングしたいって思わなくなっちゃいました。エンジニアさんに腕があって、バンドにイメージしている音がちゃんとあれば、どこで何を使っても作れるんですよ。それこそ必要最小限の機材で。「APEX」もドラムとボーカルはスタジオで録りましたけど、サオ(ギターやベース)はこの作業スペースで録ったんですよ。
──じゃあ、アンプを鳴らしていないんですか?
HIDE:そうです。今回は、ちょっとめんどくさくて(笑)。いや、めんどくさいわけじゃないですけど、今、DTMの機材がすごいから、作れるんですよ。だったら、高いスタジオを借りて、音作りから始めることに何の意味があるんだろうって。だって、デモでできているわけだから。もし、これ以上、良くなるというイメージがあるんだったらやるべきだと思うんですけど、ここ(作業スペース)でできるんだってわかってるんだったら、こっちでやったほうがスタジオ代も抑えられるし、時間を気にせずいつでもできるし。もちろん、エンジニアさんがやるようなことも自分でやらないといけないから、やることは増えますけど、絶対に良いと思うんですよ。
AG:俺はやっぱり“やってる感”が欲しいからスタジオでやりたい(笑)。「APEX」のボーカルはいつもボーカル録りに使っているスタジオで録ったんですけど、すげえかっけえものをやっているって自信はあるんですよ。ただ、それが畳の部屋から出ているのかって思うよりは(笑)。だから、プライベートスタジオが欲しいっていう。
──でも、畳の部屋からっていうのも逆にカッコいいじゃないですか?
AG:それもありますね。“えっ、この音がここから⁉”っていう(笑)。
▲HIDE (G)/<SATANIC CARNIVAL 2021>6月6日@富士急ハイランド・コニファーフォレスト
──それはさておき、「APEX」について、HIDE さんは「ライブのことは、そんなに意識していない」とおっしゃっていましたが、終盤、アンセミックになる展開はライブでもけっこう盛り上がりそうじゃないですか?
AG:俺もそう思います(笑)。
HIDE:そうですね。実際、どうなるかわからないですよね(笑)。ライブで盛り上がらないだろうなと思っていた曲が盛り上がったり、逆に、絶対盛り上がるでしょって思ってたら、え、そうなるんだ!?ってなったりって昔からありますから。
AG:確かに、ライブでやってみないとね。「APEX」は普通に考えたら、“Hey! Hey! Hey!”っていう大きなノリになると思うんですけど、俺らとしては細かいハットの16分のリズムに合わせて倍テンでジャンプして欲しい。ヤオヤ(ローランドTR-808)のビートも入れているんですけど、それも含め、トラップミュージックっぽいことを混ぜようとすると、バンドの場合、いわゆるトラックに近いサウンドになるか、メタルかメタルコアになるんですよね。でも、俺らはどちらにもしたくないんです。俺はヒップホップとかR&Bとか、トレンドのポップスとかが好きだから、そういう音とバンドサウンドを融合したらどうなるんだろうって興味があるんですけど、でも、ジミ・ヘンドリックスが弾いているようなバンドサウンドにもしたいってことにずっとトライしていて。「MAJOR-MINOR」もそうなんですけど、「APEX」はそれの進化版になっていると思います。
──なるほど。
AG:ラップも言葉の頭にアクセントが来る今風の符割にしているんですよ。サビでもそれを意識して、“Make it, break it, find it lose it”を、“メキッ、ブレキッ、ファディッ、ルジッ”って歌うことによってスピード感が増すから、タテノリでバウンスしたくなると思うんです。ただ、それをやろうとすると、さっき言ったようにトラックになるか、メタルになるかみたいになっちゃうから、そうじゃない新しいサウンドって何だろうってところで作っているっていうのはあります。キッズが歓ぶようなバチバチの音は作れるけど、そうはしないっていう。
HIDE:これを聴いて、ジャンルは何だ?って言われたら、けっこう難しいですよね。それがいいと思うんですよ。それがオルタナティヴじゃないですか。バンドサウンドだけど、ちょっと違うよねってところが今回出たと思います。昔からやり続けてきた結果だと思うんですけど、常に、まだまだ進化していけるはずだと思いながら作っているんです。
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