【連載 番外編対談】櫻澤の本気 II、MUCCミヤと語る「ミュージシャン目線と制作現場目線」

【機材紹介】櫻澤泰徳のスタジオ機材とMUCC ミヤの主要ギター

櫻澤泰徳のプライベートスタジオ“studio MIDNIGHT”で実施された今回の対談は、サウンドに対するこだわりが深い両氏ならではのものとなった。機材に関するトークはディープでマニアックだが、理想とするサウンドメイクに必要不可欠なもの。対談中にも幾度となくその使用法や方法論が語られた。ここではキーポイントとなるドラムやスタジオ機材をピックアップして、本人が直々に解説する。なお、ミヤはこの対談のためにメインギターや最新ギターを用意してくれた。まずはその詳細からお届けしたい。

■いい機材を入手できたことで
■本格的RECに対応できるスタジオにしようと

【ミヤ GUITAR機材】


　RGDはヘヴィかつモダンなプレイヤーをターゲットにしたAXION LABELシリーズの新モデル。そのR4427FXはロングスケール(26.5インチ)や7弦仕様、リバースヘッド、ディマジオピックアップ搭載といったスペックが特徴となる。ミヤ曰く、「見た目もスペックも含めて、自分が求めているギターとほぼイコールだったので入手しました。チューニングが1音下げの状態で出荷されていて、そこからもメーカー側の自信がうかがえますよね。ピックアップがそこまでハイゲインではないタイプで、ちょうどいいゲイン感も気に入っています」とのこと。


　ハパスギターズはドイツのブランドで、販売はドイツ国内のみ。InstagramでSLUDGE 727を見つけたミヤが、そのシルエットに強く惹かれて購入を決意。試奏できないことに不安もあったが、手元に届いた本機は予想を上回る上質な1本だったという。アッシュボディー、ウォルナットネック、27インチスケール、リバースヘッドといったスペックを採用。ミヤ曰く、「賭けみたいな購入方法だったけど、音もルックスも俺の好みで最高でした。自分の7弦史上、一番いいです」とのこと。

【櫻澤泰徳 studio MIDNIGHT機材】



　櫻澤泰徳のプライベートスタジオ“studio MIDNIGHT”導入機材のポイントを本人に聞いたところ、ニーヴのマイクプリアンプとノイマンのコンデンサーマイクを挙げた。曰く「たまたま廃業するスタジオが機材を売っていて買い取ったんだ。だから、探していたというよりは舞い込んできたという感じ。いい機材を入手できたことで、“アウトボードにもこだわって、本格的なレコーディングに対応できるスタジオにしよう”と。この出会いがなかったら、ドラムが叩けるブースがあればいいという発想で収まっていたかもしれない」とのこと。
　ニーヴのマイクプリアンプ1066をはじめ、TCエレクトロニックのマイクプリアンプGOLD CHANNEL、ウーレイのコンプレッサー 1176 Limiting Amplifier、アヴァロンのV-5(D.I)など多数の豪華機材を装備。2台セットされたアヴァロンV-5の上に置かれているのがノイマンのコンデンサーマイクだ。ハイクラスな機材ばかりで、なかでもヴィンテージのニーヴ1066とウーレイ1176 Limiting Amplifierは全てのエンジニア垂涎ともいえる歴史的な名器。プレイベートスタジオでいながら本格的なレコーディングにも対応できる充実ぶりが光る。

【櫻澤泰徳 Drum Set】



　パールのカスタムメイドによるマスターズ6プライメイプルを使用。8"、10”、12"、13”、14"(全て深さは4インチ)のメロディックタムと15”×8”、16"×8”のラックタムを並べた独創性は注目といえる。櫻澤泰徳曰く「元々は11音階をドラムで出したいという発想でタムを並べたんだけど、ドラムセットとしての機能性を考えると7個が限界なんだ。だから、鍵盤でいうところの白鍵7音という形で揃えている。以前は7つのタムを音階どおりにチューニングしていたけど、メロディックタムにしてからは音程よりもタイコの自然な鳴りを大事にしている感じ」とのこと。
　スネアは2020年10月に発売された自身のシグネチャーモデル。同モデルはメイプル6プライ＋2プライレインフォースメント仕様のシェル、プレスフープ、スティールテンションボルトといったビンテージライクな仕様と、42本スナッピーやコーテッドエンペラーヘッドといった先進性を融合させていることが特色だ。幅広いスタイルやジャンルをカバーできる汎用性の高さを誇る。シンバルはセイビアンHHのミディアムシンクラッシュやミディアムヘヴィライドの21インチ(特注品)などを使用。


　フットペダルはパールのデーモンチェーンP-3002Cを自らカスタマイズ。本人曰く「ベルトのレスポンスが好きなんだけど、デーモンチェーンの既製品にはベルトがないんだよね。デーモン自体は気に入っているから、自分でチェーンを外してベルトに改造したんだ」とのこと。リモートワイヤーを採用することで、セッティングの自由度を活かしているところにも注目。またハイハットはL'Arc-en-Ciel時代に使用していたセイビアンAAのフラットハット(現在生産中止)を最近改めて使っているとのことだ。

【櫻澤泰徳 Drum Setを図解】


▼タイコ類(All Pearl Drums)
・Melodic Tom：8"×4", 10"×4", 12"×4", 13"×4", 14"×4" (L to R)
・Tom Tom：15"×8", 16"×8" (L to R)
・Bass Drum： 20"×16" (メイプル等厚材6プライ)
・Snare Drum：14"×5 1/2" 櫻澤泰徳シグネチャースネア(メイプル等厚材6プライ+メイプル等厚材2プライレインフォースメント)
▼シンバル類(All SABIAN Cymbals / L to R)
・HHX Zen China 20"
・HH Medium Thin Crash 18"
・AA Flat Hats 14"
・AA China Splash 10"
・AA China Splash 8"
・HH Medium Heavy Ride 21"
・HH Medium Thin Crash 17"
・Paragon Chinese 19"
・HH Medium Thin Crash 19"

取材・文◎村上孝之
撮影◎緒車寿一