Phew、ニューAL『ニュー・ディケイド』10月世界発売&第一弾先行SGとMV公開
Phewが、ニュー・アルバム『ニュー・ディケイド』をTraffic / MUTEレーベルより2021年10月22日に世界発売することとなり、早速、第一弾先行シングル「Into The Stream」の青木理紗監督によるミュージックビデオを公開した。
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また日本盤CDには、20分以上にも及ぶドローン作品「In The Waiting Room」がボーナス・トラックとして収録される。
第一弾先行シングル「Into The Stream」は、Phewの距離感のあるヴォーカルとペダル・トーンから始まり、徐々にパルスのフィードバックとぎこちないリズムが導入されていく。途中、ゴーストのようなコーラスがカーテンの向こうから現れ、フィードバックが増幅され、歪んだカーニバルの行列が視界に飛び込んでくるかのようだ。「Into The Stream」は、アルバムの中で最も長く、精巧に細工された曲であり、“ファンタジーや非現実的な世界の継続を表現”しているという。
アート・パンク・バンドとして注目を集めたアーント・サリー、コニー・プランクのスタジオで、CANのホルガ―・シューカイとヤキ・リーベツァイトと共に制作されたソロ・デビュー・アルバム等、どれほど長い時間が経とうとも、Phewは、我々を甘やかすつもりはない。「感傷的なものは排除したかった」と語る、約30年ぶりにMuteから発売されるアルバム『ニュー・ディケイド』は、世界の、自己陶酔する偽物たちへの彼女からの断固たる反撃なのだ。「今の状況を考えると、私はラッキーだったのかもしれません。昨年は特に、生きているだけでもある意味、幸運という状況でしたから。ミュージシャンやアーティストとして、自分の気持ちを率直に語ることができるのは、このような状況下においてはある種の特権であり、それを濫用してはいけないと感じました」。
これは、近年のPhewにとっての行動指針となっており、その特徴的なヴォーカルと、熱を帯びたドローン・シンセサイザーや、脆性なドラムマシーンなどを融合させた多数のソロ作品を制作してきた。パンデミックが起こるかなり前から、彼女は自宅で孤立して制作の仕事をすることには慣れており、近隣の住民の迷惑にならないように、声を抑えてもいた。『ニュー・ディケイド』では、ますますその雰囲気が濃くなっており、それは過去18カ月にわたり、ツアー活動を休止していた影響でもあるという。この荒涼とした、憑りつかれたようなアルバムは、ひび割れた、ダブ色の強いエレクトロニクスを背景に、英語と日本語で唱えられる空虚な言葉や、言葉にならない悲鳴やうめき声で構成されている。
タイトルの『ニュー・ディケイド』──これは、かつては希望やダイナミズム(活力)を意味する言葉だったが、2020年代の幕開けに発表された新聞や雑誌の記事の多くは、今後どれだけ状況が悪化するかを予想したものばかりだった。「30年前には、“ニュー”という言葉は、進歩や物事がよくなることの同義語でした」と、80年代のバブル期の日本が熱狂した拡大主義を思い出して、Phewがいう。「今はもう、そんな事は信じていません」そして、このアルバムを通して、時間の認識についての、緩いコンセプトが流れているのだという。「80年代、そして90年代までは、物事が過去から現在、未来へという流れで進行していましたが、特に21世紀が始まって以来、その流れが変わってしまったと感じます。個人的には、現在から連なる未来というものが、見えなくなってしまいました」。
このことは、現在の彼女の作品の、身の置き所の無い性質に反映されている。Phewは、多くのアナログ・シンセのリヴァイヴァリストたちのように意図的にレトロにしているわけでもなく、最新のトレンドに追いつこうと、時間を無駄にしたりもしない。Phewの音楽は、独自の周波数に共鳴する、時を超越した音楽なのだ。
『ニュー・ディケイド』
Traffic/Mute TRCP-294 / JAN: 4571260591103 2,400円(税抜)
解説:松村正人
ボーナス・トラック収録
■Tracklist
1. Snow and Pollen
2. Days Nights
3. Into the Stream
4. Feedback Tuning
5. Flashforward
6. Doing Nothing
7. In The Waiting Room (bonus track)
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