【インタビュー】KUZIRA、PIZZA OF DEATH移籍第一弾に「「Let The Beat Carry On」へのアンサー」
■横山健さんが「ビートを止めないでくれ!」って
■“じゃあ、俺らが”ってアルバムの方向性が浮かびました
──末武さんは映画が好きだそうですけど、「Crank In」に出てくる映画のチョイスが年齢の割に古いのはなぜですか?
末武:今回のアルバムのコンセプトとして“つないでいく”という意識もあって、Hi-STANDARDの世代のバンドを映画で表現している部分もあるので、ここではあえて古い作品をチョイスしてます。
熊野:この歌詞、最高ですよね。
──いいですよね。どの映画から引用しているのか調べるのも楽しくて。
末武:ああ、それはうれしいですね。歌詞にはあえて作品名は出してないので。
──しかも、ただの映画の歌ではないという。
末武:社会的な問題を取り入れてます。“パンクってなんだろう?”って自分を見つめ直してからそういう方向性を意識するようになりました。
──「Spin」の歌詞も渋いです。ハイスタや横山さんの姿が思い浮かびます。
末武:一昨年9月にKen Yokoyamaの北海道ツアー<Still Age Tour II>の対バンに呼ばれたんですけど、釧路のライブで横山さんが「ビートを止めないでくれ!」って言ってから「Let The Beat Carry On」を演ったんですよ。そこで勝手に「これは俺らに向けて言ったんだ! じゃあ、俺らが勝手にビートをつないでやるよ」って思ったことからアルバムの方向性とこの歌詞が浮かびました。
熊野:そのMCの前に健さんが俺らの名前を出してくれたんですよ、「KUZIRA、よかったでしょー? 俺らがいなくなってもこういうバンドがいるからさ」って。僕なんてその言葉を袖で聞いて泣いちゃって。だから、この歌詞が「Let The Beat Carry On」のアンサーっていうことを聞いたときはシビレたし、めちゃめちゃアガりました。
──歌詞には出てこないですけど、訳詞に“勝手にビートを受け取った”と入っているのがよくて。北海道での対バンがなかったらこの作品は生まれてなかったんですね。
末武:たぶん生まれてないと思います。そのライブ終わりで、普段はそんなことしないんですけど、メンバーと語ったんですよ。そこからライブに対する意識とか考え方がすげえ変わったし、本当に大事な一日になりました。
──どう変わったんですか?
末武:僕らの想像するパンクってすごく尖ったイメージだったんですよ。でも、KEN BANDのライブはピース感というか一体感があって、そこで常識を覆された感じがして、“こういうのもパンクなんだ!”って意識するようになりました。
──このアルバムはラストの演奏の締め方まで含めて1本のライブのような印象を受けます。
末武:KEN BANDは曲が終わるときに“ダッダッダッ!”って締めるんですよ。だから、自分たちもそれを意識しました。
──本当にライブに生きているバンドなんですね。でも、勢い一発じゃなく、音源としてしっかり整えられているのは正しいと思いました。やっぱり、ライブと音源は別ですよね。
末武:ライブだと2ビートの曲が一番盛り上がるんですよ。だけど、2ビートよりも8ビートのほうが好きなので、8ビートでぶち上がらせてぐちゃぐちゃにしたいっていう気持ちが強くて。だから「Spin」もリード曲だけど、8ビートであまり速くないテンポなんですよ。バンドの真価はそういうところで発揮されると思ってます。
──KUZIRAにとっていいメロディックパンクってどういうものですか?
末武:僕はメロディが命だと思ってます。あと、これは3ピースに限った話ですけど、シンプルさ。3ピースという最小の編成でシンプルなのにカッコいいっていうのが僕の理想です。初期のGREEN DAYみたいにパワーコードだけでもリズムを変えたりするだけでバリエーションが生まれてカッコよくなったりするし、そういうのに憧れているのでそこも意識しました。
熊野:メロディックパンクに限った話ではないですけど、ライブハウスでずっとやれるバンドでいたいですね。10年20年先もライブハウスを回るツアーをやりたいです。
──今はアルバムを出しても大きなツアーができなくてもどかしいですね。
熊野:本当は47都道府県を回ろうとしてたんですけど、一気にスケジュールを組むとコロナがひどくなったときにトバさなきゃいけない場所が出てきちゃうので、ブロックごとに細かく分けて、行けるタイミングで足を運びたいと思ってます。
末武:僕らも意外と若くないので、去年のことを無しにしてもらいたいんですよね。年齢とかリセットしたい。それをお願いしたい。
──誰に(笑)?
末武:菅総理。
熊野:ははは。おととしのツアーも去年のことだと思ってますもん。「去年の」って言っちゃいます。
──それぐらいの空白感がありますもんね。バンドとして焦りはないですか?
熊野:KUZIRAはハタチ前後の若いお客さんが多いんですけど、それぐらいの歳までしかライブハウスに足を運ばない人もいるわけで、そういう子たちがコロナでライブハウスから離れちゃったらもったいないというか、申し訳ないという気持ちはありますね。お客さんのプライムタイムは限られてるし、今、大学4年生の子は社会人になったらライブにあまり行けなくなったりすると思うので、そういうことを考えるともう何もしないわけにはいかないと思ってます。
──今後はどうしていくつもりですか?
末武:PIZZA OF DEATHに入ったし、憧れのバンドとも対バンできたし、僕としては目標がけっこう達成できてしまって。今はオナニーしたあとの賢者モードみたいになってしまってて。最近はもっと理想高く生きたいなと思ってるので、GREEN DAYを岐阜に呼びたいです。
熊野:岐阜なんだ(笑)。
──とすると、今後は岐阜にGREEN DAYを呼ぶために自分たちはどういう活動をしていくべきかという考え方になっていくわけですね。
末武:そうっすね。
──そこにふたりは乗っかれますか?
シャー:D:そこまで言うなら付いていきますよ(笑)。
熊野:実は、初めてピザのスタッフと話をしていて「どうなりたいの?」って聞かれたときに、竜が「GREEN DAYと対バンしたいです!」って言ったんですよ。それを聞いたときも“正解だよ!”と思いましたけど、今も変わらず思い続けてるんだなって思いました。
取材・文◎阿刀大志
■1stフルアルバム『Superspin』
PZCA-93 ¥2,500+税
01. Power Bank
02. Throw Your Cell Away
03. Spin
04. Sad (Regrets)
05. He
06. The Feeling
07. Crank In
08. Together Forever
09. Bye For Now
10. Change
11. I'm Cool
12. Under The Snow
13. Speak Up
■<KUZIRA Superspin Tour Season1>
open17:00 / start18:00
7月15日(木) 大阪・梅田 CLUB QUATTRO
open17:00 / start18:00
7月24日(土) 愛知・名古屋 Diamond Hall
open17:00 / start18:00
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