【インタビュー】KUZIRA、PIZZA OF DEATH移籍第一弾に「「Let The Beat Carry On」へのアンサー」
岐阜発3ピースバンドのKUZIRAが5月26日、1stフルアルバム『Superspin』をリリースした。2019年開催のKen Yokoyamaツアー<Still Age Tour II>への全公演ゲスト参加をはじめ、2020年2月発表のPIZZA OF DEATHレーベルコンピ第3弾『The Very Best Of PIZZA OF DEATH III』への参加等で話題を呼んだメロディックパンクバンドの最新作は、PIZZA OF DEATH RECORDS移籍第一弾として届けられた。
◆KUZIRA 画像 / 動画
収録全13曲、全30分46秒には1〜2分台の痛快なナンバーがずらり。もちろん2ビートの勢いと疾走感はそれだけで素晴らしく壮快だが、起伏に富んだ楽曲展開、メンバー個々のフレージングの妙、それらを束ねるグッドメロディーこそ注目に値する。オリジナルメンバーの末武竜之介(Vo, G)と熊野和也(B, Vo)、そして2021年3月に新加入したシャー:D(Dr)に語ってもらったインタビューをお届けしたい。
◆ ◆ ◆
■このジャンルしか頭になかったですね
■それがカッコいいと知ってしまったので
──中日ドラゴンズファンの末武さんにお聞きしたいんですけど、今期の中日はどうですか?
末武:優勝は無理ですね。
──それはなぜ?
末武:球団に30億円の赤字があって経営的にもうまくいってないし、打撃面を補強すべきだと思うんですけどフロントを見てるとドラフトで大学・社会人を獲らないしFAでもそういう選手を入れられてないというのが疑問で。スカウトをちゃんとするべきだと思いますね。
シャー:D:めちゃめちゃスラスラしゃべった(笑)。
──思いのほかしっかりとした見解ですね(笑)。末武さん以外のふたりは地元・東海地方のスポーツチームは好きですか?
熊野:いや、全く。
シャー:D:全然ッスね(笑)。
──地元意識は強いほうですか?
末武:はい、強いです。
熊野:竜(末武)に関しては名前からね。
末武:竜之介の“竜”は中日ドラゴンズからきてるので、洗脳じゃないですけど、小さい頃から植え付けられてます。
──ああ、なるほど! 末武さんと熊野さんは岐阜出身ですけど、シャー:Dさんは?
シャー:D:僕は豊橋です。
──KUZIRAとして東海地方を背負ってる意識ってありますか?
末武:“岐阜のバンドになりたい”という意識はずっとありますね。
熊野:そうですね。バンドを始めたときの目標が“ツアーで岐阜に来てくれるバンドの対バンにブッキングされること”だったんですけど、自分たちで岐阜に人を呼べないとそういう機会に声をかけてもらえないし、ハコとしても“活きのいい岐阜のバンドです!”って推せないと言われていたんで、岐阜にお客さんを呼ぶということはずっと意識してます。
──そもそもKUZIRAはどうやって結成されたバンドなんですか?
末武:大学の軽音部で結成されたんですけど……Fucking Bitch Girlっていうハードコアパンクのバンド知ってますか?
──いや、ごめんなさい。知らないです。
末武:Hi-STANDARDとBBQ CHICKENSとWANIMAのコピーバンドなんですけど。
──コピーバンド(笑)?
熊野:コピーバンドなんて知ってるわけないからね(笑)。
──あはは!
末武:まあ、そういうバンドがその軽音部にいて、ライブはめちゃくちゃ下手なんですけどめちゃくちゃカッコよくて、それがきっかけでハタチぐらいのときに熊野から「3ピースバンドやろうよ」って誘われました。
──「バンドやろうよ」じゃなくて、「3ピースバンドやろうよ」なんですね。
熊野:そうですね。その頃、僕は楽器を弾いたことがなくて、軽音部でウマがあったのが竜と前のドラムだったんで、「ベース買うから3ピースやろう!」って。
──3ピースに憧れがあった?
熊野:Fucking Bitch Girlが3ピースで、“3ピースが一番カッコいいじゃん!”って思ったんです。
──3ピースの醍醐味については後ほど伺いますが、最初はGREEN DAYのカバーをしていたそうで。
末武:そうですね。GREEN DAY、WANIMA、Hi-STANDARDっていう3ピースのバンドのコピーをしてました。
──オリジナルをやりはじめたのはいつですか?
末武:2016年ぐらいにHEY-SMITH主催の<HAZIKETEMAZARE>があって、そのDVDを買って何回も観たんですけど、猪狩さんがMCで「みんな、バンドやろうぜ!」って言ってるのを見て“あ、やりてぇな”と思って、1年ぐらいかけてオリジナル曲を1曲つくりました。それが1stミニアルバムに入ってる「The Weak」って曲なんですけど。
──1年で1曲!
末武:人に聴かせるのが恥ずかしくて(笑)。でも、それを周りが「いいじゃんいいじゃん」って言ってくれて、そこから本格的につくり始めました。
──話は飛びますが、今年になってドラムがシャー:Dさんに変わりました。これはどういう流れだったんですか?
シャー:D:僕がやっていたバンドの活動が止まるタイミングでKUZIRAのドラムも抜けることになって、そこで共通の先輩を通じて誘いがあったので「じゃあ、一度スタジオに入りましょう」ってなったんですけど、僕はバンドに加入するつもりでスタジオに行ったし、ふたりも僕に入ってもらうつもりだったみたいで、その場で入ることが決まりました。
──そんなにすぐに加入を決められるものなんですか?
シャー:D:もともと交流があったし、対バンもしてたんで。
熊野:もともと好きなドラムだったんです。
末武:好きでしたね、すべてが。
──彼が入ってくれるなら万々歳っていう。
熊野:「本当にいいんですか?」って感じでしたね。
末武:もう、熱い思いをLINEで長文で送りましたもん。
──どんなところが魅力だったんですか?
末武:優しいところですね。僕らのことをそのまま受け入れてくれるところが一番好きです。
──もちろん、テクニックも大事なんでしょうけど、最初に挙げるのは人間性なんですね。
末武:そうですね、僕たちがあまり社交的じゃないので、そういうところは重要視してます。
熊野:頼りになるよね。
末武:そう、頼りになる。お酒も飲めますし。
──ところで、皆さんのルーツはなんですか?
末武:僕はマキシマム ザ ホルモンが一番です。
熊野:僕は大学生の頃までバンドをそんなに聴いたことがなくて。Fucking Bitch Girlがハイスタ、BBQ CHICKENS、WANIMAのカバーをしていたタイミングでWANIMAがPIZZA OF DEATHから1枚目を出したので、その頃にベースを始めたということもあってアルバムを通してコピーしました。そんなアルバムはこの1枚だけですね。
末武:ずっと「BIG UP」(WANIMA)のイントロ弾いてたもんね。
──オリジナルをつくるにあたってメロディックパンクを選んだのはなぜですか?
末武:僕はポップパンクとかメロディがいい曲も大好きだったし、もともとキッズだったっていうのが大きいかもしれないですね。
──でも、20年ぐらい前ならいざ知らず、今はそこまでメロディックパンクが盛り上がっているわけではないと思うんですよ。ホルモンがルーツになっているなら、なおさらラウドな音に向かってもいいんじゃないかと思うんですけど。
末武:やっぱり、Fucking Bitch Girlですかねえ。
──あはは!
熊野:いや、本当にそうなんですよ。その先輩は常にディッキーズにバンドTシャツで、数珠もつけてたんで。
──まんま横山さんじゃないですか!
熊野:いや、本当にそうなんですよ。それがカッコいいと知ってしまったので、最初からそれしか選択肢がなかったんですよ。英語で歌うということも含めて、このジャンルしか頭になかったですね。あと、僕が楽器初心者でルート弾きしかできなかったというのも大きいです。
◆インタビュー【2】へ
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