【インタビュー】我儘ラキア、見せ場を全員で奪いに行く新ミニAL『SUPERIORITY』

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豪華作家陣を招いて制作された『WAGAMAMARAKIA』から約半年。ラッパーを擁しラウドロック/ミクスチャーロックを発信する4人組・我儘ラキアが5曲入りミニアルバム『SUPERIORITY』をリリースした。前作から引き続きMY FIRST STORYのNob、kuboty、NOISEMAKERのHIDEとAGがクリエイターとして参加し、表題曲はMr.Xと名乗る謎の人物が作曲を手掛けている。もがきながら自分の居場所を創り出していくような前作から、タイトルどおり“優勢”のムードを感じさせる無敵感溢れる今作へ。この半年で、彼女たちにどんな変化があったのだろうか。『WAGAMAMARAKIA』リリースツアーファイナルとなる新木場USEN STUDIO COAST公演の前日の夜、リモートインタビューを行なった。

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■自分たちの未来に向き合えるモードになった

──今年の4月からスタートしたキャリア史上最大規模の全国ツアーが全公演ソールドアウト。かなり充実したツアーのようですね。

星熊南巫:そうですね。でもツアーの初日は自分たちの表現したいことがうまく伝えられなくて、お客さんとの間にズレが生まれてしまったんです。自分たちの作りたいステージを、もっと観ている人にわかりやすく伝えられるように試行錯誤して、ちょっとずつちょっとずつ立て直していったら、お客さんとの意思疎通ができるようになって。それが自信にもつながりました。

川﨑怜奈:このツアーのなかでちょっとは成長してるんじゃないかなと思います。お客さんとの意思疎通の取り方を学んでいって、ファイナルへの心積もりを自分のなかで固められました。

海羽凜:お客さんもコロナ禍でのライヴに慣れてきてくれてるのもあって、マスクもしていて声が出せなかったり激しく動けないなかでも、わたしたちに動作で気持ちを伝えてくれるんです。それもすごくありがたくて。

川崎怜奈:うん。声が出せないとかも関係ないくらい、みんなが楽しんでくれてることが伝わるんです。そういうライヴができていることもうれしいですね。

MIRI:別の観点から言うと車移動がすごく大変で、全国ツアーは体力勝負だなと。オンオフをしっかりつけることでその状況を乗り越えて、かなり集中力がつきました。

──初めてライヴを行なう場所も多かったですよね。

MIRI:東北や九州、四国まで細かく回らせてもらいました。初めて行く場所はラキアが浸透してないんじゃないか? と心配だったんですけど、想像とは逆に“やっと来てくれた!”とすごく盛り上がってくれて。車移動をするなかで遠征するファンの人たちの気持ちも知ることができました。より1本1本のライヴの大切さを思い知るツアーになりましたね。

──今作『SUPERIORITY』は、そういった活動の充実性や、グループの無敵感が宿った作品になっていると感じました。

▲我儘ラキア/『SUPERIORITY』

星熊南巫:たしかに。わたしが歌詞を書いた「FLASHBACKS」みたいな、もともとラキアにある暗めの雰囲気の曲もあるんですけど、NOISEMAKERのHIDEさんとAGさんが提供してくださった「GIRLS」には、ボーダーをぶち破っていける強い女性像が描かれていますよね。全体的にテーマは明るいし、強くなったなと感じています。……日々生活をしているなかで、やったことないことにトライするのは不安も大きいじゃないですか。

──そうですね。

星熊南巫:頭のなかで“こう舵を切ったほうがもっとラキアはかっこよくなる”という自信はあるけど、その確証がないから不安を抱えながら活動してきたなと思うんです。でも前作『WAGAMAMARAKIA』でいろんなバンドマンの方々と楽曲制作をさせてもらって、なんばHatchや新木場STUDIO COASTみたいな大きなステージでいろんな演出を使ったライヴをさせてもらって、“日本のアイドルのニューアイコンになる”や“世界でも活動していきたい”という目標を鮮明に描けるようになった。その結果、自分たちの未来に向き合えるモードになったんですよね。

──前作に引き続き、MY FIRST STORYのNobさん、NOISEMAKERのHIDEさんとAGさん、Kubotyさんが楽曲プロデューサーとして参加。前作からの続編のような物語性もあって、説得力が増した作品だと感じました。表題曲の「JOKER」はMr.Xさんによる提供曲ですが、この先Mr.Xさんの正体は明らかになるのでしょうか?

星熊南巫:ならないんです。決まったときも“ほんまに!?”って感じでした。これまで楽曲提供をしてくださった方々もそうなんですけど、ライヴを観に行っていてすごく憧れた、影響を受けた人と作品を作れることは本当にうれしいです。

──「JOKER」の作詞は星熊さん、ラップのリリックはMIRIさんが書いてらっしゃいますが、制作はどのように進んだのでしょう?

星熊南巫:まずMr.Xさんが、ラキアから受けた印象でデモを作ってくださって。

MIRI:初めて曲を聴いた瞬間にフェスの風景が思い浮かびましたね。そのあとZoomで打ち合わせをしました。構成を話し合うなかで、“こういう内容を軸に歌詞とラップを書いていきたいと思っています”と伝えて、Mr.Xさんから“それならここはこういうふうにしてくれる?”と頼まれて──そういう作り方をするのは初めてだったのでとても新鮮でした。Mr.Xさんの意見を取り入れて歌詞を書くことができたので、新しい経験でしたね。

──これまでの歌詞と比較すると、かなりポジティブな印象を受けました。

星熊南巫:もともとずっと思っていたことを書いたんですけど、不安や恐れが取れたからポジティブなものとして受け取ってもらえるんやろなと思います。どれだけいい波に乗れたとしても、“見とけよ”みたいな負けん気は捨てないでいたいから、未来に向かっていくしかねえって感じの曲になりました。これまでラキアって居場所がなかったんですよ。

──と言いますと?

星熊南巫:周りからは“アイドルだけどアイドルじゃない”と言われたり、わたしたちも“ほかのアイドルとは違う”と独自の場所を切り開こうとしてきた。それは裏を返せば“属せる場所がない”ということでもあるんですよね。もちろん個性は際立つというメリットはあるけど、どこからも受け入れてもらいにくいから孤独でもあって。自分たちの本気度が伝わってない気がしていたんです。でも自分たちは本気で日本のアイドルシーンを変えたい──MIRIが加入してからずっとそう思って活動してきて、それがやっと実現できる可能性が見えてきた。今まで感じてきたいろんな気持ちを表現できるようになったんだと思ってます。

──その“独自の場所を切り開く”や“自分らしく生きていく”という精神が前作の『WAGAMAMARAKIA』に昇華されたからこそ、今作で次のフェーズに進むことができたのかもしれないですね。

星熊南巫:そうですね。『WAGAMAMARAKIA』は初めてほかのアーティストさんと関わらせてもらった作品なので、自分たちの考えがどれだけ通用するのか、自分たちのレベルはどれくらいなのかわからない状態だったんですけど、あの作品が出来たことに加えて、今回2回目のタッグを組んでくださったことで“いいと思ってくれたんやな”と自信がついたんだと思います。

MIRI:今作では前作やらなかった音域やラップにも挑戦していて、これまで以上に幅を持たせることも意識しましたね。

星熊南巫:前作でタッグを組んだ方々とまたご一緒させてもらったので、“前回こういうことしたから今作はどうアプローチしようか”という視点で制作できたんですよね。だから前作と続編のように感じてもらえるのかなと思うし、遊びが多くなったとも思うんです。

川﨑怜奈:そのぶん曲に負けないパフォーマンスをしなきゃいけないなと思いましたね。ハードルをひとつ上の段階にすることで、我儘ラキアというグループが1ステップ上がれたらいいなと思ったんです。

海羽凜:英語がまったくできないので、レコーディングでプロデューサーの方々にリズムや発音を細かく教えていただいて。前回のアルバムよりしっかり挑戦の機会をいただけました。

──そういったトライもあって、今作の歌唱には4人のキャラクターが強く出ているのではないでしょうか? たとえばMIRIさんのリリックは、星熊さんの歌詞をわかりやすくする役割を担っていましたが、今作はその成分も残しつつ、もっとMIRIさん自身が見えるラップという印象を受けました。

MIRI:ありがとうございます。これまでもクマ(星熊)の歌詞をわかりやすく伝えようと思って書いていたわけではなく、自然とそういうかたちになっていたんですよね(笑)。わたしがラキアに入る前は怜奈がラップを担当していたので、今回は怜奈にもラップのパートを歌ってもらって。その結果、無意識のうちに自分が前に出た感じになったのかな。


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