【俺の楽器・私の愛機】243「一生物のギター買う事なんかできないって事」

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【マツモク(ナビゲーターだけど、アリアなどと同じでマツモクがOEMしてたから)】(福岡市 頑固なギター屋のおやじ 61歳)


16,17歳の時に9万円定価のギターで、若い時に買って残ったのはこれ一本だけ。何故残ったのか?それは単なる成り行きだと思うんですよ。10本位のマイギターは有るのだけど、人生と言えるのはこいつですね。アクシデント多彩の奴で僕の人生と同じ。兄貴と喧嘩してデカイハンマーで折られましたね。メイプルネックだったんですが、この際ローズに換えてしまおうと、楽器店に注文して取り寄せて貰ったんですよね。このネックが最高で結果的に凄く良いネック引いてしまってwwハカランダ指板で1万で買えたんですよね。すごくショックだったけど、今思えば「よくぞ折ってくれた」って思う訳で、、、

ヘッドのロゴも友人たちは皆FENDERにしてた人も居たけど、自分は嫌だと思ってて、FENDERの創始者で改めてブランドを作ったレオフェンダーのMUSICMANのロゴを雑誌見て必死で雑誌のロゴを手書きした。絵は上手くて、皆オリジナルと思ってて、ひそかに笑ってる次第。この頃から平凡な人生は嫌だと思ってて、人と被るのを拒否してきたと思うんですよ。

色も自動車屋さんで、3コートのホワイトパールに塗装。今は変色しちゃってて。当時トヨタのソアラがデビューして、その時にこのカラーが初めて自動車に採用されて、じゃあ俺のも日本初にしようと思いましたね。実際僕が最初と思うんですがね。


カッターで切り刻められた傷は新婚当時うちの奥さんが、僕が飲む回数がたまたま増えている時にヒステリー起こしてやってて、「なんでこのギターなんだよ!」って尋ねたら「このギターが一番汚かったから」って言ったのは笑ってしまって、でも腹が立ってて、カミさんのお袋さんに「どういう仕付けをしてたんですか?」って文句言いに行きましたね。でも、僕が死んだら、。このギターは私捨てないって言うから矛盾していますよねw

音最悪の時も有ったのだけど、どうにかして来たみたいな感じ。一体どれ程の改造をしてきたのだろう?と思いますね。ピックアップなんて50回以上交換したと思います。仕事上ヴィンテージフェンダーや数多くのストラトを聞けるんですよね。ヴィンテージから今の奴まで自分のアンプで。比較できるんです。それで負けちゃう度に新しいPU取り替えての連続で、、、、。いつも満足している訳じゃなくて、、、。でももう長い付き合いだから、捨てられない訳で。

それで最終的に満足したのが、僕らがガキの頃馬鹿にしてた初心者用の国産のストラトのPUがトドメを刺してくれたんですよね。あの頃相手もしなかったんですよ。でも齢とって、音の意思が固まった時に、本当の良さが分かってしまってwヴィンテージフェンダーにも負けていない音で、今のPUでは絶対出ない音色なんですよ。口で言うのは難しいのですが締まったブットイ低域が存在して細くない高域も有りつつ、音に郷愁を感じる。ただ単に美しいじゃなくって力強さが存在してる。このPUもお客さんから貰ったんですよね。「迷惑でしょうが、持って行ってくれます?」って言われて、、、wとんでもないお宝だったと言う。愛器と言うのは簡単なのだけど、僕の人生そのままですね。



良く若い子が「一生物のストラトを探してる」って言うんですが、それってすごく違和感感じてしまうんですよね。僕はいつもこう言うんですよ。「販売されてはいないよ。何処に在るかも分からないな」って、、、、そしてこうも言いますね。「あのね純粋に音楽愛して長い時間プレイしてごらん。そして振り返った時に有るストラト、これが一生物だったんだと気づくんだ。」って

皆勘違いしてる。「大きな会社に入社出来たら俺の人生は安泰だ。」ここが一生の会社だって思ってるのと同じ感覚じゃないでしょうかね。僕のこのギターが実際そうで、何故か残ってしまったって、、、、。そういう成り行き、縁って有る事を分かる人は少ない様な気がします。このギター、僕が死んだらもう渡す奴は決めています。

常連でも有るんですが、僕の影響受けて人生変わった27歳のK君。頭脳明晰な彼はギターアンプ作る様になりました。僕の影響で音に狂ったんで罪滅ぼしでしょうかね。

趣味のギターも仕事になったのはこいつのせいですから。愛器と言う言葉では足りないんです。もう人生そのものです。


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二度見三度見してしまう迫力がありますね。自分にとっての宝というのは、スペックでもモデル名でもなく、もちろん金額でもない、腐れ縁にも似た相思相愛の出会いと、そこから重ねられた信頼の厚さなのでしょう。(JMN統括編集長 烏丸)

★皆さんの楽器を紹介させてください

「俺の楽器・私の愛機」コーナーでは、皆さんご自慢の楽器を募集しています。BARKS楽器人編集部までガンガンお寄せください。編集部のコメントとともにご紹介させていただきますので、以下の要素をお待ちしております。

(1)投稿タイトル
(例)必死にバイトしてやっと買った憧れのジャガー
(例)絵を書いたら世界一かわいくなったカリンバ
(2)楽器名(ブランド・モデル名)
(例)トラヴィス・ビーン TB-1000
(例)自作タンバリン 手作り3号
(3)お名前 所在 年齢
(例)練習嫌いさん 静岡県 21歳
(例)山田太郎さん 北区赤羽市 X歳
(4)説明・自慢トーク
※文章量問いません。エピソード/こだわり/自慢ポイントなど、何でも構いません。パッションあふれる投稿をお待ちしております。
(5)写真
※最大5枚まで

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