【インタビュー】ヒトリエ、「この3人で初めてRECした曲と、一番新しい曲」が映し出した新体制の現在地

■これからも継続して
■しっかりサウンドにこだわっていきたい

──では、曲のお話に戻りましょう。今回のシングルは「Milk Tablet」も収録されていますが、これはダンスチューンではあるんですけど、すっきりと踊れないというか、悶々としたムードを漂わせているのが独特ですね。

シノダ：そうなんですよね（笑）。これが最新曲です。

ゆーまお：「3分29秒」が3人になって一番最初にレコーディングした曲で、「Milk Tablet」が今のところ一番最近レコーディングした曲なんです。この2曲の間に『REAMP』のレコーディングが挟まっている状態っていうことですね。だから今回のシングルは“初めまして”と“少し消化しました”っていう仕上がりなんだと思います。

シノダ：『REAMP』を作って培った経験みたいなものと、最近の僕の趣味の“ミニマルテクノを作る”みたいなものがあって。「Milk Tablet」自体は『REAMP』を作る段階で書き貯めたデモの中にあった曲なんですけど、それと今一度向き合ってリアレンジして、とことん作り込んだら、こういう仕上がりになりました。

▲ヒトリエ

──“やだな、いやだな”の繰り返しが妙に耳にこびりついて、それが不思議と心地いい曲です。

シノダ：「3分29秒」とはまた別の負の感情と言いますか。もっとパーソナルな、僕が普段“いやだな”と思っていることみたいなものをつらつらと書き綴っていたら、こうなった感じです。普段、わりとこういうことを考えているので。

イガラシ：この曲はヌメヌメしている（笑）。ダンサブルで、演奏も気に入っているんですけど、この歌によってどこか力が入り切らない、頑張り切れない、煮え切らないっていう感じになっているのが面白い曲です。

シノダ：曲自体はクラブっぽかったり、コードもおしゃれだったりするので、そのまま洒落た歌詞をのっけちゃうと渋谷系になっちゃうような感じだったから。そこを帳尻合わせしたとまでは言わないですけど、こういう音に、煮え切らない、じめっとした歌詞をのっけるというのは自分の中でバランスが良かったんですよね。

──こういう不思議なムードを醸し出せるのも、ヒトリエの演奏の表現力の豊かさの現れだと思います。

シノダ：ありがとうございます。演奏に関してはこの2人(イガラシ、ゆーまお)の功績ですね。僕はほとんど打ち込みをしているだけなので。

イガラシ：これはジャズマスターなんですか？

シノダ：……これはストラトじゃないかな（笑）？

イガラシ：がっかりだー！

シノダ：そりゃ、ストラトも弾くよ（笑）。

──ははは。ヒトリエは現在ツアー中で、7月まで続くんですね。

シノダ：はい。やれていることがすごいというか、人前に出られていることが奇跡みたいな感覚があります。

ゆーまお：本当にそうなんですよね。このままちゃんとできるといいよね？

シノダ：うん。完走したい。

ゆーまお：“ライブは多くてなんぼ”って思った。前から思っていたけど。

シノダ：うん。やっぱりそう。

──『REAMP』も素晴らしい作品だし、3人のヒトリエのライブをどんどん観ていただきたいです。

シノダ：はい。僕も『REAMP』を改めて聴いて、“いいものになった”と思っているので。“もっといろんな人に聴いてもらいたいな”っていうか、“なんでもっと聴いてもらえないんだ？”っていうくらいの気持ちがあるので。

──『８６-エイティシックス-』がきっかけでヒトリエの音楽と出会った人もたくさんいるんじゃないでしょうか？

シノダ：『８６-エイティシックス-』の感想とかを見ていると、”ヒトリエって、やってるの？”みたいなのがあって、“やってるよっ！　止まったことないんですけど、ウチら！”って思いました（笑）。

ゆーまお：”復活したんだ？”みたいなことも言われるよね？

シノダ：そう（笑）！ 復活どころか、止まったことがないんだから。


──最近のライブに関しては今回のシングルのアーティスト盤(完全限定生産盤)のBlu-rayで雰囲気を感じていただけるんじゃないでしょうか。

イガラシ：そうですね。今年1月のライブなので、これで片鱗を感じていただければと思います。

ゆーまお：このBlu-rayは、3人で演奏しているライブなので、今までのヒトリエが好きだった人の中には、観るのがきつい人もいると思うんです。今回のシングルの2曲も新曲だし。でも、お互いにとって何らかのきっかけになれる作品になれたらいいよねって僕は思っています。“『REAMP』は聴けていないけど、今回のシングルの曲は聴いてみようかな”っていう人もいると思うので。

──4人だった頃のヒトリエが好きだった人にとっても、今のヒトリエの音楽は魅力的だと感じられるだろうし、またたくさんのファンと素敵な関係を築いていけると僕は思っています。

シノダ：そうだといいですね。僕もそうしていきたいです。

──最近のライブ映像に関しては、YouTubeに「RIVER FOG, CHOCOLATE BUTTERFLY」がアップされていますし、まずはこれを観ていただくのもありなのかも。

イガラシ：そうですね。まだ気持ち的にしんどくて、ヒトリエの曲を聴けない人もいるはずだし、“前に進んでいてすごいですね”って言ってくれる人もいるんですけど、僕らは今でも戸惑いながら進んでいる状態なんですよ。そのままやれることをやっているので、“まだライブの現場に行くのがきついな”っていう人がいるなら、そういう映像とかもきっかけにしてもらえたらいいのかもしれないです。あと、今回のシングルにはインストも入れたんです。これからも継続してしっかりサウンドにこだわっていきたいっていう想いも込めて録音できているので、これもぜひ聴いていただきたいです。

シノダ：「3分29秒」はMVももう上がっていますし、アルバムの『REAMP』も2月に出たわけですから、僕としてはもうとにかく「Milk Tablet」を聴いていただきたいっていう気持ちもあります。僕の一番新しい曲で、頑張って作りましたし、すごくいいものになったと思っているので、ぜひ早く聴いていただきたい。今、その気持ちが一番強いかもしれないです。“新しい曲を作ったから聴いて欲しい！”っていう気持ちをすごく大事にしていきたいなって思っています。

取材・文◎田中大







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