【レポート】ヴァーチャル渋谷に垣間見えた確かな光明、XRライヴ<Jupiter A VIRTUAL JOURNEY>はエンターテイメントのワクチンに?
2021年5月22日(土)、XRチーム「Jupiter」は、ストリーミングイベントのXRライヴ<Jupiter Ⅲ A VIRTUAL JOURNEY>を開催。当日は特設サイトを通じてTwitchにて生配信を行った。
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第3弾となる今回の<Jupiter A VIRTUAL JOURNEY>では、前回のヴァーチャル木星旅行で到達した第2衛星のEuropa(エウロパ)から、第3衛星Ganymede(ガニメデ)へ向かい、最終目的地は、緊急事態宣言下の渋谷となる。
前回に引き続き、オンラインライヴの新たな可能性を示すべく、オーディエンスとのコミュニケーションの在り方を考え、歓声がそのまま演出となる、インタラクティブな仕掛けを取り入れた。
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新型コロナウイルスの影響により、あらゆるイベントがリアルからオンライン・ヴァーチャルへと移行して約1年。その間、まるでワクチンを精製するかのように世界中で試行錯誤が重ねられてきたが、その中で最新のテクノロジーとともに新たな表現、未来のエキサイトメントを模索し続け、世界から称賛を集めるXRライヴストリーミングイベント<Jupiter A VIRTUAL JOURNEY>。昨年9月に始動し、2021年1月には第2弾が開催。そして5月22日(土)、待望の第3弾が行われた。
タイトルよろしくJupiter(木星)へと旅する中で、前回はガリレオ・ガリレイが発見したとされる第2衛星Europa(エウロパ)に到着。そして、今回は木星の第3衛星Ganymede(ガニメデ)へ。これまで同様、いまだ誰も見たことのない人類未踏の地をXR空間に作り上げ、その世界をVJがリアルタイムで再構築。リアルと見紛うビジュアルに現実にはあり得ない演出が施されるその世界は、まさにリアルとヴァーチャル、3Dと2Dがハイブリッドした至高の空間といえる。
今を鑑み、未来を望む、まさに「Jupiter A VIRTUAL JOURNEY」を物語る、まるで映画のようなプロローグに始まり、霞がかかるEuropaにまず登場したのは日本ドラムンベース界の至宝DJ AKi。クールな立ち上がりから舞台がGanymedeへと移るとサウンドも希望を携えアップリフティングに。序盤から絶えずハイプトレイン(Twitch上の視聴者による支援機能)が続く異様な盛り上がりを見せる。そんなDJ AKiに続くはUKから巨匠KID DRAMAがリモート参戦。彼が提唱したAutonomicに通じるディープなサウンドジャーニーは木星への旅路により一層深みを与え、新たな刺激を投下する。そして、UKと日本、さらには世界中のオーディエンスが喜びを共有し、コメントを通じて交流していく。それもオンラインの大きな醍醐味だ。
三度目ともなるとDJプレイと映像のシンクロ率も圧巻で、さらにはGanymedeという誰も見たことのない世界を構築する、その想像力も相変わらずの逞しさ。そして、今回もオーディエンスとのコミュニケーションが充実。クラウドファンディングを使ってのモノリスによるイベント出演、オーディエンスのコメントがイベントの一部となる演出も実施されたが、特筆すべきはその見せ方。どちらもバリエーションが格段に増し、例えばコメントが曲線を描いたり、渦を巻いて出てきたり、それでいて全てデサインの一部としてしっかりと昇華され、あくまで「Jupiter A VIRTUAL JOURNEY」の世界観とフィットしたものに。
リアルフェスがそのシチュエーションに合わせて演出を変えていくように、ヴァーチャルもその世界観、ビジュアルに合わせて演出を変えていくのは当然だが、それはヴァーチャルであれば無限大。「Jupiter A VIRTUAL JOURNEY」は、そのメリットを存分に活かした素晴らしいものだった。さらに、コメント=オーディエンスの声(歓声)が集積し、イベントの一部として積み上げられていく。それはオーディエンスがリアルフェス、さらにはその歴史を築いていくのと同じように、オンラインイベントの新たな可能性を示唆していた。
そんな中、今回ラストを飾ったのはヴァーチャルヒューマンアーティストYELLOCK。7月にリリースを予定しているアルバムからの楽曲を中心に展開する中で、舞台は「JupiterⅠ」で激しく瓦解した渋谷スクランブル交差点へと移り、怒涛のフィナーレへ。一度音が止まり、コロナ禍に報じられた東京都知事のコメントがループされ、暗く沈む渋谷がさらに陰々滅々、欝欝とする中、そこに光をもたらしたのはオーディエンスが贈る声とも言えるスタンプ。無数に寄せられるスタンプが渋谷を照らす光となり、DJ AKi & YELLOCKの「ISOLATED HUMANISM」(未発売のVIP.ver)とともに明るい未来へと向かう有終の美となった。
新型コロナウイルスにより世界が未曾有の災禍に見舞われる中、人類はワクチンという新たな武器を手に入れ、ようやく光明が差してきたように、この「Jupiter A VIRTUAL JOURNEY」が感じさせるのはXRがエンターテインメントにおけるワクチンとなる可能性。ただ、それをより完璧なものにするためにはさらなるテクノロジーの進化、想像力とクリエイティビティ、そしてオーディエンスが必要だ。言い換えれば、それは参加者1人1人が並列化する中で個を確立し、リアルさながらに誰もがイベントの一部になること。例えヴァーチャル、擬似体験であっても、そこで生まれる情報や関係は実在する。そして、そこから生まれる新たな希望が、また次の未来へと繋がっていく。そんな無限の可能性を感じさせる「Jupiter A VIRTUAL JOURNEY」。次回は今秋に開催予定だ。
<Jupiter Ⅲ A VIRTUAL JOURNEY>
DJ:DJ AKi、YELLOCK、KID DRAMA
VJ:H2KGRAPHICS
VFX:AYUMU NAGAMATSU
XR.PRODUCTION:MAWARI
主催・企画: 株式会社YELLOW(Jupiter制作委員会)
制作: 株式会社Mawari
運営協⼒: Twitch Japan
◆オフィシャルサイト
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