【連載】ジョニー・ダイアモンド [首振りDolls] の“今日のたまご” 第2回『期待しないで』
前回のコラムから早数週間、勤勉で真面目な俺はちゃんと反省した。まず首振りDollsのジョニー・ダイアモンドのコラムでありながら、己のバンドの告知を一切していない。いったい何年バンドやってんだと。出来上がったコラムを読んで、文末にアルバムトレーラーやライブ日程を添えていただいたのをみてハッとした。なんて優しい。。。
◆ジョニー・ダイアモンド [首振りDolls] 画像
そしてタイトルだ。『今日のたまご』。こいつのせいでもうジャンルもわからなくなってしまった。お料理コラムを期待して見に来た方々、ごめんなさい。タイトルに関しては散々悩んだ挙句決めたことなので、今さら後悔はないが(他の候補は「ジョニーはダイアモンド」「ジョニーはつらいよ」「ダイアモンド・ラプソディ」他多数)、俺はこれからもたまごと向き合っていくことを余儀なくされている。定めとして受け入れていくしかない。
そんな反省点を生かして今回のコラムに挑みたいとこだが、なんと予想を遥かに超える高評価のお言葉をたくさん頂いたのだ(当社比)。とても喜ばしくて大変ありがたいお気持ちなのですが、同じくらい困惑しております。
まずいぞ…、これは予想だにしてない事態だ………。
初回ということもあって、みんな大目に見てくれているのもあるだろうけど、文章を褒められるなんて小学生の作文以来だから、リアクションも小学生並みになってしまう。「次も期待してます!」なんて言われると張り切ってしまうじゃない。
まあ、何がまずいって、単純な俺はすぐ調子に乗ってしまうからだ。人間、褒めれば伸びるってよく言うけど、俺の場合はおだてりゃ木に登るタイプだ。なんなら空も飛ぶ。その調子で宇宙までぶっ飛んでしまいたいとこだが、そう簡単にはいかないのはわかっている。大人だから。いくら執筆家として才能があったとしても(さっそく調子に乗ってる)、常にうまくいかないのが人生。だから今回は真面目に…、そしてミュージシャンらしく、ちゃんと音楽の話がしようじゃないか。そう、今後のためにも。
気を取り直して今回のコラム、まずみなさんにお知らせしたいことがある。俺は長年憧れていた目標をまたひとつ成し遂げてしまったのだ。是非一緒に、喜びを共感してもらいたい。
俺は現在、都内某所のスターバックスカフェにいる。席は窓際で、ガラス一枚挟んで目の前をいろんな人たちが行き交っている。飲み物はアイスコーヒー。もちろんブラックだ。自慢じゃないが俺はこれ以外頼んだことがない。というかフラペチーノとか何やらを頼むには、九州から出てきたての俺にはまだちょっと早すぎるのだ。噛まずに読み上げる自信がない。味も想像できない。硬派な九州男児の俺にはブラックコーヒーが一番しっくりくるのだ。
話は逸れてしまったが俺はついに、“スタバでパソコンを広げ、仕事をする”という目標を達成したのだ。ただのハッタリでもカッコつけでもない、これがそのままBARKSさんのコラムの記事になるのだ! どんなもんじゃい! 九州から東京に出て早2年近く…、これは驚異的な成長速度かもしれない。きっと地元のみんなも喜んでくれることだろう。
さて、達成感にも充分浸ったことだし、コーヒーを飲み干して帰りたいとこだが、ここはちゃんとこのコラムを書き上げてしまいたい。ところがどっこい全然集中できやしない。駅の近くなだけあって満席だ。両サイドの席にはスーツを着たサラリーマン風の男性が同じようにパソコンを広げ、なかなかのテンポでリズミカルにキーボードをタイプしている。全集中。これが上級者かあ。きっと仕事の出来る人なんだろうなあ。すごいなあ。ねむ。
そんなわけで、俺は見事目標を達成することができ、自宅のほうが呼吸が整いやすく、集中できることが分かったし(もちろん現在は自宅だ)、美味しいコーヒーも頂くことができた。次の目標は、“ツアー先のホテルでコラムを書く”。ここまでくると、もうミスチル級だ。これしかない。
ここで綺麗に終わりたいとこだったけど、音楽のことを書くのをすっかり忘れていた。うっかりってやつですね。最後に首振りDollsの最新アルバム『ドラマティカ』の中から、俺がボーカルを務めた「期待しないで」について解説しようと思う。
最初はもちろん、ボーカルのナオに歌ってもらうつもりで作ったんですよ。デモテープまでは彼が歌ってくれていたし。しかし俺のイメージの“気だるさ”とか“情けなさ”にはちょっと離れていた。要するに「もっと下手くそに歌ったらいいんだよ」って言っても、歌が上手い人にはそれが難しいらしい。何とも贅沢な悩みである。
レコーディング中、ガイドのつもりで俺が仮歌を録ったら、それが思いのほか好評で…、プロデューサーの戸城憲夫(THE SLUT BANKS)大先生のプッシュもあり、俺が歌うことが決まったのである。予想だにしてない事態だったが、まあアルバムも3枚目だし、そろそろ俺が1曲くらい歌ってみてもいいか。いろんな名だたるバンドによくあるじゃん、ジョージやリンゴ、ストーンズならキース、チャボやマーシー、他のメンバーが1曲歌ってるやつ。どれも最高だ。それがアルバムのいいアクセントになってたりするじゃない。これも何かの縁だ。俺のボーカルレコーディング処女作はこの曲に捧げたのだ。
歌詞についてはあまり語りたくはないのだが……、綺麗事もカッコいいことも、何ひとつない歌詞だもんなあ(笑)。最初は「心配しないで」ってタイトルだった。サビとAメロの“心配しないで”と“期待しないで”が逆だった。でも、サビで“期待しないで”と歌ってる曲はなかなか無いぞと思ったから、こっちにした。「心配しないで」ってタイトルの曲も多分たくさんあるだろうし。あと、「〜だけど〜ではない」みたいな歌詞、ずっとやりたかった。ミルクボーイのネタみたいな感じ(笑)。とまあ、結果的に大満足で、この曲を作り上げることができたのだが、大事なことを少しも考えていなかった。
もれなくライブでも俺が歌わなくちゃいけない。
そりゃそうだよな、俺が歌ってんだもん。しかし、さすがの俺もそこまで頭が回っていなかった。どんなに二日酔いでも体調悪くても、ギターは弾くことができた。初めてギターを持った時から積み重ねてきた日々があったからだ。たぶんジジイになっても両手が動けばギターは弾けるだろう。だけど清志郎やフレディ、ポールやジョーイ、南浩二や騒音寺のナベさんみたいに、夢のようなボーカリストに憧れてすぐ挫折してしまった俺には、神聖なるボーカルステージはすごく荷が重いのだ。ボーカルに関してはまだまだ赤子の状態、どうか温かく見守っていただきたい。「タイムマシーン」の一部や「コールガール」って昔の曲で、俺がボーカルしている曲はあるんだが、なんかそれとは違うのだ。ちゃんとレコーディングしてるからね。
これから俺たちはこの曲を、もちろん『ドラマティカ』の曲たちを、ライブで育てていかなくちゃいけない。レコーディングして完成では無いのだ。バンドをやっていくうちに曲が成長して、曲がバンドを成長させる。よく一緒にツアーを回ったスキマノザラシ先輩の言葉をお借りしていうと、「ツアーをやめたらバンドが止まり、曲ができなくなったらバンドの終わり」。これからも転がり続けることが大事なのだ。
■アルバム『ドラマティカ』
DOLLS01 3,000円(税込)
▼収録曲
01. Welcome to Strange Night
02. 散り散り
03. バケネコ
04. サボテン
05. SMILE
06. ガタ
07. ミルキーウェイ
08. 期待しないで
09. DISCOVERY
10. レッドドラゴン
11. 誰そ彼
・ジャケット:カネコアツシ
・写真:寫眞館GELATIN
・ブックレットデザイン:桜井青 (cali≠gari)
『ドラマティカ』購入リンク:https://linkco.re/mbtyXveQ
『首振人形症候群 〜REVISITED Ver.〜』購入リンク:https://linkco.re/EfvU9qtX
■『ドラマティカ』発売記念単独ライヴ
https://eplus.jp/sf/detail/3386120001-P0030001
5月15日 花やしき花劇場
https://t.livepocket.jp/e/fi_z5
■『ドラマティカ』発売記念初の個展ライヴ
■4月01日〜04日 東京・中野spaceQ
※03日および04日はアコースティックライヴ開催
■4月15日〜18日 大阪・紅鶴
※17日および18日はアコースティックライヴ開催
【個展アコースティックライヴ】
▼東京公演
4月03日(土) 東京・中野spaceQ
open18:30 / start19:00
※前売り3500円(個展入場料込)
※当日4000円(個展入場料込み)
https://t.livepocket.jp/e/nyczd
4月04日(日) 東京・中野spaceQ
open15:30 / start16:00
※前売り:3500円(個展入場料込)
※当日:4000円(個展入場料込み)
https://t.livepocket.jp/e/452xv
▼大阪公演
4月17日(土) 大阪・紅鶴
open19:30 / start20:00
※前売り:3500円(個展入場料込)
※当日:4000円(個展入場料込み)
https://t.livepocket.jp/e/uexe_
4月18日(日) 大阪・紅鶴
open19:30 / start20:00
※前売り:3500円(個展入場料込)
※当日:4000円(個展入場料込み)
https://t.livepocket.jp/e/zsjo6
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