【インタビュー】YAASUU、琉球流フェスを語る「合い言葉は“WATTA LEQUIOS!”」
1989年、沖縄は宮古島生まれ。高校卒業と同時に東京へ上京し、宮古島独特の音楽的感性を歌に乗せて、言葉に託してきたシンガーソングライターが、YAASUUだ。その気さくで優しい性格より沖縄関連各種イベントから数多く声がかかるなど、地元愛を全国へ広めている。
◆<LEQUIOS FESTIVAL> 動画 / 画像
現在BARKSでは、YAASUUの音楽的アイデンティティである宮古島に焦点を当てた連続インタビューを公開中だが、今回はその番外編として、このコロナ禍の状況と、スタートした音楽フェスについて話を訊いた。YAASUUは4月4日、<レキオスシーミーフェスティバル>を開催するなど、精力的な活動を続けている。
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■宮古や石垣も含めた沖縄の音楽という
■広い意味の“LEQUIOS-POP”
──コロナ禍の現在、音楽活動にはどんな影響をおよぼしていますか?
YAASUU:2020年は予定していた国内ツアーやインストア、そして台湾で計画していたライブなど、ほとんどが中止になってしまいました。ただ、“こんな時代に何が出来るか?”と考えてオンラインライブを始めたんです。そうしたら全国各地に観てくれる人がいて、“これは面白い”と。そのどんどん規模を大きくして、沖縄出身の先輩や同期、後輩たちと「いつか大きなフェスをやろう」という話に膨れ上がり、<LEQUIOS FESシリーズ>という形で本当に実現することとなりました。他にも現在、宮古島に関連した僕主催のライブイベント<宮古島ナイト>を東京で開催しています。
▲<LEQUIOS COUNTDOWN FESTIVAL 20/21>12月31日@沖縄ミュージックタウン音市場
──“LEQUIOS”とはポルトガル語で“琉球人”を意味する言葉ですが、<LEQUIOS FESシリーズ>のタイトルにはどんな想いを込めていますか?
YAASUU:琉球王国と呼ばれていた時代、沖縄は500年以上にわたって世界中の船が往来する貿易中継地だったんです。“レキオス”とは、500年くらい昔の大航海時代に琉球に来たポルトガル人が、武器を持たずに平和を愛する友好的な琉球人を“Lequios (=琉球の民)”と呼んだことから使われるようになった言葉なんです。ちなみに、同時代にポルトガル人が台湾をFormosa(フォルモサ=美しい島)と呼んでいたらしく、それを冠した<Formosa Fes>みたいなタイトルのイベントが台湾にあるそうで。であれば、「沖縄でも<LEQUIOS FES>みたいなイベントがあるといいね〜」と仲間内で話していて、それを本当に実施することができた、という感じなんです(笑)。
──沖縄の歴史が感じられるタイトルでもあるわけですね。
YAASUU:沖縄は主に“沖縄本島” “宮古島” “石垣島”の三地域で構成されているんですね。“ウチナーポップ(沖縄POP)”という言葉もあるんですが、“ウチナー”は厳密に言えば沖縄本島を指すもので、僕らみたいな“宮古島” “石垣島”をはじめとする離島出身者にはちょっとしっくりこないんです。そこで宮古や石垣も含めた沖縄の音楽という広い意味の“LEQUIOS-POP”という言葉を仲間内で考えて。いわゆる韓流や華流という言葉があるように“琉球流”が新しいムーブメントになればいいなと思っています。
▲<LEQUIOS COUNTDOWN FESTIVAL 20/21>12月31日@沖縄ミュージックタウン音市場
──“WATTA LEQUIOS!(私たちは琉球の民)”という合言葉もできました。
YAASUU:“WATTA”は沖縄方言で“みんな”という意味で、オリオンビールが沖縄限定で“WATTA”という缶チューハイを発売していたり、馴染み深い言葉でもあるんです。九州、関西、関東にもたくさん住んでいる沖縄出身ミュージシャンを集めて<LEQUIOS FES>をやりたいと思った時に、「俺たちみんな沖縄出身のミュージシャンだ」って言える言葉はないかな?と。それで“WATTA LEQUIOS!”という合言葉が出来ました。
──<LEQUIOS FES>はどのようにして形になったのでしょうか?
YAASUU:僕は主に沖縄でも宮古島や石垣島など離島出身のアーティストさん達にお声がけをさせていただきましたが、“沖縄本島” “宮古島” “石垣島”出身の僕の先輩や後輩、同期の仲間たちに声をかけまくって、ひとつのチームができたんです。そして2020年12月31日に最初に開催したのが<LEQUIOS COUNTDOWN FESTIVAL 20/21>。沖縄で最も大きなライブハウスのひとつ、ミュージックタウン音市場が会場でした。
▲<LEQUIOS COUNTDOWN FESTIVAL 20/21>12月31日@沖縄ミュージックタウン音市場
──当日は計27組の沖縄系アーティストの方々が出演されました。
YAASUU:島ハーフ芸人(沖米ハーフ)であり、沖縄ではテレビCMなどでも有名なニッキーさんの司会進行で始まり、オンラインとオフラインにて計27組がステージを展開しました。もちろん僕もアーティストのひとりとして出演させていただいたんです。最後は喜納昌吉さんの呼びかけで他の出演者達とステージに上がって、みんなでカウントダウン。2021年元旦を全員で迎えた後、「花〜すべての人の心に花を〜」と「ハイサイおじさん」でフィナーレを飾りました。感極まって涙が溢れるような感動のステージした。
──<LEQUIOS COUNTDOWN FESTIVAL>以降もフェスは継続されてますね。
YAASUU:新暦の正月にカウントダウンフェスという形で<LEQUIOS FES>を初開催して、次は2021年2月12日、沖縄だけに残る“旧正月”に、台湾、マカオ、韓国、中国大陸とオンラインで繋いだ<旧正月元旦フェス>を実施しました。そして、アジア共通の暦“清明節”の4月4日には、<レキオスシーミーフェスティバル>を開催します。清明節を沖縄では“シーミー”と言ってお墓参りをする日になりますが、お墓の前でピクニックみたいな感じで盛り上がる独自の文化が沖縄にはあるんです。今回はそれをテーマにフェスを開催します!
▲<LEQUIOS COUNTDOWN FESTIVAL 20/21>12月31日@沖縄ミュージックタウン音市場
──歴史と文化が融合するフェスとなりそうです。
YAASUU:はい。それに、冒頭でお話した<宮古島ナイト>はオンラインとオフラインを併用した定期イベントなんです。宮古島の魅力や宮古方言(ミヤクーフツ)を音楽に合わせて紹介することで、宮古島へバーチャルトリップしてもらうような感覚になると思います。皆さんにも、ぜひ見てもらえたら嬉しいです! さらには宮古島出身の友人たちで『WONDERFUL LIFE』というYouTubeチャンネルもやってたりするので、このあたりはまた改めてご紹介させていただきますね。
撮影◎Ocean Queen(@rnx98te01)
■<レキオスシーミーフェスティバル>
YouTube完全無料配信:https://youtu.be/dibDKH70GYg
特設サイト:http://www.lequios-pop.asia
■<宮古島ナイト>
2021年4月29日(木/祝) 川崎・ゆんたく
open18:30 / start19:00
https://yuntakuzakka.ti-da.net
▼<宮古島ナイト in 那覇>
2021年5月9日(日) 那覇・Okinawa Cyber-Box
open / start ※未定
https://twitter.com/hoemo666