【ライブレポート】SPiCYSOL、東名阪クアトロツアー最終日に3万人「夜を越えよう」
ワーナーミュージック・ジャパンからメジャーデビューすることが発表されたばかりのSPiCYSOLの東名阪ツアー<SPiCYSOL QUATTRO Tour 2021>が、3月5日に渋谷クラブクアトロで最終日を迎えた。ツアーとしては1年以上ぶりということでチケットはソールドアウトしたが、最終日はSPiCYSOLのオフィシャルYouTubeチャンネルとスペースシャワーTV公式LINE LIVEで急遽無料生配信されることが決定し、会場と配信視聴者合わせて約3万人のファンと分かち合うライブとなった。先ごろ公開したオフィシャルレポートに続いて、オリジナルレポートをお届けしたい。
◆SPiCYSOL 画像
森林の中を彷彿とさせるような鳥のさえずりがミックスされたトロピカルなSEが流れるなか、まずはKAZUMA(Dr)、PETE(Key/Tp/Cho)、AKUN(G)、サポートベーシストの濱田織人が登場し、セッションがはじまったところで、フロントマンKENNY(Vo/G)がステージへと表れ、「東京!」と声を上げる。そしてしなやかなグルーヴと心地よいギターのカッティングに観客が体を揺らす「The Night Is Still Young」でライブをスタートした。
「今日はまだ声が出せないから、クラップでひとつになりましょう」──KENNY
という声に手拍子が大きくなり、KENNYの「さらに、倍!」という呼びかけで観客もまた手拍子のグルーヴを生み出す。PETEがステージ前へと躍り出てトランペットをプレイすると、フロアのボルテージが上がるのがわかる。感染症対策で観客は動きや声を発したり等制限されることも多いが、大きく手を振ったり手拍子で返していく。観客は思い切り動くことができないもどかしさはあると思うが、「Traffic Jam」「It’s Time」とどんどん密度を増していくバンドアンサンブルに、高く大きく手を振って、その音を全身で浴びていった。
「コロナ禍できっと外に出ないようにしていた人や不安な気持ちを抱えて来てくれた人もいると思う。本当に来てくれてありがとうございます。その不安を払拭するように、生音で、俺たちのバイブスと音圧とでみんなを引っ張っていくので最後までついてきてください」──KENNY
とMCし、「嬉しいよね、手を挙げて音量感を出してくれている人もいる」と笑顔を見せる。「今日はライブでしかできないこと、今日しかないライブアレンジを詰め込んで持ってきた」とKENNY。そしてPETEの鍵盤でキーを確認すると、「Coral」のサビ部分をアカペラで、AKUNとPETEのハーモニーを交えて歌い出した。曲の甘美さと歌心とを増量したスペシャルバージョンでの「Coral」だ。会場全体がエモーショナルな雰囲気に包まれたところで、KAZUMAのファンキーなビートと柔らかな弾むギターが心地よい風を吹かせる「Mellow Yellow」から「BOHO」へ。ブリージーな海辺の風から、都会的なざわめきを感じさせる風へとドライブするような感覚で、その音は景色を変えた。PETEのトランペットからKAZUMAのアグレッシヴなドラムソロで盛り上げていくのもライブならではで、大きな拍手がわき起こる。その観客の熱を抱えたまま「Honey Flavor」で、KENNYは軽やかなファルセットを響かせた。
そしてここで改めて、4月7日に配信リリースとなるEP「ONE-EP」でワーナーミュージックからメジャーデビューすることが決定したことを観客に報告。ライブ当日に先行配信となったEP収録曲「ONLY ONE」を披露した。SPiCYSOLの持つキャッチーさやスウィートなメロディ、バンドのグルーヴが全面に打ち出された曲であり、またファンファーレのようなホーンが晴れやかさを増す。クライマックスの“ONLY ONE”のリフレインでは、KENNYが観客のひとりひとりを指差し、語りかけるように歌った。“The Surf Beat Music”を掲げ、ロックやレゲエ、R&B等の要素をシェイクしたサウンドとメロウな歌心を紡ぐ彼らの曲のなかでも、ブライトなポップ感のある「ONLY ONE」は、SPiCYSOLサウンドの新たな入り口になってくれそうだ。
またこの日はもうひとつ大きな発表があった。毎年恒例の自主企画、7月3日“海の日”イベントがZepp DiverCityで開催されることがアナウンスされたのだ。
「初めてのZepp。皆さんのおかげでようやくZeppにこれました。まだまだコロナ禍で暗いニュースも多く、気持ちが暗くなってしまいがちですが、その分、俺らミュージシャンがそれを覆すくらいの音楽をみんなに届けられたらと思うので。みんなでこの暗い時代を、ネガティヴにならずに越えていきましょう。夜を越えよう」──KENNY
と呼びかける。そして演奏したのは「After Tonight」。スモーキーな鍵盤と、美しく瞬くようなギターフレーズがエモーショナルな歌声を輝かせ、優しく温かに会場へ響きわたる。いつ、どんな時、どんな状況でも、傍らで寄り添うことができるのが、音楽のエバーグリーンな魅力だと、その音は感じさせてくれる。そしてラスト曲は、多幸感満載で「Two Eyes」をプレイ。メジャーへと船出し、ここからまた新たにはじまるだろう旅への思いを観客と分かち合う。会場はその高揚感で満ち溢れた。
ここで本編が終了して、会場と配信でいち早く「ONLY ONE」のミュージックビデオが公開となる予定だったが、会場のスクリーンには大黒摩季が映し出され、SPiCYSOLのメジャーデビューを祝福。これは所属することになったワーナーミュージックのスタッフからメンバーへのサプライズで、大黒摩季、ベリーグッドマン、浦和レッズの槙野智章選手、そして「ONLY ONE」のミュージックビデオに出演する俳優・結木滉星と、SPiCYSOLのゆかりある人からのお祝いコメントが贈られた。ちなみに新曲「ONLY ONE」は、TELASAのオリジナルドラマ『主夫メゾン』の主題歌であり、ドラマにはKENNYが“ヒモのバンドマン役”で出演している。「さっき「ONLY ONE」を歌ったとき、ひとりひとりを指差しながら歌ってて、まさにその片鱗を見せてくれた」とAKUNに茶化されていたが、ドラマも期待したいところだ。
そんなサプライズの歓喜の余韻のなか、アンコールではインディーズ1stシングル(2016年)から「Sunset Beach」「Rising Sun」をプレイ。これまで着実に培ってきた活動をしっかりと背負って、より大きなフィールドへと進んでいく意志を伝える一夜になった。なお、SPiCYSOLクアトロツアーファイナル生配信の様子は3月12日(金)23:59までSPiCYSOL オフィシャルYouTubeにてアーカイブ視聴が可能だ。
取材・文◎吉羽さおり
撮影◎ハヤシサトル
■<SPiCYSOL QUATTRO Tour 2021>3月5日(金)@渋谷クラブクアトロ
02. Traffic Jam
03. It’s Time
04. Coral
05. Mellow Yellow
06. BOHO
07. Honey Flavor
08. ONLY ONE
09. After Tonight
10. Two Eyes
encore
en1. Sunset Beach
en2. AWAKE
■「SPiCYSOL クアトロツアーファイナル生配信!」
※3月12日(金)23:59までアーカイブ視聴可能
SPiCYSOLオフィシャルYouTube: https://youtu.be/WLoN3LALPWU
■デジタルシングル「ONLY ONE」
https://spicysol.lnk.to/onlyone
■メジャー1stデジタルEP「ONE-EP」
収録予定曲(計3曲収録)
ONLY ONE
From the C
NAISYO
■TELASAオリジナルドラマ『主夫メゾン』
【第1話・第2話】2021年2月26日(金)正午~配信スタート(※第1話は無料配信)
【第3話】2021年3月05日(金)正午~配信スタート
【第4話】2021年3月12日(金)正午~配信スタート
【第5話】2021年3月19日(金)正午~配信スタート
【第6話】2021年3月26日(金)正午~配信スタート
配信URL: https://www.telasa.jp/series/11320
地上波放送:2021年3月7日(日)10:00~10:30
第1話放送(テレビ朝日/関東ローカル)
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