【インタビュー】仲村宗悟「3曲の高低差がエグい(笑) でもそこも楽しんでもらえると思います」
■今の時代の音楽は聴き流しの音楽になっていると思う
■もっと1曲に集中して聴ける環境を作れたらうれしいな
――そして3曲目「オブラート」は、歌っている息遣いが耳元で聴こえるような、アコースティック感覚のとても美しいスローバラード。
仲村:「てこと」は、出てきたものをそのまま、自分の感情のままに作ったところがあるのですが、「オブラート」は意識的に“このコードとこのメロディと”というものを考えながら作った曲で、美メロをかなり意識しました。自分の今ある音楽レベルを数値にしたとして、それをしっかり集結させて聴かせられる音楽はどういうものだろう? と思いながら、歌詞は音の邪魔にならず、なおかつ強い言葉ってどういうものなんだろう? とか想像しながら、いろいろバランスを取りながら作りましたね。
――この曲は、ぜひヘッドホンでじっくり聴いてほしい。ベースの音色のジャズっぽい感じとか、すごくクオリティが高いです。
仲村:僕はスティングが大好きなんですけど、アンプラグドのライブで、アップライトベースを弾きながら、周りにお客さんがいて、その中でライブをしてる映像が浮かんでいました。たとえば僕が40歳、50歳になってライブをする時に、そういう感じでやれたら説得力と渋みが出てくると思うし、そのイメージで作りましたね。最初のアレンジにはギターソロが入っていたのですが、“ここピアノにしたいです”と言ったら、潤さんが渾身のピアノソロを弾いてくれました。2ndシングルまでは、潤さん的にピアノをちょっと封印していたみたいで、ギター中心のアレンジにしていたのですが、「オブラート」に関しては僕が“ピアノメインで行く”という話をしたので、折れてくれたのかもしれない(笑)。
――そういうアレンジのこだわりって、言っちゃうほうですか。
仲村:前からけっこう言ってますね。メンバーとはお互いにそういう話ができる関係で、バンドレコーディングから参加させてもらっているのもそういう思いがあるからです。自分の頭の中で鳴っている音があるんですよ。昨日TD(トラックダウン)をやったんですけど、一音一音めちゃくちゃこだわりましたからね。「てこと」のギターソロとか、エフェクトでファズをかけて“そこだけ尖った音色にしたい”とか、耳に残って面白いなと思います。今の時代の曲の聴き方は、聴き流しの、生活に乗っかってくる音楽というものになっていると思うのですが、もっと1曲に集中して聴ける環境を作れたらうれしいなと思います。
――「オブラート」の歌詞は、かなりダークですね。何か落ち込むようなことがあったのか?と思うぐらい、物思いに沈んでいる感じがする。
仲村:何があったということはないんですけど…人と人の距離感とか、心の壁とか、一人一人が持っていると思うんです。それが時に苦しくなる主人公がいて、“何も誤魔化す気はないよ”と言っているけど、最終的には“溶かしてほしい”という、他人任せになってしまっている。その壁というか、心の膜=オブラートを自分で剥がそうとしてもできなくて、“誰か剥がしてよ”とお願いしてる、もどかしい感じを書きたいなと思っていました。
▲3rd Single『JUMP』【初回限定盤】
▲3rd Single『JUMP』【通常盤】
――それは、自分自身の心の中に存在するもの?
仲村:僕は人と話すのが好きだし、まあまあオープンな人間だと思うのですが、少なからずそういう内面があると思うし、人の感情が流れてくる瞬間がいっぱいあるんですよ。僕はかなり“考えしい”で、一人になるといろいろ考えちゃう。自分でもセンシティブ(繊細)だなと思う瞬間がすごくあるから、そういう気持ちにリンクして書いた曲ですね。
――“仲村宗悟にはこんな一面もあるんだ”というものがよくわかる、カップリング2曲だと思います。
仲村:ただ、「JUMP」からの高低差がエグい(笑)。でもそこも楽しんでもらえると思いますよ。
――そして、このあと、2021年はどんな動きをしていきますか。
仲村:今の状況の中で無理やり“こうしたい”というものは正直なくて。それぞれの場所でそれぞれが安全なのが一番だから、その中で僕ができることをやりたいです。こういう状況だからこそできることを僕も模索してやっていくと思うのですが、それは今の時代だけじゃないですよね。どんな状況になっても思考を巡らすことは止めないで、その時のベストを尽くせればいいなと思います。もうすでに新しい曲の発想があって、それも面白いですよ。早く聴いてほしいです。
――最後にちょっと、おまけの質問を。最近はどんな音楽を聴いて、刺激を受けていますか。
仲村:去年の初めぐらいからサブスクで聴くようになったんです。今までは全部買っていて、今でも好きなものは買いますけど、買いに行くということは自分が認知しているもので、その枠の中で聴くことが多かったのですが、サブスクがいいなと思ったのは、自分の枠の外から選べる部分が多いことで、いろんな発見がありました。今までみたいに洋楽じゃなくて、アイドルソングとかも聴くようになったし、韓国ポップスとかもあんまり聴いてこなかったのですが、BTSを聴いてみたりして、“ヒットしている曲にはどういうおいしい部分があるんだろう?”とか考えたり。僕の性格として、昔から、あんまり自分の琴線に触れない曲でも“じゃあ、なぜこの曲で俺は盛り上がれないんだろう”とか、聴きながら分解してみるのが好きで、“自分が書く曲ならここはこうしちゃうな”とか、そういうことが好きなんですよね。自分が今まで聴かなかった曲からも得られるものがあるかなと思って、今はいろいろ聴いていますね。
――コロナ禍で外に出る機会が減っても、そうやって、前向きに楽しめることはある。
仲村:心まで元気がなくなっちゃったらダメですからね。今まで見ていた角度のままで、元気がなくなっちゃうんだったら、見る角度を変えてみれば“いいな”と思えることもあるから。別のところに目を向けてみようということは、今の時代にとても大切なことかもしれないと思います。
取材・文:宮本英夫
リリース情報
TV アニメ『スケートリーディング☆スターズ』ED 主題歌
初回限定盤 CD+BD+56Pフォトブック
LACM-34013 ¥2,800(+tax)
通常盤 CDのみ
LACM-24013 ¥1,300(+tax)
01.JUMP
作詞:仲村宗悟 作曲:片山義美 編曲:村山☆潤
02. てこと
作詞・作曲:仲村宗悟 編曲:村山☆潤
03. オブラート
作詞・作曲:仲村宗悟 編曲:村山☆潤
ライブ・イベント情報
2021/2/13(土)@ぴあアリーナMM
◆インタビュー(1)へ戻る
この記事の関連情報
仲村宗悟、アーティストデビュー日に5周年記念アルバム発売。ライブツアーも開催決定
MADKID、主催イベントにFLOW、仲村宗悟を迎えて圧巻のパフォ―マンスを披露
ランティス男性声優アーティストイベント<Lantis MENS GIG “A・C・E” 2024>開催。仲村宗悟、畠中 祐、古川 慎が出演
MADKID、主催イベント<Future Notes Fes>開催決定。FLOW、仲村宗悟出演
<第7回 ももいろ歌合戦>第1弾出場者発表。松平健、石井竜也、ヤバT、FRUITS ZIPPERら初登場
【インタビュー】『マガツノート』清正役・仲村宗悟がgirugamesh「INCOMPLETE」カバー「僕が知らない一面が見えた」
【ライブレポート】仲村宗悟、「みんなと声を出してライブができるようになって嬉しい」
【対談連載】ASH DA HEROの“TALKING BLUES” 第14回ゲスト:仲村宗悟
カバーソングプロジェクト「CrosSing」、仲村宗悟が歌うアジカン「リライト」公開