【ライブレポート】GEMS COMPANY、画面も次元も超えて「離れずにしっかりついてきてください!」

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「GEMS COMPANYは上しか見てないんで。みんなの気持ちを乗せて、どんどん突っ走っていくので、離れずにしっかりついてきてください!」

最終日の昼公演で一文字マヤが告げた言葉は、ファンの心を画面越しに鷲掴んだ。2018年に結成して2019年に初ライヴ、2020年にはメジャーデビューと、順調に階段を上ってきたスクウェア・エニックス発のアイドルグループ「GEMS COMPANY」。

だが、彼女たちの上にもコロナ禍は例外なく降りかかり、延期となった<GEMS COMPANY 2nd ONEMAN LIVE “プレシャスストーン”>は、当初の予定だった2020年5月から実に8ヶ月後を経て、遂に開催へと漕ぎつけた。再びの緊急事態宣言発令により、3日間5公演を予定していた有観客ライヴが全てオンライン配信に切り替わる逆境に見舞われながらも、メンバーは苦しい時も支えてくれたファンへの感謝とパフォーマーとしての確かな進化、そして、未来への誓いをしっかりと提示。

5公演すべてのセットリストやMC担当メンバーを変え、久々のライヴで初披露となる楽曲や企画もふんだんに盛り込みながら、全員曲にソロ曲、ユニット曲と多彩な組み合わせで楽しませてくれた。1月8、9、10日と行われた公演のうち、BARKSでは千秋楽となった1月10日の昼公演をレポートする。

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宇宙空間から地球へ、さらに会場のKT ZEPP YOKOHAMAへとフルスピードで降下する映像からメンバー10人のヴィジュアルが揃い、“Are you ready?”の文字が大写しになると、一文字マヤと赤羽ユキノによる「DESIGNED LOVE」からライヴはスタート。「大人の時間始まるよ」という囁きから、吐息交じりのヴォーカルと超ミニスカートの裾を翻すセクシーな動きで 、“さすがジェムカンのアダルトチーム!”と唸りたくなるようなお色気を振りまいてゆく。


続いて、小粋なダンスチューン「ファビュラスTOKYO」で見事なステップを見せながら“おハーブカーニバル!”のキメ台詞も完璧な有栖川レイカ、「みんな声出していくよ!」と元気いっぱいに「ジンセイJust do It!!!表明」を贈った星菜日向夏と、個性あふれる最新ソロ楽曲をリリース前に披露。パープルにオレンジと、それぞれの推しカラーをベースにした衣装も最高にキュートだ。



ここで“オカルト大好き”赤羽ユキノ、“呑兵衛担当”一文字マヤ、“猫耳女”水科葵と、この公演のMCを担当する3人が登場して、ツイッターのトレンド入りしたことを報告。今日が初MCになる一文字は「会えない期間があって、ファンのみんなも私たちも不安になる部分があったと思うけど、それを解消できるくらい楽しい! ジェムカンをもっともっと大きくして、みんなと大きいステージに行きたい!」と、リアルタイムな心境を吐露してくれた。


その言葉通り、中盤戦は“楽しい”が満載のターンに。赤羽、水科、星菜、長谷みことの4人が揃い、カントリーな響きの「ネットのかみさま」で電波系リリックを唱えつつ愛らしく跳ねれば、紫にピンクと同系色の双子コーデな装いで「しゃかりきマイライフ」を歌うレイカと奈日袖ねねは、「今、うちらメッチャ楽しい!」と喜びの声をあげる。


そして一人残った奈日袖が、今度はソロ曲「夢見がちエクスプローラー」で臆病な自分の譲れない想いを歌いあげ、「いつかみんなに伝えたいことがあります! 僕のありったけの夢物語!」とピュアな声で訴えると、“なにぬぅぅぅ!!!”と彼女へのコールがコメント欄にズラリ。たとえオンラインであっても、この瞬間、彼女たちは確かにステージ上に存在し、画面越しにファンと繋がっているのだ。


本日2度目のMCでは、赤羽と一文字が当日朝に“ポン姉”こと音羽雫に仕掛けた寝起きドッキリの音声が流れるというお楽しみも。「光が目に痛い!」と寝ぼけながらユニット曲「オンリー・マイ・フレンド」のサビを歌わされたあげく、「千秋楽、盛り上がっていくぜ!」と声を振り絞る音羽の狼狽ぶりは録れ高満点で、コメント欄は“w”の嵐。しかし、同じく寝起きを突撃されながらも、「流すほど面白いもんでもなかった」とボツにされた星菜に比べれば幸運だろう。


一転、シリアスで隙のないヴォーカルとピストルを撃つハードなアクションで「鮮紅の花」を放った水科に続き、ライヴをダークゾーンへと誘ったのは赤羽と長谷だ。ヒステリックな弦の音に合わせ、マリオネットのような動きで得体のしれないムードを漂わせる「ノルマンディ」に、インダストリアルな金属音で観る者を追い詰める「ガダルカナル」で描かれる暗黒の系譜には、まさに息を呑むばかり。全身黒づくめ&目隠しをした二人のヴィジュアルも相まって、文字通り“闇のジェムカン”を体現してくれる。


その“闇のジェムカン”メンバー(?)であり、ここまでの3曲を使用した舞台の脚本家であるヨコオタロウと、作曲者の岡部啓一(MONOCA)からのサプライズメッセージを挟んで、赤羽と一文字がRTの数を競って“自撮り対決”。メンバーの写り込みの力を借りた一文字に敗北した赤羽は、罰ゲームのスクワットに水科も巻き込んで観る者を笑わせたりと、抜け目のないエンターテイナーぶりには頭が下がる。


そして、城乃柚希を加えた9人でパフォームした「JAM GEM JUMP!!!」、「ときめきドリームライン」の厚みあるハーモニーとポジティヴなヴァイブス、さらに、そこに香る青春の息吹の瑞々しさたるや! 無条件に心躍る響きに、レーベルメイトである鹿目凛(でんぱ組.inc)の「アンコール欲しくない?」というアナウンスも加わって、コメント欄に“アンコール!”の文字が並ぶのも必然だろう。

その声に応え、先に現れたMCの3人は、ステージに立てる喜びを異口同音に表明してくれた。水科は「今まで一人ぼっちが多かった」と語った上で、「上京して素敵な仲間と出会えて、いつも一緒にレッスンしたり配信とかできて、もう、なんか……あたしの人生マジで変わった」と感無量。「ライヴが楽しすぎて秒だった」という一文字も、「ファンのみんなと会えなくなってしまったのは寂しいけど、そのぶん練習する時間が取れたおかげでハモリとかすごく進化して、みんなに歌で何かを伝えられたかなって思った公演になりました」と手応えを語る。


ここで話す言葉を考えて「昨日の夜、ベッドの中で涙が出た」という赤羽は2020年を振り返り、「私だけじゃなく、いろんな人の人生観が変わっていった1年だった。スタッフさんと二人三脚で進んできて、ファンのみんなも一丸となって“もっともっとGEMS COMPANY を世の中に発信していくぞ!”っていう流れがあることが本当に嬉しくて! まだまだGEMS COMPANYは昇っていきたいので、これからも応援してくれたら嬉しいなと思います」と、想いをさらけ出した。


続いて「プレシャスサンキュー!」と全員がステージに飛び出し、最後に贈られたのは「ゴールデンスパイス」。ディスコ調のサウンドにステージを横切るミラーボールの光も華やかに、力強く吐き出される“手放すもんか!”のユニゾンは自身の夢を、未来を、そしてファンの手を絶対に放さないという決意に満ちていた。


大千秋楽となったこの日の夜公演では、PV上映会やおはなし会などの企画を引っ提げて、メンバーが全国を巡るヴィレッジヴァンガードとのコラボレーション企画も発表。そこに“新しい仲間に出会う旅”と銘打たれていることからもわかるように、彼女たちの願いは“ジェムカン”の輪をどんどん広げていくこと。そして、多彩な個性と次元を超えた存在感をフル活用して、さらに大きなステージへとファンと共に辿り着くことなのだ。

文◎清水素子

■アーカイブ配信情報
https://www.zan-live.com/live/detail/10045
アーカイブ配信期間: 各公演終了後~2021年1月17日(日)23:59まで

セットリスト

M0.overture
M1.DESIGNED LOVE
M2.ファビュラスTOKYO
M3.ジンセイJust do it !!! 表明
M4.ネットのかみさま
M5.しゃかりきマイライフ!
M6.夢見がちエクスプローラー
M7.鮮紅の花
M8.ノルマンディ
M9.ガダルカナル
M10.JAM GEM JUMP!!!
M11.ときめきドリームライン
En.1 ゴールデンスパイス

<GEMS COMPANY × VILLAGE / VANGUARD『全国おはなし会ツアー2021〜新しい仲間に出会う旅〜』>

開催期間:2021年2月20日(土)~5月29日(土)
※店舗によって開催日程が異なります。

開催エリア:東京/大阪/愛知/福岡/北海道/広島/宮城

特設サイト:https://www.gyunto.jp/gemscompany-village-v-tour/

◆GEMS COMPANY オフィシャルサイト
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