【インタビュー】DUAL CREED、現代に継承すべきカリスマとド派手なロックを語る「閉ざしちゃいけない」
DUAL CREEDが2021年元旦、1stアルバム『TERRITORY』をデジタルリリースした。Kent (Vo)とRyuga (G)を中心に2018年5月結成。2020年末にYuto (Dr)が加入し、現3人体制となった彼らが放つサウンドは、1980年代〜1990年代のバッドボーイズロックをベースとしながら、現代に昇華したものだ。根底にあるのは“ロックスター”の名にふさわしい華やかさ、色気、カリスマ性を兼ね備えたバンドが活躍していた時代の音楽を途切れさせたくないという想い。当然のことながらリアルタイムで聴いていた世代ではないが、当時のロックが持っていたキケンで不埒な匂いは彼らの音楽性とスタイルに受け継がれている。
◆DUAL CREED 画像 / 動画
BARKS初登場となるインタビューでは、コンセプチュアルなサウンド&ヴィジョン、メンバー個々の背景、確かなスキルで熱量と攻撃性のあるナンバーを解き放ったアルバム、そしてロックへの溢れんばかりの愛について3人に話を聞いた。なお、DUAL CREEDの持つ魅力が全開となるライブが2月12日に新宿Zirco Tokyoで主催イベントとして開催される予定だ。
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■世間の流行り廃りに流されず
■好きな音楽をやっていきたい
──アルバム『TERRITORY』を聴いて、攻撃性と色気を合わせ持ったロックバンドだなと思いました。結成は2018年とのことですが、そのときは今の3人ではなかったんですよね。
Kent:最初はギターのRyugaとベーシストの3人で、ドラムがいなかったんですね。2018年に新宿で初ライブをしたんですが、面白いのはそのとき、対バンのドラマーがYutoだったんです。共演はたまたまだったんですよ。
Yuto:当時は別のバンドをやっていて、ちょうどツアーで東京に来ていたんです。仙台が拠点のバンドだったので。
▲Kent (Vo) |
Ryuga:いや、挨拶ぐらいだったよね。僕らも初ライブでいっぱいいっぱいだったし。
──初共演以降、付き合いが深くなったのは?
Kent:DUAL CREEDは2019年11月に初ワンマンライブを開催したんですけど、その1週間前にYutoの地元・仙台のイベントでまた共演する機会があったんですよ。そのときにYutoが「1曲叩く」と言ってきて。
Yuto:ハロウィンイベントだったので面白いことがしたくて「1曲叩かせてよ」って頼んだんです。なので、本番前に一緒にスタジオに入ったり。
Kent:そのときに演奏したのが、今回の1stアルバム収録曲「Rock’n Roll Star」だったんですよ。で、その仙台の夜は2人でずっとワインを飲んだよね。
Yuto:外が明るくなるぐらいまでね(笑)。僕らは2019年末に解散することが決定していて、自分自身、音楽を続けるか否かで悩んでいたんですけど、そのときに声をかけてもらったという。
Kent:DUAL CREEDも2020年1月にベースが抜けて2人だけになったんですけど、Yutoのバンド解散もちょうど同じ頃で、そういう話を聞いたこともあって「東京に来ちゃいなよ。一緒にやろう」って。新型コロナウイルスの影響で遅れてしまいましたが、本来なら2020年夏にはアルバムを出して「よし! 行くぜ!」って新たにスタートを切るイメージだったんです。
──Yutoさんは音楽を続けるか否かを迷っていたタイミングだったいうことですが、心を動かされたキッカケというのは?
Yuto:Kentのヴィジョンがすごくハッキリしていたんです。「世間の流行り廃りに流されずに好きな音楽をやっていきたい」と言ってて。当時の自分は、「何をやったら受け入れられるんだろう?」って流されまくっていたんですよ。それがイヤだったし、メンバーともぶつかっていたので音楽を嫌いになりかけていたんです。そのときは、DUAL CREED加入までは決めていなかったんですけど、Kentの話を聞いて「とりあえず東京に行こう」と思いました。
Kent:僕の中ではYutoと一緒にやるっていうのは決まってたけどね(笑)。
▲Kent (Vo) |
Kent:バンドを組む前から僕らは曲を作るパートナーというか、マンガ『キン肉マン』で言うところの“ゆでたまご”みたいな関係ですね(笑)。
──ユニットとして作品を合作していくような?
Ryuga:抱き合わせみたいな。
Kent:そうそう。音楽の好みも似ているので曲を作るスピードがめちゃくちゃ早いんですよ。
Ryuga:まず気が合ったのは、同じような音楽ジャンルが好きだったっていうことですね。どんなバンドに影響を受けたのか話をしていくうちに「一緒に曲を作ろうか」ってことになって。Kentが作った曲のデモを……中にはワンコーラスだけの曲もあったんですけど、「こんな感じにしたらいいんじゃない?」って僕が提示したアレンジに対して、Kentがすぐにメロディーと全体の構成考えて、リズムを打ち込んだり、ギターを入れたり。「こっちのほうがカッコいい」とかいろいろやり取りしていくうちに、勝手に曲ができていくという感じで。それがすごくスムーズなんです。
Kent:気づいたら3曲も完成してたり。
──DUAL CREEDの楽曲は2人の共作が多いんですか?
Kent:僕が作った原曲をRyugaがアレンジしてくれたりするほか、アルバムにはRyugaがひとりで作った曲も入っていますから、制作パターンは幾つかあるんですけど。まぁ基本的にはモトリー・クルーのおかげです(笑)。
──先ほど「同じような音楽ジャンルが好き」とおっしゃってましたが、2人の共通項はモトリー・クルー?
Ryuga:そのあたりに洗礼を受けてますね。LAメタルとかアメリカンハードロックに影響を受けました。エクストリームとかミスター・ビッグだったり。
──1980年代〜1990年代のアメリカのハードロック?
Kent:ボンジョヴィや、ガンズ・アンド・ローゼズとか。
──なるほど。実は音源を初めて聴いたときにメロディやフレーズで“20代じゃないかも”と思ったんですよ(笑)。
Kent:ははは。確かにまわりにそういう洋楽を聴いている人はいなかったですね。
Ryuga:僕も学生時代は音楽の話が合うヤツはいなかったですから。MTVやスペースシャワーTVとかの洋楽番組を見て、ひとりで楽しんでました。で、バンド名やアルバムジャケットからインスパイアされてCDを借りに行ったり。
──昭和のロックキッズみたいですね(笑)。
Ryuga:確かにやり口はちょっと古いかも(笑)。当時はお金もなかったから、そういうふうにして音楽を聴き漁ってたんです。借りてきた音源をMDに落として曲名を自分でラベリングしたり。
Kent:ディスクユニオンとか洋楽CDが安かったから、しょっちゅう行ってましたよ。僕は廃盤になったガンズ・アンド・ローゼズの1stアルバム『アパタイト・フォー・ディストラクション』(1987年)を持ってたんですよ。
──デザインが問題になって発売禁止になったジャケットですね。それはレア。
Kent:当時は、電車賃を浮かせるために歩いてレコード店に通ってたくらいですから。
──ははは。現代の若者の発言とは思えません。
Ryuga:平成になってもそういう若者はいるんですよ。バイトできなかったりしてお金のない高校生は特に。
──ダウンロードじゃないんですね。
Kent:俺たち世代がCDと配信の狭間っていうか、CDとかMDのギリ最後世代なんじゃない?
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