【インタビュー】doa、12thアルバム『CAMP』に「いつか必ず実現する。信じようという気持ち」
doaが12月2日、12thオリジナルアルバム『CAMP』をリリースする。収録は9月より展開してきた3ヵ月連続配信限定シングル3作品を含む全12曲。“CAMP=人が集う場所”というテーマのもと、なかなか会えない状況下にあっても、音楽によって人と人とのつながりや気持ちが集うことができれば、という思いが込められたアルバムだ。
◆doa 画像
コロナ禍に制作が行われた『CAMP』は、doa本来が持つ背中をそっと押してくれるような応援ソングが味わい深い仕上がりだ。“しんどい” “どこかに行きたい”という気持ちが心を支配しそうな現在だからこそ、より輝きを増して響き渡る。なお、doaのリーダー徳永暁人による初のセルフカバーアルバム『Route 109』も『CAMP』と同時リリースされる。作家として様々なアーティストへ提供した楽曲を徳永自身がリアレンジした同アルバムには、ZARD、倉木麻衣、ももいろクローバーZ、チャン・グンソクをはじめとする名曲がシンプルなアレンジで収録された。毎日を懸命に生きている人たち全員に贈られるアルバム『CAMP』に加えて、『Route 109』について訊いたロングインタビューをお届けしたい。
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■コロナ禍だからこそできた歌詞があるけど
■その先の夢とかやりたいことを歌っている
──コロナ禍の影響で、今年初旬からアーティストはいつもどおりの活動ができなくなってしまいました。“STAY HOME”期間中はそれぞれどんな日々を過ごして、どんなことを思っていましたか?
徳永:みんなが同じ状況になったわけで、外出自粛は仕方ないという気持ちもありましたし、僕は曲を作るのが好きで、普段から家にこもって曲作りをしている人間ですから、期間中もいつもとあまり変わらなかったんです。ただ、外に出ることが極端に減ったので、運動不足になったんですよね。なので、家でヨガをやっていました(笑)。
大田:そうなんだ(笑)?
吉本:ヨガのノウハウを知っていたんですか?
徳永:知らなかったのでYouTubeを見て覚えたという(笑)。動画を見ながら毎日のようにヨガをしていたんです、昨日の夜も。だから外出自粛期間があったことで、逆に健康になったかもしれない(笑)。いっぱい寝られたし、いっぱい映画も観られたと考えれば、良かったこともありましたね。
▲12thオリジナルアルバム『CAMP』 |
──カーレースの予定もすべて中止となってしまったようですね。
吉本:はい。その代わりオンラインゲームのレース版にプロドライバーが参加する企画が頻繁にあったんですよ。レースゲーム用のコントローラーをデスクに取り付けてプレイするんですけど、イスが動いてしまって、なかなか集中できなくて。それを解消するために、コントローラーを取り付けるフレームを自分で溶接して作ったり(笑)。
大田:えっ!? 溶接? ボルトで固定するとかじゃなくて?
吉本:そう。フレームも売っているんですけど安くないし、僕は物作りが好きなので材料が手元にあったんです。で、お面を被って溶接したという(笑)。あと、doaの新しいミュージックビデオにも出てくるアルミボディのキャンピングトレーラー“エアストリーム”の内装を替えたり、家のリフォームをしたり、大掃除をしたり。なにかやることを見つけて動くことで、気持ちが落ちないようにしていました。
大田:僕は4月にアコースティックソロライブが決定していたので、今年頭から開催に向けた準備をしていたんですね。リハもやったし、チケットも販売していた。ところが、日を追うごとに状況が悪化していったんです。そのうち、スタッフからも「ライブはできないかもしれません」という声が出はじめて。
──1月頃からすでに政府の要請によって、ライブが中止になるかもしれないという話はありましたよね。
大田:そうなんです。僕らも、「ライブができるか」という話を始めた頃に、開催予定だったライブハウスが休業することになった。結果、ライブは延期になったわけですが、それからの僕は何も手につかなかったですね、かなりショックで。5月とか6月まではずっと家にこもって、ギターを弾く気にさえならなかった。その後、ソロライブを配信で実施することを決めたんです。初めての配信ライブはどうなるかもわからなかったけど、リハを再開したことで徐々に気持ちが回復していきました。
──8月に無観客有料ライブ配信として実施した<大田紳一郎 Acoustic Live 『I am a Singin'man カバー☆スペシャル』>ですね。みなさん、音楽と共に自粛期間を乗り越えようとしていたという。しかし想像以上にコロナの影響が長引くなかで、ニューアルバムの制作を決めた経緯も話していただけますか。
徳永:もともとdoaは2020年にライブツアーを予定していたんです。アコースティックで47都道府県をまわる<doa Acoustic Live Tour “3WAY STREET”>を2012年からスタートしていて、この春ついに全国制覇となるツアーを行う予定だったけど、中止になってしまった。緊急事態宣言が解かれた後にも別のツアーの計画があったんですけど、状況を鑑みてそれも中止したんです。
──有観客のライブは厳しい状況でしたね。
徳永:そうなると、自分達にできるのは曲を作ることで、それに集中することにしました。冒頭にも話したように僕は曲作りが好きだから日常的に曲を書いていたし、何曲かすでにできていて。6月くらいから本格的なアルバム制作を始めました。
大田:去年の終わりくらいから今年にかけて作った曲の中から、今、doaとして提示したい曲を選んで、さらに何曲か追加してまとめたのが、『CAMP』というアルバムです。
──アルバムを作るにあたってテーマやコンセプトなどはありましたか?
徳永:いつもコンセプトは後から出来上がっていたんですけど、今回は“どこかに行きたい”と思いながら曲を作ることが多かったんですよね。たとえば、リゾートに行きたいとか、いい景色を見に行きたいとか。ほかにも、ライブで暴れたいとか、叫びたいという欲求もあった。そういう気持ちが楽曲に滲み出て、それが最初に形になったのが楽曲「Camp」なんです。スタジオに入ったときに吉本君とキャンプの話をしていて、「そういえば、俺らはキャンプが好きなのに、そういう楽曲がないね。じゃあ、曲を作ってみるわ」って。
吉本:「だったら、肉をテーマでお願いします」と言いました(笑)。
徳永:そうそう(笑)。そこから曲のイメージとかストーリーが湧いてきたんです。
──何気ない会話から着想を得るあたりに、人と会ったり話したりすることの大事さを改めて感じます。doaは気持ちをあげたり、柔らかく染みる音楽を得意としていますよね。アルバム『CAMP』もコロナ禍で疲れたリスナーの心を癒す良質な作品に仕上がっているので、多くの人に届くといいですね。
徳永:そう言ってもらえると嬉しいです。コロナ禍で、いろんなことを思ったんですよ、どこかに行きたいというだけじゃなく。たとえば「Good Night」は、コロナ禍で寝られない人がいっぱいいるという話を耳にして、みんなにゆっくりと寝てほしいと本心から思ったんです。寝るというのは大事なことだと思っていて、まず元気になるじゃないですか。僕自身、自粛期間はたっぷり寝て、眠るというのは素晴らしいことだと思ったんです。
吉本:11曲目の「Vacation」もコロナ禍で生まれた曲ですね。全曲に共通しているんですけど、今回、歌詞を書くことがすごく難しかったんですよ。外出自粛だったから、引きこもっている中でストーリーを作っていくわけなんですが、なにも浮かばないというか。さっき話が出たように、本来2020年は<doa Acoustic Live Tour “3WAY STREET”>を完結させる予定で、その千秋楽が沖縄だったんです。いつか沖縄で千秋楽を迎えたときに、みんなで歌えるような曲がほしいなと思って歌詞を書いたのが「Vacation」。スティールペダルが南国っぽさを醸し出していて、それに引っ張られたというのもあります。
徳永:いい景色が見たいと思いながら書いた曲なんですが、歌入れには苦労しましたね。吉本君の書いた歌詞を見てイメージしたのは、なにかしらの理由でやりたいことができない人の姿。コロナ禍もそうだし、年老いて健康面や体力面の心配から旅行に出かけるのは辛いという状態もあるかもしれない。だけど、そういうときにこそ夢を描いて、それを歌うのが音楽だと思うんです。「Vacation」は80歳になった自分の気持ちを思いながら歌いました。実際には行けないかもしれないし、歌っていることはストレートなVacationだけど、“いつか必ず実現する。信じよう”という夢見る気持ちを乗せられたら、と思いながら。
大田:コロナ禍で人数を制限してレコーディングを行なっていたので、僕がスタジオに行けない時もあったんですけど、「Vacation」は作詞が吉本君なので、吉本君が歌うものだと思っていたんですよ。ところが、出来上がった曲を聴いたら徳永君が歌っていて、えっ!?と思った、というのが第一印象でしたね(笑)。今回はコロナ禍だからこそできた歌詞がいくつかあるけど、「Vacation」の歌詞を見ると、コロナ禍を真正面から捉えた歌詞というよりも、その先の夢とかやりたいことを歌っている。それはすごくいいと思いましたね。
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