【インタビュー】doa、12thアルバム『CAMP』に「いつか必ず実現する。信じようという気持ち」

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■新しさも懐かしさもあって不思議
■いつもとは少し違う感覚でしたね

──では、アルバム収録曲のなかで、大田さんの印象深い曲は?

大田:1曲目の「Grasshopper」ですね。“ガンバッタ” “フンバッタ”と歌っているから、最初は“バッタ”というタイトルだったんですけど(笑)、doa的には「Grasshopper」のほうがいいかなと思って変えたという。だから、歌詞に“Grasshopper”という言葉は一度も出てこないんですよ。でもタイトルと歌詞が実はリンクしている。イントロとかに“ジャンプ!”という掛け声を入れたのも、歌詞とつながっていたり、そんなふうにトータルで表現できた曲なんです。歌詞はコロナ禍の前に書いたんですけど、それ以降だったらこういう歌詞は書けなかったし、コロナ禍の前に作っていた曲がアルバムに収録できたこともよかったですね。

徳永:「Grasshopper」は、“着いてこいよ!”みたいな気持ちで作曲しました。景気よくない爽快でない世の中だな、と自分の中で思ってたんじゃないかな。僕は、人が暗い顔をしていると明るい曲が浮かぶし、みんなが騒いでいると暗い失恋ソングが浮かぶんですよ。だから、世の中の暗さを感じて爽快な曲ができたんだと思います。

吉本:最初に「バッタ」という仮タイトルを聞いたときは、なんじゃそりゃ?と思いましたけど(笑)、すごくdoaらしい開放的な疾走感がある曲ですよね。メロディーがすごくいいポップチューンで、ライブのときにお客さんと“ジャンプ!”って叫ぶことで一体になれるイメージもある。

徳永:早くライブをやりたいよね。

▲3ヵ月連続配信限定シングル第一弾「Grasshopper」

▲3ヵ月連続配信限定シングル第三弾「1日早いクリスマス」

──では、徳永さんの印象深い曲は?

徳永:「1日早いクリスマス」ですね。吉本君が以前ライブで、マライア・キャリーの「恋人たちのクリスマス」をカバーしたことがあったんですよ。

吉本:全然カバーできていなかったけどね(笑)。

徳永:ははは。そのときは“なんでこの曲を歌おうと思ったの?”という仕上がりで、今もずっと語り継がれているようですが(笑)。今回、吉本君が歌うdoaならではのクリスマスソングを作りたいと思ったんです。それで、モータウンビートを活かした軽快な感じにして、シャンシャン鳴っているベルだけがクリスマスっぽさを演出しているという。クリスマスソングというと歌詞は、デートの描写だったり失恋だったりが定番じゃないですか。doaらしいクリスマスソングとは何かを考えたときに、不器用な大人の男のクリスマスを描きたいと思ったんです。大人になるとクリスマスに仕事が入ることも少なくないわけで、1日早かったり遅い時間だったり……そういうクリスマスソングにしたかった。

吉本:最初に歌詞を見たときに、本命にしてもらえない男の歌かな?と思ったんですよ。イブは本命の男と会うから空いてないけど、前日だったら空いてるという(笑)。

大田:僕はクリスマス当日は家族と過ごす人の歌だなと思いました。家族でない人とは1日前に会うんだなと(笑)。

徳永:……あのなぁ(笑)。

吉本:いろんな妄想が膨らむ曲です……いや、そうじゃなくて(笑)。必要以上にキラキラしていない、大人の余裕のあるクリスマスソングで、これはちょっと盲点だと思いますね。徳永さんは僕が歌うことを決め込んで作ったということもあって、すごく歌いやすかったし、キーが高い声を張り上げるようだったら曲のイメージが全然違っていたと思う。歌に余裕があって、それが心地よさにつながっているんじゃないかな。

大田:あと、サビで“Wow Wow”と歌っているところがめっちゃいいメロディーだと思うんですよ。「1日早いクリスマス」と「Camp」の“Wow Wow Wow”のメロディーは本当に素晴らしい。

──同感です。アルバム『CAMP』はみなさんが挙げてくださった曲以外にも注目曲が並んでいて、個人的には1970年代のニューミュージックが香る「ゆらゆら」が、すごくいい曲だと思いました。

徳永:ありがとうございます。僕はやっぱり1970年代のウエストコーストが好きなんですよ。イーグルスとかアメリカとかの乾いたサウンドを出したかったということと、どこかにいきたいという思いが重なってできた曲が「ゆらゆら」。最近は家で飲むことが多いんですが、この曲は酎ハイを飲みながら作りました(笑)。もうちょっといい景色の場所で飲みたいとは思いつつ、ほろ酔い感みたいなものも出ている気がしますね。

──出ています(笑)。「ゆらゆら」は洋楽っぽいサウンドと、どこか和を感じさせるメロディーの取り合わせも絶妙です。

徳永:“ゆらゆら”という言葉が浮かんだときに、日本語特有の響きの良さを活かしたいと思って、和メロテイストを融合させました。ただ僕は、たとえばアメリカンをやるなら思い切りアメリカンではなくて、自分達なりのエッセンスを少し入れたいんです。そういう気持ちで作ったので、和を感じてもらえたのはすごく嬉しいです。

吉本:河川敷で冷たいビールを飲みながら月を見上げて、たそがれている歌が「ゆらゆら」なのかなと思ってた。今の徳永さんの話を聞いてなるほどと(笑)。この曲は新しい感じもするし、懐かしさもあって不思議ですね。歌に関しては歌詞の“Wonderful world”という言葉が最終的にキーになるから、優しさを感じさせるように。いつもとは少し違う感覚でしたね。

大田:「ゆらゆら」は吉本君がリードを取るのかなと思いきや、徳永君が「3人でユニゾンする」と言い出しまして。3人でユニゾンってジャニーズみたいじゃないですか!? doaはおっさん3人ですよ(笑)。なので、僕の中ではグループサウンズと捉えて歌うことにしました。

──拒否せずにやってみようということになるのはdoaらしい気がします。

大田:いや、最初は拒否しました(笑)。

徳永:「嫌だ」と言ってました。でも「やってくれ」と僕がゴリ押したんです(笑)。

大田:ユニゾンで歌ったものを聴いてみたんですけど、最初は徳永君の声がもっと大きく出ていたんですよ。さらにもっといい感じに聴こえるように、三声のバランスを取ってもらったんです。

吉本:「Vacation」もそうですけど、優しく包み込むような曲は徳永さんの声の包容力が似合うんですよね。だから、今のバランスになったんちゃうかな。僕がリードで歌ったら、こういう温かみは出なかったと思います。

徳永:モータウンを研究してみると3人組が多いんですよ、男性も女性も。その3人がユニゾンで歌っているから、ああいう雰囲気が出る。ビートルズもそうですけど、ユニゾンやダブリングから出る味わいって絶対的にある。「ゆらゆら」はそれを表現したいというのが最初からあったんです。マーヴィン・ゲイの「ホワッツ・ゴーイン・オン」みたいなリズムとベースラインは、そこまでこだわらないと表現できない気がしたし、絶対にユニゾンしてほしかった。ユニゾンすればするほど歌詞の情景が間接的に聴こえるようにもなったし、3人のユニゾンは久しぶりでしたね。

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