【インタビュー】安達勇人、地元茨城から届けるエール「もっと夢を」

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■「事務所に聞いてみます」っていうのがない

──では音楽の話も伺っていきたいのですが、もともとはライブよりもCDを聴いて楽しむほうが多かったそうですね。

安達:はい。でも嵐のコンサートを見て変わったんです。素晴らしすぎて、びっくりしちゃって。ライブって素敵だなって初めて思ったんですよね。まるでサーカスみたいにワクワクして、ドキドキして。

──その時の気持ちがそのまま、今の安達さんのライブに繋がっているんだと思います。

安達:そう言って頂けると嬉しいです(笑)。でもそういう音楽に関しては、僕お世辞じゃなく本当にBARKSさんの記事を結構読んでいたんですよ。だからこうしてご縁を頂いて、取材を受けさせてもらっているのはすごくありがたいことだなと。人生って面白いなって思います。これも出会いと運。そこだけは、昔から本当に恵まれているなと胸を張れるところでもあるんですよね(笑)。

──今回のアルバム『ONEWAY』も、きっとこれまでの道のりがあったから生まれた作品なんでしょうね。

安達:もちろんです。僕の曲、恋愛曲ってほぼないんですよ。人生とか生き方とか目の前の夢に向かうとか、そういう楽曲が多いからいろんな世代に刺さるのかなとも思うんですが、とにかく恋愛の曲がない。そろそろ1曲くらいラブソングがあってもいいのかなって思うんですが(笑)、こうやって自分がやる音楽も、今自分がやりたいこととリンクしたものをやりたいっていうのが基本にあるからなんですよね。

──それこそありのままで。

安達:はい。僕は今、芳賀(俊和)さんというサウンドプロデューサーの方と一緒に作っているんですが、芳賀さんは僕の活動を一から見てくれているんです。先ほど話した「夢」という曲は自分で歌詞を書いていますが、たとえ僕が歌詞を書かなくても、ちゃんと僕が今歌いたいことを表現してくれる。芳賀さんもすごく人間力が強い方。メジャー(アーティスト)にも負けない楽曲力を重要視してくださいますし、聴いた人にも、時代にも、ちゃんと刺さるものをいつも作って頂いています。

──「ALOHA」という曲があったり、「ONEWAY」という曲は海沿いの道でMVを撮影されていたりして、安達さんは海のイメージも強いですね。

安達:僕のMVは全部茨城県で撮っているんですが、「ONEWAY」も神栖市の1000人画廊というところで撮影しました。阿字ヶ浦海岸とかもすごくキレイですよ。あと僕、ハワイが大好きで。年に1回ハワイに行くのが、唯一の僕のオフなんです。友達も結構向こうにいるし、去年からサーフィンも始めました。海が大好きだからそういうテーマの曲もあるんですが、海に限らず山とか森とか、自分が育った環境がいろんな形で反映しているって感じですね。それこそ数年後に大きな野外フェスをやった時に、楽曲の面でもちゃんと全部が繋がっているんだなって感じてもらいたくて。





──サーフカルチャーの色濃いものから、フェスでタオルを回せるようなものがあるかと思えば、グッとメッセージ性の濃い曲もあって。

安達:どの曲にも、出来たきっかけというかエピソードがあるんですよ。例えば「スターマイン」は笠間で花火を打ち上げた時の曲だし、「ALOHA」はそれこそハワイでのんびりしていた時の曲。「あっかんべー」は今のこのご時世、人それぞれ考え方があるけど結局自分が決めることだよなってところからの歌詞で。

──「あっかんべー」は、「指先で人を踏みにじる時代よ」という歌詞もすごく時代を象徴しているなと感じました。

安達:そうなんですよ、SNSとかでね。「ススメ!」もそう。「右を向けと言われたら右を向き 左向けと言われたら左へ」って、まさにそういう感じがあるよなって思う曲です。ちょっと抽象的かもしれないけど、分かる人には分かる、すごく刺さる言葉が散りばめられている曲かなと思います。あと、この「ススメ!」は僕が以前所属していたNEVA GIVE UPというグループが歌っている曲なんですが、リーダーが「ぜひ勇人に歌ってほしい」ということで、今回フルアレンジされたものを歌っているんです。NEVA GIVE UPはNEVA GIVE UPで進んでいて、僕は僕で進んでいる。そういうところもリンクするんです。僕、人生は死ぬまで“ストーリー”だと思っているんですよ。だから「エンドロール」という曲も生まれたんです。

──「エンドロール」には、「主演 僕 主演 君 主演 あなた」という歌詞もありますね。

安達:僕のファンって長いんですよ。学生だった人が結婚して子供が出来て、家族で遊びに来てくれたりする人が本当に多い。そういう世代、そういう人達に対して僕は、夢のような世界っていうのもちろん大切だけど、ただ追い掛けるだけとか追いかけられるアーティストとかじゃなくて、それぞれが自分の人生の主演として生きていって、寄り添い合えるような存在でありたいなって思っているんです。だから僕も、ありのままの僕でステージに立っている。じゃないと嘘になるというか、僕自身が“作られたキャラクター”みたいになってしまいますからね。

──なるほど。

安達:それはそれで、俳優や声優として役をいただいた時の僕でいいと思うんです。でも「アーティスト・安達勇人」は、「人間・安達勇人」に一番近いものじゃないと歌の説得力も何も消えてしまう。「夢」という曲の歌詞を自分で書けたことは大きかったですし、その歌が何年経っても僕の代表曲としてたくさんの方に愛して頂けていることも、間違いじゃなかったなっていう自信に繋がっているんですよね。

──ご自分での作詞はこれからもトライされますか。

安達:もちろんです。でもそれは、タイミングが来た時でいいかなと思っていて。

──というと?

安達:僕は役者上がりなので、例えば今だったら芳賀さんから歌詞を頂いて、それを最大限自分なりに「表現する」という作業が、僕の一番得意としているところだったりするんです。自分で台本を書いて自分で演じていたら、自分だけの世界になってしまって誰も共感してもらえなくなる。それがすごく怖いんですよ。もちろん自分の思いとあまりにもかけ離れていたら「それは違う」と言いますが、これまで一度もそういうことはないですし、僕が表現することでその世界がより一層膨らんでいくことが素敵だなと思うので。

──納得です。今回このアルバムを通して安達さんのことを知った方は、この奥に広がる茨城の魅力にもぜひ触れて欲しいですね。

安達:はい。MVを撮った場所や僕がライブをやったところ、笠間市のお店などが聖地のようになって、たくさんの人が訪れてくれてるんですよ。そうするとお店の方も喜んでくれるし、お店の人とお客さんが家族のようになっていろんな話をしてたりするんですね。僕はソロアーティストだけど、茨城県中の人がメンバーだし、ファンの方達もそう。みんなが、何もない真っ白なキャンバスにいろんな色を付けてくれることで、安達勇人の活動は成り立っているんです。

──安達さんのファンの方々は、オフ会も盛んだと伺っています(笑)。

安達:そうなんですよ(笑)。もうすぐZeppツアーも始まりますけど、会場に来て新しい友達が出来るのが楽しみだっていう方も結構いて。全公演無料生配信するのでライブ自体はそちらでも楽しめますが、ぜひ僕のライブのあの空気感を味わってもらえたらなと思います。あとは今、カラオケもたくさん曲が入ってるんですよ。僕はビッグエコーで育ったようなところがありますから(笑)、もちろん歌番組に出られるのも嬉しいけど、カラオケに曲が入って、しかも本人映像で、それをみんなが歌って楽しんでくれるのがいちばんの幸せ。今回のアルバムの曲も、たくさん聴いて、たくさん歌って欲しいなって思います。

──安達さんは軽トラをステージにした<軽トラライブ>というのをやっていらっしゃいますが、軽トラで全国のビッグエコーを回るのも楽しそうです(笑)。

安達:(笑)。実はこの前もJAの方が、安達くんと全国キャラバンをやりたいって言ってくださったんですよ。だったら軽トラでいろんなところのJAを経由しながら、ライブもやれたらいいなって考えているんです。来年も大規模な<軽トラライブ>を開催する予定なので、例えばファンミーティングをビッグエコーでやるとかも面白いかなって思いますね。

──で、BARKSが全国追っかけるとか(笑)?

安達:マジですか!それ、もし実現したらすごいですね(笑)。今そういうアーティストっていないと思うし、なんか面白いことになる気がするんですよね。いろんな人間模様も生まれそうだし。ファンの皆さんとの交流だけじゃなくて、地域との繋がりもできそう…って、こうやっていつも話が進んで行くんです。僕の場合「事務所に聞いてみます」っていうのがないから、早いんですよ(笑)。

──そういうことなんですね(笑)。今日は安達さんの発想と行動力の原点に触れた気がしました。これからも応援しています!

安達:ありがとうございました。これからもよろしくお願いします!

取材・文◎山田邦子

▲安達勇人/『ONEWAY』

3rd Album『ONEWAY』

2020年12月16日(水)発売
¥2,500(税込)
[収録曲]
1.AYH
2.ONEWAY
3.ALOHA
4.あっかんべー
5.夢
6.月に行きたいと思った宇宙飛行士
7.ススメ!(NEVA GIVE UP) covered by 安達勇人
8.NOT FINE DAY
9.女と男
10.スターマイン
11.エンドロール

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