【ライブレポート】the peggies、東名阪ツアーファイナル「楽しかった!私たち最高だぜ!」
the peggiesが、東名阪を周る<運命だって信じたいツアー>を完遂。有観客且つYouTube配信も行われたツアーファイナル、Zepp DiverCityの2公演の模様をお届けする。
開演時刻の16時が過ぎ、賑やかでリズミカルなSEが聞こえる。客席から熱のこもった手拍子が起こり、北澤ゆうほ(Vo&G)、石渡マキコ(B)、大貫みく(Dr)の3人が登場。ドラムを囲んで近づき、勢いよくそれぞれの楽器の音を鳴らす。久々の東京ワンマン、気合いのスタートだ。「君のせい」のパワフルなアンサンブル。間奏で北澤と石渡がステージ前方ギリギリまで客席に近づき、楽しそうに弦をかき鳴らす。1曲が終わり、北澤が「今日は、スマホとかPCの前に立ってYouTube配信見てる人は一緒に歌えますけど、遊びに来てくれてる目の前にいる皆さんは、手を上げたり拍手をしたり手拍子をしたり、一緒に歌いたいときは、心の中の大きな声で歌ってもらえれば、しっかり私たちのところには届くと思うので」と話す。そして、「みんなの心の声を私たちに聴かせてほしい。ひとつになれたら嬉しいです」と前置きして「ドリーミージャーニー」へ。《「ねぇ、僕たちはこのまま もっと遠くまで行けるよね」》から始まり、《ドリーミージャーニー 未来は全て僕らの物さ ほら前を見て》で締めくくられる、この2020年11月、より切実さを伴ったメッセージが突き刺さる。
ラスト曲は、最新シングル曲である、「人との距離」への意識が大きく変わった今だからこそより響く、君との距離に一喜一憂する超胸キュンラブソング「センチメートル」。《君が好きだ 終わらないこの想いがとどきますように》という歌詞は、「また元のように会えますように」という気持ちをはらんでいるように聴こえた。約30分というコンパクトな時間だったが、特に前向きなエネルギーを放つ楽曲が印象に残った。
NIGHT公演は「明日」が1曲目に据えられた。北澤の《明日が来るのは少し寂しいけど また絶対に会おうぜ》という叫びにも近い歌がどこまでも伸びていく。大貫が「はい!」と叫びながら、右手のスティックを高々と上げ、石渡は元気なコーラスを重ねる。困難をものともしない、ぐいぐいと場を引っ張って行くようなアンサンブルが、会場の熱気を牽引する。《約束するんだ また絶対に会おうぜ》という再会に向けた楽曲を冒頭に持ってきた意味。今度は制限のない状態でのまた会えますように──とびきりパワフルな歌と演奏に、そんな願いを乗せたエネルギーが渦巻く。それを全身で受け止め、体を使って応える客席。その生のコミュニケーションはとても切実だし、これからもずっと必要だと再確認する。
北澤が「楽しいよね?」と石渡と大貫に呼びかけ、ふたりが満面の笑顔で「楽しい!!」と即答するというやりとりにほっこりした後、北澤が「次のブロックはひとりの女の子の日記を3回に分けて読む感じで聴いてください」と説明し、「遠距離恋愛」「アネモネ」「花火」という3曲が立て続けに演奏された。まずは、歪んだギターが丁寧に奏でられ、揺れる孤独感を具現化したようなオルタナティブロックが印象的な「遠距離恋愛」から。あなたへの想いを繊細に丁寧に描く、北澤の名ストーリーテラーぶりを実感する流れだった。
もやもやとした余韻を引き裂くように、大貫の元気いっぱいの物販紹介が始まる。the peggiesのライブにおける恒例ではあるが、これまた一年ぶりだ。「やっぱりライブって楽しいよね」というこれまでの当たり前を確認。陽気なキャラクターから一転、大貫のヘヴィなドラムソロから始まる「する」では、ソリッドで性急なアンサンブルが疾駆し、the peggiesの振れ幅のある多面的な魅力が溢れていた。北澤の「お客さんがいるとこんなにも満たされるし、背中を押されます」という感謝の言葉に続き、「GLORY」「青すぎる空」「君のせい」とキラーチューンを連発し、勢いよく本編が終了した。
アンコールを求める拍手の中、お揃いのツアーTシャツをまとい再登場した3人。「毎年2本ツアー周るんですけど、今回は会えなかった分、みんなとエネルギーを分かち合いながら周れたと思います。『また必ず会おうぜ』という気持ちをこめて最後の曲を歌います」と北澤が話し、「そうだ、僕らは」へ。活き活きとしたビートが貫く、何が何でも生きてやろうという生命力がほとばしる曲。客席に手拍子を求めつつ、歌詞にあわせて身振り手振りをまじえて歌う北澤。曲のバリエーションの広がりと比例するように、the peggiesのライブのエンターテイメント度もぐんぐん上がっている。「今日の『楽しかった!』という気持ちと『私たち最高だぜ』という気持ちを込めた一本締めを北澤が呼びかけ、爽快な一本締めで大団円。北澤の「また会いましょう! 愛してるぜ!」という最後の挨拶に大きくうなずいた人は多かったはずだ。
文:小松香里
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