【インタビュー】仲村宗悟「なぜ歌い始め、何を表現し、これから何を目指すのか」
■「Oh No!!」は90年代ファンクみたいなイメージで書いた楽曲なので
■ちょっと懐かしさを感じさせつつ音は新しくしたかったんです
──いよいよ、2019年10月30日にアーティストデビュー。1stシングル「Here comes The SUN」はどんな作品だったと思いますか? 自作曲ではなく、いただいた楽曲でのデビューになりましたけど。
仲村:同じレーベルの、ChouChoさんに書いていただいた、すごく爽やかな楽曲ですよね。その時の僕には書けない楽曲だったので、すごく新鮮でした。僕も出演させていただいたアニメのタイアップ(『厨病激発ボーイ』エンディング主題歌)がついて、今まで歌ってこなかったジャンルだし、新しい挑戦でした。人からいただいた楽曲なので、歌詞を覚えるのに苦労したのと、ハモリが異常に難しかった覚えがあります。アレンジはその時からずっと村山☆潤さんにやってもらっているんですけど、この方のハモはすごいんです。鬼畜なんですよ(笑)。
──そうですか(笑)。心地よく聴けちゃいますけどね。
仲村:上に行ったり下に行ったり、大変なんですよ。ChouChoさんも「ムズい」って言っていました(笑)。そんなふうに、僕の中でスタートと言える1曲になりましたね。
──そして2ndシングルは、自作曲の「カラフル」。かなりバンドっぽいサウンドになりました。
仲村:僕がとにかくバンドサウンドが好きなんですよね。2枚目のシングルは、実はカップリングの「imitation」を先に書いていたんですよ。1枚目の「Here comes The SUN」がめちゃくちゃ爽やかだったから、2枚目は一気に真逆の曲調で行ってみない?という話をプロデューサーとして「imitation」を作ったんですけど、「これは最高にかっこいいけど、もう1曲爽やか路線で行かせて」と言われ(笑)。ちょっと攻めすぎたみたいで(笑)。でも結果的に、「カラフル」を1曲目にして良かったなと思いますね。「スッキリ」のテーマソングもやらせていただき、すごくありがたかったです。2ndシングルは、1枚の中で真逆の面を見せるということで、すごく面白い1枚になったと思います。
──ここから、仲村宗悟・作詞作曲が、シングルのメイン曲になっていくわけですね。
仲村:1枚目の3曲目に「ゆらゆら」という楽曲を書いて、それが最初ですね。これがまさに、十何年の時を経ないと書けなかった楽曲なんです。すごく葛藤している時期から、役者/声優という道へと光が見えてきた瞬間を歌った楽曲なので。自分が今乗っている人生という電車は、ゆらゆら揺れてどこに行くのかな?みたいな歌ですね。「ゆらゆら」「カラフル」「imitation」と、曲調がまったく違うことは意識しています。ジャンルレス、ボーダーレスというイメージで行きたくて、「この角度からも球を投げられますよ」という名刺をみんなに渡したいんですよ。「仲村宗悟、こういうのも書けます。どうですか?」ということは、常に意識しています。
──そして今回、配信シングルの「Oh No!!」。今までとはまた違う、ブラスセクションの入ったファンキーな楽曲になっています。
仲村:これはファンクな感じのコードを思いついて、そこから作りました。コード自体は数か月前にできていたんですけど、その時はメロディが乗り切らなくて、「これは今じゃない」と思って寝かせていたんです。そのあと、世の中がこういうことになって…自宅にいる期間にこの楽曲をバーッと書いたんです。
──ああ…それを聞いて、歌詞を読むと「なるほど」と思います。
仲村:この時期は、誰もがどこかでストレスを抱えているし、我慢しなくちゃいけないことがめちゃくちゃあって、それを強いられる状況もある。でも、我慢しなくてもいいこともある。好きなものは好きだと発信する、個人個人の発信の場は存在していると思うんですね。やり方を間違えなければ。すべてを右へならえでハイハイって聞くんじゃなくて、自分の好きなものは好きだと発信していいんじゃない?という思いを爆発させる気持ちで書きました。
──それで今のタイミングでの、配信リリースになったんですね。次の3rdシングルCDは、2021年2月10日リリースの「JUMP」だとすでに発表されているのに、急遽「Oh No!!」が出ることになったので、何か理由があるんだろうなとは思っていたんですよ。この楽曲はやはり、コロナ禍の今出すのがベストだということですね。
仲村:そうですね。3rdシングルの打ち合わせをした時に、リリース期間が空いてしまうことになってしまって。前作からほぼ1年空くことになるから、ここで配信曲を1曲出してもいいんじゃないか?と相談させてもらったら、すぐに「いいね」という返事が返ってきて。夏ぐらいにその話をして、すぐに曲を作って、レコーディングして今に至るという感じです。
──特別な楽曲ですね。今までとは状況も気持ちも全然違う。リアルな気持ち、録って出しみたいな。
仲村:そうですね。いろんな、ぐちゃぐちゃな感情が乗っている感じです。
──パワフルな楽曲だと思います。村山☆潤さんのアレンジも気合いが入っている。
仲村:潤さんに弾き語りのデモを渡して、「ブラスを入れたい、派手にしたい、でも嫌らしすぎない感じ」とか、そういうイメージを投げさせてもらいました。90年代ファンクみたいなイメージで書いた楽曲なので、ちょっと懐かしさを感じさせつつ、音は新しくしたかったんですよ。今の音と90年代の音を混ぜたいということを伝えて、「ここ最高です。でもここはこう変えたいです」というやりとりを4回ぐらいやらせてもらって。完成形が届いて、バンドのレコーディングにも一緒に参加して、最高でしたね。ドラムが山木秀夫さんというレジェンドドラマーで、ほかの方々も本当に最高で、ギターのコジロー(佐々木“コジロー”貴之)さんも最高だし。
──歌も、すごく気持ちが乗っていますよね。劇的というか、ドラマチックな歌いまわしに聴こえる。
仲村:今までとはちょっと変えて、ニュアンスを大切にしました。普通はAメロだけ、Bメロだけという録り方をするんですけど、これは1コーラスを通して歌って、ノリ重視です。バンドのノリがとにかく良かったので、その演奏を聴きながら歌を乗せて、全部が全部乗ったな、という感動がありましたね。
──シングル1枚目、2枚目と聴いてきた人は、いい意味で驚くはず。今度はこんなん出たよ!みたいな。
仲村:驚いてほしいですね。
──歌詞のことで言うと、韻をよく踏んでいるのがすごく印象的で。
仲村:ああー、よく気づいてくれましたね!。言葉遊びがとにかく好きで、音の入りとか、語尾のケツが気になっちゃうので、すごく考えるんですよ。一文字一文字。その中でも、語感だけを気にして、意味がないものになっちゃうのも面白くないので。「これに代わる意味は何だろう?」とか、調べたりしますね。
──相当入ってますよね。迎合と成功、本望と本能、晴天だ、曇天だ、とか、かなり細かく韻を踏んでいる。すごく面白いので、みなさんぜひチェックしてください。
仲村:よろしくお願いします!。言葉は適当には書けないですね。自分の手を離れたら、解釈は受け取った人のものですけど、できるだけ僕とその人の間にフィルターがない状態で伝えたいと思うので。世の中に出る以上、言葉を無責任に放りたくないんですよね。今回はその時の思いをバーッと書きましたけど、いつも歌詞を書くのはけっこう時間がかかりますね。
──そして、最初のほうにも触れましたけど、歌詞の最後のフレーズが「戦って夢見て負けるなら本望じゃん クールにゴキゲンに死ねるなら上等じゃん」ということになる。これはすごく強いメッセージだと思います。
仲村:それこそ生と死が隣り合わせということで、何かを我慢したまま、楽しいとも思えずに生きながらえていくぐらいなら、やりたいことをバーッとやって死ねるなら最高じゃね?ということですね。あくまで精神的な話ですけど。
──やりたいことと言えば、常日頃から「目標は武道館」と公言していますよね。まずは大きな夢を掲げて、それに向かってがむしゃらに突っ走る。
仲村:そうですね。やっぱり武道館って、音楽を目指す人にとっての聖地なので。武道館に単独で立つ人はかっこいいですよ。俺もかっこよくなりたいです。まずはそこが目標で、ほかにやりたいこともいっぱい頭の中にあるので、一個一個できたら最高だと思いますね。僕のチームはすごく協力的で、僕のことをすごく尊重してくれるし、一人一人が一生懸命動いてくれるんですよ。この取材も、初めてBARKSさんにお世話になるわけですし、すべてにありがとうございますという気持ちです。一人一人が仕事をしている中で、僕が表に立ってできることはいっぱいあるから、その部分を前面に出して、みんなで武道館に立ちたいですね。
──今日はいろんな話が聞けて良かったです。アーティスト仲村宗悟の基盤になる部分が見えた気がします。その上で、声優との両立もしっかりやっていくわけですよね。
仲村:そうですね。二足のわらじ、三足のわらじ。その中で「中途半端だな、かっこ悪いな」と思っちゃうとしょうもないけど、そこを突き詰めるメンタルがあれば良いと思いますね。人生の楽しみが広がるし、楽しいことっていくつあってもいいと思います。自分だけじゃなくて、いろんな人が。
取材・文:宮本英夫
リリース情報
2020年11月18日(水)リリース
ライブ・イベント情報
2月13日(土)に仲村宗悟が出演
日程:2021年2月13日(土)
2021年2月14日(日)
時間:14:30開場/16:00開演
会場:ぴあアリーナMM(横浜)
チケット:指定席 各日 9,800円(税込)
オンライン配信視聴券 各日 3,900円(税込)
【出演】
2/13(土)公演:藍井エイル/オーイシマサヨシ・OxT/GRANRODEO/仲村宗悟/Poppin’Party and more!!
2/14(日)公演:Aqours/Roselia and more!!
イベント公式HP http://www.choujigen-ongakusai.jp
『ANIMAX MUSIX 2021 ONLINE supported by U-NEXT』
1月30日(土)DAY1に仲村宗悟が出演
配信日:DAY1 2021年1月30日(土)
DAY2 2021年1月31日(日)
配信時間:開演18:00 / 終演22:00頃(予定)
会 場:東京有明アリーナ
視聴料:通常価格 各日 4,700円(税込)
オリジナルTシャツ付価格 各日 8,200円(税込)
配信プラットフォーム:U-NEXT
【出演】
DAY1:OxT /楠木ともり/ZAQ/TRUE /仲村宗悟/ H-el-ical///PENGUIN RESEARCH
DAY2:GRANRODEO/鈴木このみ/高槻かなこ/田所あずさ/富田美憂/ナノ/Morfonica/やなぎなぎ
イベント公式HP https://www.animax.co.jp/animaxmusix
◆インタビュー(1)へ戻る
この記事の関連情報
仲村宗悟、アーティストデビュー日に5周年記念アルバム発売。ライブツアーも開催決定
MADKID、主催イベントにFLOW、仲村宗悟を迎えて圧巻のパフォ―マンスを披露
ランティス男性声優アーティストイベント<Lantis MENS GIG “A・C・E” 2024>開催。仲村宗悟、畠中 祐、古川 慎が出演
MADKID、主催イベント<Future Notes Fes>開催決定。FLOW、仲村宗悟出演
<第7回 ももいろ歌合戦>第1弾出場者発表。松平健、石井竜也、ヤバT、FRUITS ZIPPERら初登場
【インタビュー】『マガツノート』清正役・仲村宗悟がgirugamesh「INCOMPLETE」カバー「僕が知らない一面が見えた」
【ライブレポート】仲村宗悟、「みんなと声を出してライブができるようになって嬉しい」
【対談連載】ASH DA HEROの“TALKING BLUES” 第14回ゲスト:仲村宗悟
カバーソングプロジェクト「CrosSing」、仲村宗悟が歌うアジカン「リライト」公開