【インタビュー】OHTORA「何か新しいものを」、令和に目覚めたシンガーソングライター
■令和になった途端に
──将来は海外での活動というのも視野に入れているんですか?
OHTORA:そうですね。いずれはグローバルに活動したいなという気持ちはありますが、まずは国内でしっかり有名になってからだと思っています。
──OHTORA(大虎)という和風のアーティスト名も、海外を意識して?
OHTORA:それもあります。海外の人にも覚えてもらいやすいかなと思って。以前は「真夜中のオレンジ」という名前でちまちまやっていたんですが、自分の中であまり良くないなと思って変えることにしたんですね。OHTORAっていうのは響きがいいなと思って決めたんですが、後で調べたら大酒飲みみたいな意味もあって、なんかこういう豪快な名前っていいなと思い、OHTORAにしたんです。
──それがちょうど、令和という時代の幕開けの時だったと。
OHTORA:はい。実はその令和に入るまで、音楽をやめていたというか離れていた時期があったんです。3〜4年くらいだったと思うんですが、もう何もしたくなくてボヤーッとしていて。でも、地元の友達に「お前、何してんだよ」みたいなことを言われて背中を押されて、「じゃあ、ここで気を引き締めてまた音楽をやってみるか」と。それで、もともと作ってあった作品をYouTubeに上げて…っていうさっきの話に繋がるんです。
──なるほど!
OHTORA:もっと早く行動しておけばよかったなという思いもあるけど、今じゃなければこの「ドラウニングヒル」とか作れなかったなと思うんですよね。これは、令和に入ってから作った曲なので。だから、そういう時期があってもよかった…とは思わないですけど(笑)、まぁ、仕方なかったかなと。
──いろんな意味で、必要な時間だったのかも。
OHTORA:挫折ではないですけど、以前、韓国のアイドル系の事務所の練習生を少しやっていたことがあるんです。そこでいろいろあって、やめることになって、「お先真っ暗だな、もういいか」って、音楽から離れることになったんです。で、さっきの何もしない時期が始まったっていう。
──ちょっと、自分を否定されたみたいな感覚だったんでしょうか。
OHTORA:自分自身、あまり肝が据わってなかったんですよね。音楽に対して、本気になってなかった。だから正直、仕方ないことだなと思いました。
──そんな中で平成から令和になって、動き出すきっかけになったと。
OHTORA:令和に入ったのはデカかったです。気持ち的にも切り替えができたし。令和になった途端に一旦リセットしようと思い、友達の連絡先も消したし、SNSも全部削除しました。これからアーティスト活動をやっていこうって決めて、そのアカウントだけ作って、それで専念することができたんです。断捨離じゃないですけどね(笑)。
──そういうのを「覚悟」と言うとちょっと堅苦しすぎますか?
OHTORA:いや、でもある意味「覚悟」だと思います。
──先ほど令和に入って作ったというお話がありましたが、「ドラウニングヒル」にはそういう自分自身も反映されていますか。
OHTORA:反映…そうですね。これは自称なんですが、「ドラウニングヒル」は“ネオテクノポップ”みたいなジャンルを作ろうと思って作り始めた曲なんです。令和に入って、日本であまりこういうサウンドというかこういう歌は聴かないなという感じの曲を作ろうと思って。何か新しいものを作りたいっていうこの自分の中の欲が湧いてきたのは、令和(という時代になったこと)の影響だったなと思います。
▲OHTORA/「ドラウニングヒル」
──この「ドラウニングヒル」というタイトルも、すごく独特な語感ですよね。歌詞の中に「例えば、君の血に溺れた蛭のようさ」とありますが、そこから?
OHTORA:そうですね。でも、それっぽい言葉を全部繋ぎ合わせたみたいな感じはありますけど。
──自己表現として書き溜める言葉と、それっぽい言葉を繋ぎ合わせて音楽として成立させる今回みたいな書き方。自分の中では全く別物としてある感じですか?
OHTORA:繋ぎ合わせる言葉であっても自己表現という意味では変わらないし、むしろこの曲はそれをふんだんに詰め込んでいるので、根本の部分は一緒だと思いますね。言葉の選び方とかはかなり変わってきたと思います。
──最初期の「Moonless Night」は言葉が染み込んでいくような感じですが、「ドラウニングヒル」はもっと言葉をイメージで捉えていくみたいなところもあって。
OHTORA:そうですね。その違いはもちろん自分の表現する力でもあると思うし、そういう技を覚えたっていうことでもあるかなと思います。
──その後の「TOKYO DROPS」や「In My Videotapes」などもそうですが、MVの撮影場所も含めてフィーチャーされている「東京」という場所は、自分の表現においてベースにあるものなんでしょうか。
OHTORA:そうですね。さっきの断捨離の話ですけど、地元の友達の連絡先を全部消したのは、東京で生きていこうっていうひとつ強いものが令和に入って生まれてきたからなんです。「TOKYO DROPS」は令和に入って最初に作った曲。タイトルに「TOKYO」が入っているのも、自分の中ですごくしっくり来るなと思って作りました。
──ちなみに東京はいつからですか?
OHTORA:大学入学と同時に上京して来ました。でもその頃は、東京に“居させられている”みたいな感じがあって。さっき何もしなかった時期があったと話しましたけど、そこから抜けきるまでずっと、自分に芯が全くないなって感じで過ごしていましたね。
──令和になって覚悟を決め、アーティストとして動き出すと関わる人も増えてきますよね。そういう刺激も大きく影響してきたのでは?
OHTORA:本当にそうなんですよね。最初に出した「Moonless Night」のリリックビデオを誰か作ってくれないかなと思っていた時に、SNSでナリタくん(Yuki Narita)を見つけて依頼したんですが、彼はドラムもやってて、一緒にバンドやることになったんですね。今はもう解散しちゃったんですが、そのバンドをやり始めた時期から、ナリタくんのおかげで人脈が広がったというか。そこから自分の中でいろんな繋がりができて、今に至っているんです。いやもう、ナリタくんのおかげですよ(笑)。今の自分があるのもそうだし、いろんな作品を一緒に作れて、本当に信頼できるパートナーだなと思っています。
──今年はコロナの影響で思うように活動ができないアーティストも多いと思いますが、その点はいかがですか?
OHTORA:それが、このコロナ禍になって(今お世話になっている)ササクレクトさんにデモテープを送って拾っていただいたりしたので、逆に物事がいろいろと進んでいった感じだったんですよね。本当にありがたいことだなと、ひしひしと感じているところです。
──活動の体制も整ったわけで、「ドラウニングヒル」、そしてこれからリリースされる曲もきっとたくさんの方の心を掴んでいくと思います。
OHTORA:ありがとうございます。曲作りに関して言うと、大衆性みたいなものが曲に帯びることはもう絶対必須だと思っているんですが、例えばKing Gnuのように、大衆性は帯びているんだけど普通の人にはあまりなぞれないようなメロディーラインの曲が流行っていたりするじゃないですか。ある意味、大衆性もあるけど独り立ちしちゃってる曲というか。そういうのが理想なんですよね。ちょっとうまく言えないですけど。
──今後やってみたい作風などはありますか?
OHTORA:まだ、自分のルーツがはっきり見える音楽を作っていないなというのは自分でも思っていて。R&Bが主ですけど、ファンクとかシティポップとかも通ってきたんですね。ジェームス・ブラウンとか、最近で言うとチャイルディッシュ・ガンビーノとか。この2人の影響も大きいかなと思っているんですが、そういうルーツだけのものをいずれ作れるような大きい存在になれたらなというのはあります。ゴリゴリのファンクとかソウルとか(笑)。でも今は、自分が今かっこいいなと思う音楽を、流行りなんかも取り入れながら作りたいなと思っています。
──限定するわけではありませんが、どういう人に聴いてもらいたいなと思いますか?
OHTORA:若い人もそうですが、自分の親以降の年代の方にも認知してもらえるような曲をいずれは作りたいなと思っているんですよね。「ドラウニングヒル」に関しては完全に若者向けに作っちゃったなって自分でも思いますが、今後は年代関係なくちゃんと聴けて、でもかっこよくて、時代にマッチしている曲を作りたいので、いろんな世代の方に聴いてもらいたいです。
──ライブに関しては今後いかがですか?
OHTORA:これまであまり経験がないんですが、今後は精力的にやっていきたいなと思っています。イメージするスタイルとしては、MC少なめで(笑)、全体的にクールな感じでできたらなと。曲によってしっとり胸打つようなものもあれば、EDMのように若い人たちを沸かせられるようなものもある感じで。今はちょっとイメージにないですが、いずれ大きくなったらバンドセットでもやってみたいです。
──このインタビューが公開される頃には新曲「ドラマティックス」もリリースされています。今後の活動にも注目していきたいと思いますので、ぜひまたお話を聞かせてください。ありがとうございました。
OHTORA:ありがとうございました。
取材・文◎山田邦子
リリース情報
2020年9月25日(金)配信リリース
配信シングル「ドラマティックス」2020年10月30日(金)配信リリース
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