【対談】小林幸子 × 松岡充が語る、ユニット“シロクマ”誕生秘話「人生をオセロゲームに」

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■人生をオセロゲームに例えて話したんです
■何回もしゃがんで何回も立ち上がって

──歌詞のなかで、小林さんが特にグッときた部分は?

小林:全部です。だって、私の人生ですから。サビ頭の“白と黒と真白”というところは、松岡君との取材のときに人生をオセロゲームに例えて話をしたんです。「幸子さん、人生で一番悔しかったことは? そのときの気持ちを例えるなら?」と聞かれて、「オセロゲーム」って答えたんですけど。歌手人生50何年を費やしながらオセロゲームのように白を1つ1つ増やしてきた。だけど、あるとき全然自分が知らないところで急にパタパタパタパタと全部が黒になっていったんです。そのときは本当に悔しくて悔しくて、これからどうしたらいいか分からなくなった……。「それでどうしたんですか?」って松岡君に聞かれて、「最終的にはね、真っ黒になったけど、また周りから白に戻していくしかない。戻していけばいいや! そうしたらいつかまたパタパタパタパタって真っ白になる」って話をしたんですよ。

松岡:本当に強いんですよね、幸子さんは。“さすがラスボス、強ぇな”と思って(笑)。しかも、それが虚勢でもカッコつけでもなく、「だってそれが楽しいの。幸せなの」って言うから、“この人、ただの白じゃない。真っ白だ”と思ったんです。人は最初、白で生まれてきて、大人になるにつれていろんなものに染められて黒くなっていく。普通はそこで終わることが多いんだけど、幸子さんは染められたあとに真白になっていく。真白っていうのはクリアな白じゃなくて、いろんな色が混ざったというか。光で真白になる。それが僕にとっての今の幸子さんのイメージなんですよ。

──「しろとくろとましろ」にはそんな小林さんの人生訓が込められてたんですね。

小林:はい。歌詞の“涙 うずくまった 後は 立つしかないだろ?”のところもそうです。「しゃがんだら、踏ん張って立ち上がるしかないんだよ」という話を松岡君にしたんですよ。これは私の恩師である古賀政男先生が教えてくれた言葉で。「人生は良いことばかりじゃない。悲しいとき、涙が枯れるぐらい泣いた後、どうなるか分かるか?」って聞かれたんです。私が9歳のときですよ。「わかりません」って答えたら、「涙が全部なくなったら、人はしゃがむんだ。そして、しゃがんだ後は立ち上がるんだよ」って。それを聞いたときはまだ子供だったので意味が分からなかったのです。でも、言葉だけは憶えていて。それからデビューして何年か経ったら、先生がおっしゃっていたことがすごく分かっていきました。これまで何回もしゃがんで何回も立ち上がって、またしゃがまされて立ち上がってというのを繰り返してきて。だから、「これは私の体の中、DNAに入っていることなんだ」という話をしたら、こういう歌詞になりました。

松岡:だから、僕は幸子さんがおっしゃったまんまを書いただけなんですよ。

小林:でも、“lala lala〜”の作り方は斬新でしたよね? 最後にみんなで“lala lala〜”というのはよくありますけど、頭から出てくるのには参っちゃいました。

──私もそこは最初、仮歌詞なのかと思いました。

松岡:ここを言葉ではなく“lala lala〜”にしたのは、みんなで歌えたらというのと、幸子さんのこの“声”にすべてを込めた、というのを表したかったからです。

──そうでしたか。そうして、最後は“君に幸あれ”とエールを贈る。

松岡:幸子さんが歌う“幸あれ”こそ、本物ですからね(笑)。

小林:ここは本当に泣く。“みんな、幸せになろうよ”って。生まれてきた全員に幸せになる権利があるんだもの。今は特にこんな時代だけれども、気がつかないといけないね、“幸せになろう”ということに。

松岡:最後の“君に幸あれ”はオクターブ上がるんですけど。ここに幸子さんが持っている声のすごい“魔法”が凝縮してるんです。この曲を通じて、みんなが打ちひしがれてる今こそ、幸子さんの声という“魔法”をぶわ〜っと使って。そこに僕もご一緒させて頂いてて、ちっちゃいバトンを隣りで振って。

小林:魔法の杖をね(微笑)。

松岡:はい。エールを贈れたらと。それをやれることが幸せだし、それを今やることが僕らアーティストの意義でもあるなと思いました。

──たくさんの人に“君に幸あれ”というエールが届くことを願って、最後にBARKS読者のみなさんにメッセージをお願いします。

松岡:僕たちがこれからやれることは、みなさんに聴いてもらえる機会を増やすこと。そのために頑張っていくつもりなので、この曲をきっかけにまた新たな出逢いがあることをすごく楽しみにしてます。この曲で今までつながっていた縁がさらに深くなることもすごく楽しみにしています。とにかく、この曲スタートで面白いことを幸子さんとやっていくので、みんな面白がってください! ユニット名“シロクマ”にしましょうよ!

小林:そうね! 面白がって欲しいですね。そして「しろくろましろ」を聴いた人たちが、どんな風な白と黒と真白な人生を考えて生きていってくれるのかが、すごく楽しみです。

取材・文◎東條祥恵

■シングル「しろくろましろ」

配信:2020年8月9日(日)発売
CD:2020年10月7日(水)発売
Sachiko Premium Records
KSPR-1009 ¥1,300(税込)
1. しろくろましろ/シロクマ (小林幸子 × 松岡充)
2. しろくろましろ/小林幸子 solo ver.
3. 青空の破片 (かけら)/小林幸子
4. しろくろましろ (Instrumental)
5. 青空の破片 (かけら) (Instrumental)

「しろくろましろ」
ニコニコネット超会議2020夏 テーマソング

■生放送番組<小林幸子 アコースティック ミニLIVE&松岡充とのスペシャル対談>

放送日時:2020年8月13日(木) 20:00〜 予定
番組ページ:https://live2.nicovideo.jp/watch/lv326872174
※シロクマが「しろくろましろ」初生歌唱

▼<ニコニコネット超会議2020 夏 Supported by NTT>
開催日時:2020年8月9日(日)〜8月16日(日)
会場:niconico公式サイト・総合TOP (https://www.nicovideo.jp/)
twitter公式アカウント:https://twitter.com/chokaigi_PR


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