【インタビュー】DURANが語る、新曲に込めたアイデンティティ「プレイヤーではなくアーティスト」

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■ソロアーティストDURANという場所が
■僕にとって大事なモチベーション

──では、ギターのみならず、ヴォーカリストとして自覚が芽生えたのはいつですか?

DURAN:コーラスはよくやっていたので、よく周りの関係者やとあるアーティストの方から「メインで歌ったらいいじゃん」って言われてました。僕、バンドをやるとヴォーカリストとよく揉めるんで(笑)。

──ギタリストとヴォーカリストは揉めるものと、相場は決まっています(笑)。

DURAN:ですよね。それで「歌ったらいいんじゃない?」って言ってくれたから、“そうかな”と思って歌い始めた。確かに自分で曲を書くし、歌詞を書くし、自分で歌ったほうが面倒くさくないなと思って。

──ギターを弾きながら歌うことに難しさはありませんでしたか?

DURAN:それは全然大丈夫だったかな。父親も小っちゃい頃から「ミュージシャンは歌えないと」みたいな人だったんで、家でも普通に歌っていたし、曲を書いているときもそうだったし。それを作品として発表するかどうかだけの問題だったので、歌を歌うことの抵抗はそんなになかった。そもそも歌えるギタリストが好きだったし。

──やっぱりプレイヤーではなくアーティストなんですね。

DURAN:単純に自分がなにをやりたいか。誰かの横で弾かせてもらう時も、ただのサポートギタリストと思って演ってないです。人生を投げ打ってでもいいって思える人の横でしか弾きたくない。自分はこの人の横で弾いたから凄いなんて1mmも思えないし、満足はしない。そういう人、たまにいるけど(笑)。だってどんな凄いステージでやらせてもらえたとしても、それは自分が凄いわけではなく、真ん中で歌ってる本人が凄いわけで。それを忘れちゃいけないというか、だからこそソロアーティストDURANという場所が僕にとっては凄く大事だし、モチベーションにもなる。

──人生といえば、DURANの身体にはたくさんのタトゥーが入っていますよね。ここにこそミュージシャン像が表れているのではないかと思うんですが。

DURAN:そうですね。右肩は一番最初に入れたもので、自分のシンボル。自分を表現してもらったものですね。メインギターに描いた絵はこのシンボルを散りばめたものです。その下は音楽の神様、サラスヴァティが見守ってくれている。その下はジミ・ヘンドリックスの言葉です。ベトナム戦争中の言葉で「この世界はまやかし」。テレビで放送されていることと現地で起きていることは全然違うこと、そういうものにだまされるなって言葉。右手の甲は、自分がメインで歌を歌ってくと決めた頃に入れてもらったもの。歌を始めた決意を話したらこういうデザインを彫ってくれた。目(Eye)はIという捉え方で、その下で叫んでいる口のタトゥー…I SCREAMというもの。

──目や口からこぼれているのもハートですね。ラブ&ピースだ。

DURAN:あとは…指に入れたのは、自分がやってたバンドの名前。左腕のカラスは単純に好きってのもあって、“漆黒=JET BLACK”ってカラスと一緒に入れて。その下はマイケル・ジャクソン。あとフェンダー。ブルース。ソウル。これは根っこにあるんで、全部影響受けたものばっかですね。あとはプリンス。僕が最も尊敬するアーティスト。そしてこれはまたジミヘンの歌詞ですね。「ストレートアヘッド」という愛についての歌。

──やっぱり歩んできたストーリーが刻まれているんですね。

DURAN:そう。なにかがないと入れたいとは思わないんで。だって痛いし、いいことないじゃないですか(笑)。

   ◆   ◆   ◆

DURANは終始、自分のアーティストとしてのストーリーを、淀みない真っ直ぐな目線で語り続けてくれた。それはまるで、感情のひだをそのままトレースする彼のストラトサウンドを思わせるような純潔さにあふれており、そして彼の身体に刻まれたタトゥーもまた、同じような純真さを表すピュアな香りを放つものだった。

一流のミュージシャンがこぞってDURANのプレイと正面から対峙し、音を鳴らし合いながら瞬発力あふれる音楽のパッションに身を焦がすという、情熱的な音楽体験に震えている。そして我々リスナーもまた、そんな天賦の才に触れ、音楽という瞬間芸術に身を寄せることができる。健全なミュージシャンシップであればこそ、コロナ禍という試練を乗り越えて、我々に変えがたき感動と大いなる活力を与えてくれることだろう。

取材・文◎烏丸哲也 (JMN統括編集長)
撮影◎野村雄治



■デジタルシングル「Echo (Electric Gospel)」

2020年6月29日(月)午前0:00より配信スタート
1.Echo (Electric Gospel)
Music & Words:DURAN
All inst & Mix:DURAN
Mastering:Tsubasa Yamazaki
Artwork:Ebrul
▼各配信ストアにて配信
https://linkco.re/czdzQ4tq?lang=en

■JCIマニラ主催オンラインチャリティーライブ<MUSIKARAMAY>

2020年7月31日(金)@フィリピン




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