【インタビュー】THE SLUT BANKS、最新作『Rock'n'Roll to the MAX』は「免疫力の上がるアルバム」
■「なにそれ、熱っ!」みたいな
■その熱さこそが『Rock'n'Roll to the MAX』
──単純に激しいだけの歌詞ではないんだ、ということを読者には伝えたいところですね。さて、前作リリース当時の戸城さんは「この年齢でメジャーから出せて、好きなように作らせてもらえてるんだから、それだけでもありがたい」といった発言をしていました。同時に「ただ、あれこれ工夫したところでドラマ主題歌とかの大型タイアップがとれるわけじゃないんだから、心底やりたいことやんなきゃしょうがねえじゃん」とも。そういう気持ちは今も変わっていないはずだと思うんですが……。
DUCK-LEE:うん、まったく変わってないね。今回も変わらない。意識して売れ線で作ったわけでもないし、ちょっとポップだなと思われるかもしれないけど、そこは自分の本質でもあるし。だからそこは全然変わらないかな。
──この7月に還暦を迎える戸城さんにとって、今作はほぼ間違いなく、50代最後のアルバムということになるじゃないですか。そこについてはどうですか?
DUCK-LEE:いやー、それはそれでまた別の話として感慨深いもんがあるよね(笑)。まあとにかく、ありがたいと思ってますよ。
TUSK:ふふふ。でも実際、そこでの気持ちがこのタイトルにも現れてるんじゃないですか?
──『Rock'n'Roll to the MAX』。なるほど、限界ギリギリまでロックンロールをやりきる、という声明めいた感じでもありますよね。
DUCK-LEE:べつにそこには特に意味もなかったんだけど、そういう意味付けも悪くないからそういうことでいきましょう(笑)。
ACE DRIVER:もう実際、そうなってるけどね。
TUSK:戸城さんは今回、曲作りの段階の最初の頃から、めっちゃ熱かったから。いつもの居酒屋で話してた時も、めずらしく「ロックしようぜ!」みたいなこと言っててさ。思わず「ええーっ?」となった(笑)。
ACE DRIVER:そうそう、すごかったね。
TUSK:「なにそれ、熱っ!」みたいな。まさにその熱さこそが『Rock'n'Roll to the MAX』、というか。改めて思うけど、すげえよ、この人(笑)。
DUCK-LEE:いや、まあ、このなんとも言えないジャケットとリンクしてていい感じのタイトルだよね。それに実際、なかなかないことだからね。俺みたいな年齢でこういうことを経験できる人間ってのは、あんまりいないだろうと思うんだ。
TUSK:確かにそうだけど、いつもそういうことばかり言ってるわけじゃない戸城さんがああいうこと言い出した時は、一体何ごとかと思った(笑)。
▲GOD |
ACE DRIVER:うん。意外に冷静だからね。
TUSK:そうそう。そういう人がいきなり極端に熱いこと言うから、「はあ?」みたいな(笑)。
DUCK-LEE:いや、多分ね……もう死が近いんだよ(笑)。なんかもう、ずっと負け続けてるとか言うとちょっと聞こえが悪いけど、競馬に例えれば“畜生! もう死にそうだから最後に一勝負、この単勝に賭けてやろう!”みたいな。そういう勢いじゃないかな、これは。そこでもうガンガン曲が降りてきちゃったからね。そこで“俺、天才じゃね?”と思ったんだよ(笑)。
TUSK:いや、でもホントに思うのは、俺とか丈朋君とかは、戸城さんならではの戸城イズムみたいなものには慣れてるつもりではあるけど、初心者のGODは結構必死だったと思うんだ。スタジオで4人で曲を合わせてる時とか、「GODがそろそろヤベえ。もう怒ってブチ切れて帰っちまうんじゃねえかな?」と思うことが何度かあったんだけど(笑)。
ACE DRIVER:あったあった!(笑)
TUSK:しかもそこでGODが「こないだはココ、こうじゃなかったですか?」とか訊くと、戸城さんはいつもの調子で「あ、それはもう止めた。新しいのでやるから」みたいな。
DUCK-LEE:そんな言い方じゃないよ。もっとやさしかったはずだけど(笑)。
TUSK:そこでGODがメモ取ってるんだけど、苛々してるのか、ビリビリって……。
ACE DRIVER:そうそう、破けちゃって(笑)。
TUSK:俺的には“うわーっ、こりゃもう崩壊か!”とか思ったけど(笑)。
GOD:まあ、ぶっちゃけ言うと、曲作りしてた段階でのある一時期というのは、ホントにブチ切れてたことがありますよ(笑)。それ以外はべつに大丈夫だったんですけど。
TUSK:俺、結構ひやひやしながら見てたよ。
──ある意味、GODさんのメジャー・デビュー作は戸城イズムの洗礼の機会になった。
DUCK-LEE:そうそうそう。まあ、ロックンロールはそういうものだってことで(笑)。そこをまず学ばせないと(笑)。
TUSK:さすがっす(笑)。
ACE DRIVER:学び甲斐があると思うよ。いまだに俺もそうだからね。
GOD:まあ、鍛えられますよね(苦笑)。
──そこで気になるのが、学んだあとの実践の場、つまりライヴ活動が停止状態にあるという現実です。
DUCK-LEE:ホントだよね。
TUSK:なかなか思うように動けない毎日が続いてますけど。
DUCK-LEE:少なくとも6月中くらいは無理だろうね。やっぱりライヴハウスとキャバクラは最後なんじゃないの? 逆に早い段階からやり始めたりすれば自粛警察が動き出すからさ(笑)。でも、調子が狂っちゃうよな。中華料理屋にメシ食いに行ってもビールは7時までとか言われたりするし(注:5月現在)。まあ、仕方ないんだけど。
──とにかく今は一日も早く状況が落ち着いて、MAXの状態でのライヴができるようになる日が到来することを願いたいものです。
TUSK:うん。今は結構、配信ライヴとかもあるじゃない? ああいうのも、若いやつらとかが取り組んでるのを見ると頑張ってるなと思うし、応援してくれてるライヴハウスがあるならやればいいとは思うんだけど、俺たちがああいうことを積極的にやるのはちょっと違うかな、という気がする。やっぱり本来のライヴとは違うもんだしね。だけど……もしかして増田さん、YouTubeで手洗い動画とか上げたりするんじゃないの?
DUCK-LEE:マッスー・チャンネルとか作ってたりしないの?
──おかげさまでたくさんのアクセスをいただいてます。
DUCK-LEE:マジで?
──冗談ですよ。開設すらしてませんから。
DUCK-LEE:ビックリした! 「絶対登録しねえからな!」って言うところだった(笑)。
──話がだいぶ脱線しましたが、とにかくMAXなアルバムに続くMAXなライヴが観られる日を楽しみにしています。
DUCK-LEE:うん。俺たちもその日を待ってるよ。
取材・文◎増田勇一
■アルバム『Rock'n'Roll to the MAX』
KICS-3916 ¥3,000+税
01. サクラハナビラ
02. ハートを引きずって
03. 真冬青空
04. キワドイBABY
05. 剃刀
06. 美しいキッス
07. 二転三転
08. 忍耐限界
09. 2 月のさよなら
10. 銃社会
11. ALIEN SHOCKER
12. ゾクゾクさせてよ
13. KANPAI
14. 悪くないぜ
15. 一服しようぜ
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